コンプライアンス研修と内部監査
従業員研修の実施
シチズングループ全員の、コンプライアンスに対する認識の共通化を確実なものとするため、「シチズングループ行動憲章」や「シチズングループ腐敗防止方針」等の指針に関する研修・教育および監査を定期的に実施し、グループ全体でコンプライアンス意識の向上を図っています。
2022年度研修実績
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研修名 |
内容 |
参加者数(対象) |
コンプライアンス研修 |
行動規範、腐敗防止方針、人権方針等の内容に関する研修 |
6,176名 |
腐敗防止への取り組み
シチズングループの腐敗防止への取り組み
シチズングループでは、贈収賄行為を含むあらゆる腐敗行為を禁止した、「シチズングループ腐敗防止方針」の制定に加え、グループ内で「シチズングループ贈収賄防止規程」を制定しており、これらの方針と規程の内容について、eラーニング形式の研修で全社員に展開しています。またグループ役員に対するコンプライアンス研修も実施しました。
シチズングループでは、社会の動向やグループ内の状況把握に努め、必要に応じて取り組みを見直し、「公正、透明、自由な競争、責任ある商行為」を実践することに努めています。
サプライチェーンにおける腐敗行為防止への取り組み
「シチズングループ腐敗防止方針」では、同方針に基づくシチズングループの取り組みに対する理解と協力をお取引先様に対しても求めています。具体的には、中国のお取引先様を対象に説明会を実施して、腐敗防止方針の内容に関する研修を行っており、他の国内外のお取引先様に対しても、腐敗防止方針を含んだ「お取引先様へのお願い」を配布しています。
また、2021年度より、新規契約時や契約更新時などに、グループ腐敗防止方針やグループ行動憲章、グループ人権方針、グループ安全衛生基本方針等といった規範・方針の内容の確認と賛同をお取引先様に依頼して、腐敗行為防止の周知徹底を図っています。
また、シチズン時計では、年1回、各部門に対して営業品質の内部監査を継続して実施しています。監査室が作成したチェックリストに基づき、各部門でセルフチェックを行い、抜き取りの実地監査も実施して、改善に役立てています。
コンプライアンスホットライン(内部通報)
シチズングループでは、法令遵守、汚職・腐敗を含む不正行為※1等の未然防止および早期発見、自浄作用の向上のため、シチズン時計、各グループ会社、外部機関のそれぞれに匿名でも通報や相談・提案が可能な、コンプライアンスホットライン設置による内部通報制度を整備しています。
制度の運用に際して、消費者庁の定める内部通報ガイドラインやコーポレートガバナンス・コードを参考に「グループコンプライアンスホットライン規程」を整備し、利用者の秘密の厳守・不利益な扱いの禁止などを定めるとともに、利用者・担当者双方のガイドラインも策定して受付対応の均一化を図るなど、安全かつ手軽に通報できる環境を整備して2022年6月1日に施行された改正公益通報者保護法にも対応した制度となっています。また、制度の実効性を高めるためにも通報者に対する不利益な取扱いの禁止の徹底といった通報者保護についての周知が不可欠です。2022年度調査ではホットラインの認知度は84.0%であり、2023年度も引き続き、役職者研修や社内報での特集記事、イントラネット専用ページの更新などを通じてさらなる周知を図ります。
なお2022年度の社内通報等件数は23件(社内窓口13件、社外窓口8件、監査役2件)※2で、全ての通報に対して調査や是正措置を実施した結果、重大な人権侵害や腐敗防止方針違反に該当する事例はありませんでした。
寄せられた意見のさらなる活用や、コロナ禍での業務のリモート化など新しい働き方に関するルールの整備を通じて、コンプライアンスの徹底に向けた環境づくりに取り組んでいきます。
- 不正行為の防止は、「シチズングループ行動憲章」の第3条では、「公正、透明、自由な競争、責任ある商行為を実践します」と定めています。(公正、透明、自由な競争、政府機関等との対応、輸出入管理、反社会的勢力との接触禁止、マネーロンダリングの防止、責任ある、持続可能な調達)
- 複数窓口への重複通報4件を含みます
知的財産活動
シチズングループでは、他者の知的財産権を尊重し、侵害しないよう努めています。そのため商品の企画段階から販売に至るまで、知的財産権の侵害を常にチェックし、該当する他者の知的財産権があれば、速やかに対策を講じて侵害行為を未然に防いでいます。
それに加え、自社のコア技術および周辺技術等の知的財産権を取得して競合他者に対する参入障壁を構築するだけでなく、第三者による知的財産権の侵害には、断固たる対抗措置を講じることで、事業の競争優位を確保しています。
今後も知的財産権制度の趣旨に則り、シチズングループの持続的な成長を目指し、適正かつ有効な知的財産活動を推進していきます。
安全保障貿易管理
シチズングループは、グループ内の安全保障貿易管理を確実に実行するため「シチズングループ安全保障貿易管理規則」を制定しています。シチズン時計と事業会社で構成する「シチズングループ安全保障貿易管理委員会」を設置し、グループ各社に対し指導・教育・情報の提供および監査等を行っています。
シチズンマシナリーでは、「外国為替及び外国貿易法」等の関連法令を遵守するために、輸出や技術提供に関する一連の手続等を規定した内部規程を策定して輸出管理を徹底しています。また、同社の工作機械は移設検知装置(機械の移設を検知した場合に運転不能となる装置)を標準装備しており、輸出後も転売や再輸出によって機械が大量破壊兵器等の開発等に用いられないよう需要者・用途の管理に努めています。
情報セキュリティ
近年、サイバー攻撃で国内全拠点が操業停止に陥るなどサプライチェーン全体に甚大な影響を及ぼす事例が増えています。シチズングループでは、情報漏えいやシステムダウン等の情報セキュリティに関するリスクを重要リスクと認識しており、総務担当取締役が委員長を務める「グループ情報ガバナンス委員会」を2016年に設立して体制を強化し、個人情報保護や営業秘密管理、情報セキュリティ管理に取り組んでいます。具体的には、2020年11月に改定した「シチズングループ情報セキュリティポリシー」の社内周知をはじめ、海外拠点とも緊密に連携して情報セキュリティの重要性の理解浸透を図っています。ランサムウェアやフィッシングメール詐欺等に関する注意喚起も恒常的に展開しており、標的型攻撃メール訓練を2022年度は年2回実施するなど、グループ全体で情報セキュリティ意識の醸成を図っています。
グローバル展開しているシチズン時計のIT環境整備に関しては、海外の主要拠点の情報システム部門と本社部門が連携してセキュリティ対策などを実施する体制の構築を進めています。
なお、平常時の情報システム環境については、データセンターの利用やクラウドサービスを積極的に活用し、事故や災害に強く安全で安定したITインフラを構築し、省電力やCO₂排出削減にも貢献しています。
「CITIZEN-SIRT」の取り組み
サイバー攻撃等の重大インシデントに対しては、2020年6月に設置した「CITIZEN-SIRT」のもと、通常時からシステムダウン等のリスクのモニタリングを行い、インシデント発生時には初動対応から関連部署との連携、トラブル解決まで迅速に対処にあたっています。
2022年度は、CITIZEN-SIRTが中心となり、インシデント発生時の迅速な対応に向けた机上訓練を実施しました。セキュリティベンダーの協力を得てシナリオを作成し、トラブル発生時の対処法について確認作業を行いました。2023年度はグループ会社での訓練を予定しており、インシデント発生に備える事業継続計画・対応指針の策定などを含むグループ全体のセキュリティ環境の見直しも進めていきます。
また2021年度に発生した、情報漏えいやシステムダウンに至らない軽微なインシデント事案を踏まえて、2022年度にサイバー攻撃を防ぐネットワーク監視の仕組み(EDR)をシチズン時計のシステム環境に導入してネットワークのセキュリティ強化を図りました。2023年度中にシチズン時計の全34拠点へのEDR整備が完了する予定です。なお2022年度は、CITIZEN-SIRTが対応するインシデントは発生していません。
個人情報保護
シチズングループでは、業務活動においてお客様やお取引先様といったステークホルダーから提供される全ての個人情報について、「グループ情報ガバナンス委員会」のもと、「シチズングループ情報セキュリティポリシー」や「シチズングループプライバシーポリシー」に基づく個人情報の取り扱いを定めて周知を図り、情報保護に取り組んでいます。「シチズングループプライバシーポリシー」の具体的な内容は以下のとおりです。
シチズングループプライバシーポリシー
プライバシーマークの継続取得
美術書出版などを手掛けている東京美術は、個人情報保護の観点から2007年にプライバシーマーク※を取得し、お取引先様との信頼確保に努めています。2022年3月には8回目のマーク認定を更新しています。また、個人情報保護に関する教育をアルバイトも含む全従業員へ定期的に行っており、教育効果の検証テストなどを通じて、個人情報保護に関する意識の定着が確認できています。2022年度も機密情報の取り扱いを含めて情報セキュリティ強化に努めていきます。
- ※ プライバシーマーク:個人情報保護に関して一定の要件を満たした事業者に対し、一般財団法人日本情報経済社会推進協会により使用を認められる登録商標(サービスマーク)のこと。
反社会的勢力への対応
シチズングループでは、反社会的勢力とのつながりは、企業に対する社会からの信頼を著しく毀損し、企業の存続に関わる重大な影響を及ぼすと認識しています。このため反社会的勢力および団体からの不当な利益供与などの要求に対しては毅然たる態度で対応することを基本方針として掲げており、反社会的勢力との関係遮断を徹底しています。
また、グループ各社が締結する各種契約に暴力団排除条項を導入するなど、反社会的勢力との関係を遮断する体制の整備・強化を図っています。さらに平素から地域企業や警察などの外部関係機関と連携をして、反社会的勢力の排除活動を進めています。
下請法講習会
シチズングループでは、下請取引の適正化を図り、下請法の違反行為を未然に防止するために職場でのOJT研修をはじめ、ガイドブックやeラーニングによって下請法に関する基礎知識を体系的に学んでいます。
さらに、下請法に関する対話型の講習会も開催しています。この講習会は、職場内で違反のおそれがある事例を教材として、受講者は自らの考えを発言し、互いに学び合うケースメソッド形式(実際に起きた事例を教材として、あらゆる事態に適した最善策を討議し、解決策を導き出す研修手法)で開催しています。この講習会では、買いたたきや不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直し、不当な返品等の疑似体験を通して、職場の改善点などを討議していきます。
シチズングループの事業は、バリューチェーンのあらゆる段階で多くのビジネスパートナーに支えられています。発注者と受注者との双方がWin-Winの関係を本当の意味で築くために、望ましい取引方法となるよう改善を進めています。
またシチズン時計では、経済産業省が推進する「パートナーシップ構築宣言」に賛同しており、サプライチェーンの取引先の皆様や価値創造を図る事業者の皆様との連携・共存共栄に向けた、新たなパートナーシップの構築に取り組んでいます。
税務コンプライアンス
税務コンプライアンスついての基本的な考え方
シチズングループは、企業理念である「市民に愛され市民に貢献する」のもと、適切な納税を行うことは、義務であると同時に大切な社会貢献のひとつであると認識しています。適正な納税を実施し、適切な開示による税の透明性を高めることで、企業の社会的責任を果たしてまいります。2023年度はシチズン時計の全従業員を対象に、eラーニングで適正な税務の遂行に向けた周知を図るなど、税務コンプライアンスの遵守を図ります。
シチズングループ税務方針(制定:2023年4月1日)
シチズングループは、企業理念である「市民に愛され市民に貢献する」のもと、適切な納税を行うことは、義務であると同時に大切な社会貢献のひとつであると考えます。この考えに基づき、税務に関するグループ統一の基本方針として、グループ税務方針をここに定めます。
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- 法令遵守
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シチズングループは、グループ各社が事業活動を行う各国・地域における税務に関する法令・規則等を遵守し、また、OECDガイドライン等国際税務におけるルールを尊重し、適切かつ適時に税務申告及び納税を行います。
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- 税務ガバナンス
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シチズン時計株式会社は、経理部担当取締役のもと、親会社として子会社の税務情報を確認し、税務リスクの親会社による一元管理に努めます。また、子会社における税務調査等において税務リスクが顕在化した場合には、詳細な情報収集の上、適切に対処します。
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- 税務プランニング
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シチズングループは、各国・地域における優遇税制等が通常の事業活動の中で利用可能な場合は、それを効果的に活用し、最適な税負担となるよう努めます。法令等の意に沿わず租税回避行為とみなされるような過度な税務プランニング、租税回避を目的としたタックスヘイブンの利用は行いません。
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- 移転価格税制
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シチズングループは、グループ会社間の国際取引につき、独立企業間価格の考え方に基づいて機能とリスクに応じた適切な利益配分になるよう努めます。また、各国・地域の移転価格税制に則した適切な移転価格文書の作成に努めます。
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- 税務リスク管理
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シチズングループは、事業活動における税務リスクに対しては事前に十分な検討を行うとともに、必要に応じて外部専門家による助言・指導等により、税務リスクの低減を図ります。税務上の取り扱いや解釈等で疑義が生じた場合には、外部専門家等へ助言を求めたり、必要に応じて税務当局へ事前照会するなどして、適切に対応します。
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- 税務当局との関係
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シチズングループは、税務当局への誠実な対応及び事実に基づく説明を通じて、適切な関係の維持に努めます。