デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進

DX推進についての基本的な考え方

シチズングループでは、サステナブル経営をモデル化した「シチズン価値創造ストーリー」において、製品開発から製造、流通、販売に至るあらゆる事業活動にデジタルトランスフォーメーション(DX)が密接に関連すると位置付けています。

シチズングループビジョン2030において、「ユーザ視点での価値の創出、向上を継続的に行える企業グループへ」をDXビジョンとして掲げ、デジタル技術やデータ活用の積極的な推進を基本方針としています。DXビジョンの実現に向け「業務プロセスの変革による高収益体質への転換」「製品・サービスの変革による新たなユーザ価値の創出」「企業風土の変革」を3つの柱とし、業務改革から人財育成に至るまで多岐にわたるDX推進に取り組みます。

シチズングループのDXビジョン
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シチズングループのDX推進体制

シチズングループでは、各事業統括会社にDX推進の担当役員と専任の担当者を1名配置し、シチズン時計の経営企画部DX推進室が取りまとめ役となって、DX推進における進捗確認および人財育成などのグループ共通の課題解決に取り組んでいます。

2023年度は四半期に一度、経営層、DX推進担当役員、およびDX推進担当者が一堂に会する進捗報告会を開催して、各社の取り組み状況などを共有しました。また、事業統括会社間で課題共有や解決に向けた検討会を随時開催して、有効なDX施策の事例紹介やデジタルツールの情報提供を行うなど、グループ横断でDX推進に取り組んでいます。

シチズングループDX推進体制
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役割

シチズン時計経営企画部 DX推進室
  1. 変革の目的やゴールを整理し、関係者を巻き込んだ意識改革及び行動変容のための施策立案や企業環境整備をおこなう
  2. シチズングループ内へ水平展開できるデジタル/データ活用施策を積極的に展開し業務の効率化/高度化を目指す
DX推進担当役員
  1. 事業戦略や既存のDX施策との整合性を担保し全社視点でDX推進をバックアップ
  2. 社内へのDX推進の必要性を訴求
  3. 進捗報告会(四半期に1度)への出席
DX推進担当
  1. DX推進KPIに基づく進捗、課題のとりまとめ
  2. CWC経営企画部DX推進室とのコミュニケーション
  3. 進捗報告会においてDX推進状況・課題の報告
  4. デジタル討議会においてDX推進状況・課題の検討

DX推進の主な取り組み

シチズン時計では、時計の心臓部であるムーブメントを構成する多様な部品情報の管理業務について、従来の帳票ベースからPLM(Product Lifecycle Management)ツールを導入して、設計・開発・製造・情報の一元管理を進めています。これにより、関連会社間でリアルタイムなデータ連携を通じて製造部門と販売部門の緊密な情報共有を実現すると共に、業務プロセスの見直しを並行して実施することで、ムーブメントの設計/製造業務に関する生産性向上を図ります。

2023年度は、全社的なデータ活用スキルの底上げを目的に、正課長以上の役職者約150名を対象にデータの可視化の方法や統計学の基礎について学ぶeラーニング研修を実施しました。受講率は100%です。また、シチズングループ全体のDX推進施策として、グループのイントラネット上にDXポータルサイトを開設し、各社のDX関連の先進施策の紹介や基礎知識が学べる研修コンテンツを掲載しています。

変革推進人財の確保・育成

シチズングループでは、DXビジョン実現の柱となる、企業風土の変革に向けて、DX推進で新規事業領域の開拓を担う人財を「変革推進人財」と位置付け、階層・役割別にDX関連のグループ共通研修や専門スキル研修を実施しています。第一次中期経営期間(2022年度〜2024年度)においては、実務で活躍するデータサイエンティストの育成に重点を置き、プログラミングやデータベース関連の基礎的なデータ分析スキル研修に加え、機械学習など高度なデータ分析スキルの習得を目指し研修を実施しました。

また2023年度は、シチズン時計の社員約400名とグループ会社の社員10名程度を対象にDXアセスメントを実施し、各部門で必要となる人財要件やその規模、現状とのギャップの把握を行いました。さらにグループ会社の部門長など管理職を対象にデータ分析に関する基礎的な研修を実施するなど、管理職や一般の従業員のDXスキル向上に向けた取り組みも進めています。