環境マネジメント

シチズングループは、グループを横断した環境管理体制を構築して「グループ全体での最適化」を目指し、着実な成果を効率良く出すための環境経営を進めています。

役員メッセージ

グループの知見を結集して気候変動など環境リスクを軽減し
脱炭素・資源循環型社会、安心・安全で心豊かな社会を実現

「シチズングループ環境方針」にも掲げている通り、グローバルな環境経営の推進で、安心・安全で心豊かな社会の実現に貢献していくことが、私たちのミッションです。そこで気候変動を最も重要な環境リスクの1つと捉え、グループの事業に与えるリスクと機会をシナリオ分析により特定しています。

気候変動をまずリスク面で考えると、当社グループの製造拠点は、製造工程で生じるCO₂削減や再生可能エネルギーの導入に取り組まないことは大きなリスクとなります。一方の機会について考えると、当社は工作機械の製造・販売をグローバル規模で展開していますので、電力使用量を抑えた製品を市場に投入することで導入先の工場の環境負荷軽減に寄与することから、気候変動に対する施策はビジネスチャンス、機会と捉えることができます。

環境問題への具体的な取り組みについて、例えば日本各地で整備が進む太陽光パネル設置についても、国内のエネルギー事情等の最新情報を常に取り入れ、需要と供給のバランスの取れた導入を進めています。こうした環境問題のリスク管理については、サステナビリティ委員会傘下のグループ環境委員会が主体となって影響把握や予防対策を講じています。重大な問題が発生した際はサステナビリティ委員会に報告を上げて、事業の垣根を超えたグループ横断で多様な立場から知見を出し合い、意見を交わすことで早期の解決を図っています。

B to Cの時計事業をビジネスの中心に据えるシチズンにとって、CO₂の排出削減などの施策と並行して、グローバルな環境問題に対する姿勢や環境に配慮した製品の開発コンセプトに、お客様から理解や共感を得ることで、シチズングループ環境ビジョン2050に掲げる、脱炭素社会、資源循環型社会、安心・安全で心豊かな社会の実現に貢献したいと考えています。

取締役
宮本 佳明

環境管理体制

効率的に環境経営を推進するため、シチズングループではグループ環境管理体制を構築しています。2020年度より、シチズン時計社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」の下に、社⻑から任命された取締役(環境担当役員)を委員⻑とする「グループ環境委員会」を設置し、グループの環境問題全般についてリスクと機会、対策等を検討しています。

シチズングループ環境委員会体制図

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環境マネジメントシステム(EMS)の適用組織/適用製品、活動およびサービス

EMSの適用範囲は、下記の適用組織ならびに適用製品、活動およびサービスです。

  1. 適用組織

    次の対象会社、およびその対象となる工場または事業所に適用します。

    • シチズン時計株式会社(東京事業所、所沢事業所)
    • シチズンマシナリー株式会社(軽井沢本社、所沢事業所、北上事業所、佐久事業所)
    • シチズン電子株式会社
    • シチズンファインデバイス株式会社(本社・河口湖事業所、御代田事業所、北御牧事業所、株式会社フジミ)
    • シチズン・システムズ株式会社(本社、富士吉田工場)
    • シチズン時計マニュファクチャリング株式会社(所沢本社工場、夕張工場、秋田工場、東北北上工場、東北北上南工場、東北西和賀工場、東北相馬工場、埼玉狭山工場、埼玉吉見工場、埼玉田無工場、河口湖富士工場、河口湖CFD工場、妙高工場、ミヨタ佐久工場、飯田殿岡工場、飯田松尾工場、鹿児島工場)
    • シチズンマイクロ株式会社(本社、秩父工場)
    • シチズンTIC株式会社
    • シチズン千葉精密株式会社(本社、第二工場)
    • シチズン電子タイメル株式会社(本社、第一製造部、境川工場)
    • シチズン物流サービス株式会社
  2. 適用製品、活動およびサービス

    対象製品(時計・工作機械・小型精密部品・デバイス/電子機器/その他製品)ならびにそれらに伴う活動およびサービス(研究、開発、設計、調達、製造、販売など)に適用します。

シチズングループのISO14001認証取得状況

シチズングループでは、国内海外の生産拠点でのISO14001 EMSの認証取得を推進しています。国内では販売会社等を除く12社すべてで、海外では13生産拠点のうち12拠点で認証取得しています。また、国内においてISO14001グループ統一認証を取得し、継続してグループ全体での活動の最適化や環境ガバナンスを強化しています。

2023年度は全拠点を対象に再認証審査が行われ、認証維持適合と判断されました。

認証取得状況(取得会社・事業所、取得年月)はリンク先のデータ一覧をご覧ください。

環境リスクマネジメント

シチズングループでは、グループ環境委員会において、環境法規制の順守、温室効果ガス排出量削減、製品含有化学物質の管理、廃棄物・リサイクルガバナンス、土壌・地下水汚染対策などの環境リスクマネジメントを推進しています。グループ環境委員会は年2回開催されるほか、廃棄物・リサイクルガバナンスや土壌汚染の状況や対応方法について、グループ各社と詳細に情報交換しています。また、「グループ内部環境監査」で潜在的な環境リスクを洗い出し、環境事故の未然防止とグループ内での情報共有を進めています。さらに環境事故につながりかねないインシデント発生に際して、事業会社等の現場判断に委ねることなく、些細なことでも環境マネジメント室への報告を義務付けるレポートライン体制を整備しました。情報収集改善で問題の発生にいち早く気づき、事故発生の未然防止や状況悪化の防止を強化します。

2023年度は、環境に関わる重大な法令違反、罰金・科料はありませんでした。

環境パフォーマンス

シチズングループでは、グループ全体のエネルギー・化学物質などの投入量、CO₂や廃棄物などの排出量を的確に把握し、計画的な環境負荷低減活動に活かしています。

マテリアルバランス(2023年度)
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環境教育

シチズングループでは、従業員への環境教育を通じて、人間と環境との関わりについての正しい認識に立ち、自らの責任ある行動をもって、持続可能な社会づくりに主体的に参画できる人材の育成を目指しています。2023年度は、グループ全社(全従業員)を対象に「サーキュラーエコノミー」をテーマとした環境eラーニングを実施しました。受講者5,918名、受講率99.3%でした。

【事例紹介】社内報(WEB版)を通じた啓発活動の展開

シチズングループ

シチズングループの全従業員が購読する社内報では、毎年6月の「環境月間」で環境特集を組んでいます。2023年度は「サーキュラーエコノミー」をテーマに、シチズングループのマテリアリティである「循環型社会への貢献」の実現に向けた啓発活動を展開しました。

【事例紹介】グループ各社の環境教育

シチズンファインデバイス/シチズン時計マニュファクチャリング

シチズングループでは各社の業務に応じた知識やスキル向上を目的とした環境教育を展開しています。2023年度の施策として、シチズンファインデバイスでは通年学習のツールとして「目標管理の仕組み」「環境法令順守の仕組み」のeラーニング教材を作成、また化学物質の自律的管理に向け「化学物質リスクアセスメント教育」を実施しました。シチズン時計マニュファクチャリングでは、国内全17工場に対して「毒物・劇物の取扱い」に関する教育を、海外拠点に対して「有機溶剤の取扱い」に関する教育を実施しました。

環境に配慮した製品の提供

シチズングループは、製品が環境に与える影響を強く認識し、信頼性や安全性と同様に、製品の環境品質の向上に努めています。循環型社会の実現を目指し、製品に加え、付属品や包装、販促品にも環境に配慮した素材を採用するなど、持続可能な資源の活用を推進しています。環境や社会課題に配慮した製品を世に送り出すことは、シチズングループのサステナブル経営の要であり、主要な社会課題に配慮したサステナブルプロダクツの創出を進めています。

【事例紹介】地球のように美しいサステナブルウオッチ CITIZEN L

シチズン時計

CITIZEN L(シチズンエル)は、自然の美しさからインスパイアされたデザインを持ちながら、2016年よりサステナビリティ(持続可能性)をブランドの根幹に位置づけ、地球環境や人に配慮したコミットメントを掲げて、「地球のように美しいサステナブルウオッチ」を提案しています。全ての時計において定期的な電池交換の要らない光発電エコ・ドライブを搭載し、腕時計には「誰かを犠牲にしない」「持続可能であること」を選択基準とした素材を一部で採用するなど、地球の未来をよりサステナブルなものにするための取り組みを行っています。2024年4月には、「ARCLY(アークリー)コレクション」から、新たな始まりを告げる日の出をデザインテーマにしたモデルを発売しました。光の放射を表現したインデックスと切分を配した豊かな赤色の文字板には100%再生ポリカーボネートを採用し、地球環境に配慮しています。また、付属する替えバンドには、リンゴの加工過程で廃棄される皮や残留物を使用したアップル素材を採用しています。これらのアップサイクルされた素材を用いることで、持続可能な資源の利用を推進し、循環経済の発展と循環型社会の実現に貢献します。

また、LCA(ライフサイクルアセスメント)の取り組みとして、CITIZEN Lでは材料調達から生産、廃棄・リサイクルに至る時計の一生涯に排出される温室効果ガスをCO₂に換算、一般社団法人サステナブル経営推進機構によるCFPプログラム認定を取得しました。

今後も光発電エコ・ドライブを通じた廃棄電池の削減、再生素材をはじめとしたサステナブル素材の積極的採用など、循環型社会の実現に貢献する時計作りを進めていきます。

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【事例紹介】森林環境や地域社会に配慮した「FSC®認証紙」の活用

シチズン時計

シチズン時計では、森林の違法伐採や環境破壊に加担しないよう、時計を収めるボックスや付属書、パンフレットなどの販促物に、「FSC®認証紙」の採用を進めています。

FSC®認証とは、適切に管理された森林からの木材や、再生資源、その他の管理原材料からつくられた製品を目に見える形で消費者に届け、それにより責任ある森林管理を消費者が支える仕組みです。残念ながら、市場に流通する木材の中には、違法伐採された木材やしっかり管理されていない人工林から過剰に伐採された木材が含まれています。認証製品を選ぶことで、適切な森林管理を行う林業者や地域のサポートになり、世界全体の森林保全へとつながります。

次の世代に豊かな森を受け継いでいくために、貴重な森林資源を使用する責任と日々向き合っていきます。

  • ※ FSC®:Forest Stewardship Council®/森林管理協議会。FSC®N002484。
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【事例紹介】体温計のパッケージをバガス紙へ変更 プラスチックの使用量を年間約14トン削減

シチズン・システムズ

シチズン・システムズのヘルスケア製品において、国内市場向け体温計の商品パッケージを従来のプラスチックと厚紙による素材から、サトウキビを原材料とする「バガス紙」に2022年12月生産分から順次切り替えました(一部を除く)。これによりプラスチック使用量を年間約14トン削減します※1

さらに、パッケージや取扱説明書に使用するインクは、大気中で気体となる有機化合物の排出がほとんどない「植物油インク」を採用し、表面仕上げに、リサイクル工程において阻害にならない塗料に区分されている「ニス」を採用しました※2。取扱説明書は「古紙再生紙」を採用し、廃棄物減量化にも貢献します。

製品の最適化設計や環境に配慮した資源を利用することでプラスチック廃棄量およびCO₂排出の削減に貢献し、持続可能な循環型社会の実現を目指します。

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プラスチックと厚紙を
使用したパッケージ
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バガス紙使用のパッケージ
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バガス紙使用のパッケージには
バガスマークを表示しています※3
  1. 当社2021年度 国内出荷台数ベースで算出。
  2. 社団法人日本印刷産業連合会が策定した印刷物資材「古紙リサイクル適正ランクリスト」規格。
  3. マークは五條製紙(株)のバガスパルプが配合した紙を使用することで付けられるマークです。