サステナブル経営の考え方

シチズングループのサステナブル経営

シチズングループは「市民に愛され市民に貢献する」という企業理念を原点に100年以上にわたり事業を展開してきました。創業101年目の2019年度からは「サステナブル経営」を掲げ、事業を通じた社会課題の解決を推進しています。「サステナブル経営」とは、単に良い製品・サービスを提供するだけでなく、バリューチェーン全体で人権や地球環境などの社会課題への配慮を含めた経営を通じ、ステークホルダーからの信頼を獲得しながら事業を拡大し、持続的な企業価値の向上を目指すものです。

シチズングループは中長期の環境変化を踏まえ、グループの強みと資本を活かし、マテリアリティに事業活動と事業基盤の両面で取り組みます。そして、社会課題を解決する社会・環境・経済価値を創造することで、市民に愛され市民に貢献するとともに、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献を目指します。

シチズングループの価値創造ストーリー
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サステナブルプロダクツ

シチズングループは、2030年までに各事業分野において、主要な社会課題に配慮した「サステナブルプロダクツ」を創出していきます。サステナブルプロダクツとは、シチズングループのマテリアリティと結びついた社会課題の解決に貢献し、事業成長に寄与する製品・サービスです。

シチズングループとして特定した5つのマテリアリティのうち、製品・サービスを通じて解決すべきマテリアリティは、「気候変動への対応と循環型社会への貢献」、「質の高い生活への貢献」、「産業分野におけるソリューションの提供」の3つです。これらのマテリアリティのうち、1つ以上に該当することをグループ共通の必須要件として、各事業において事業戦略および製品・サービスの独自性や優位性を考慮し、認定基準を定めています。

サステナブルプロダクツ認定制度および各事業の認定基準は、外部有識者の意見をふまえ、2023年にサステナビリティ委員会での協議を経て、グループ経営会議で承認されました。今後、社会情勢の変化に応じて認定基準は適宜見直し、認定基準の変更はサステナビリティ委員会で協議・承認されます。

2025年度には売上に占めるサステナブルプロダクツ比率を開示する予定です。

サステナブルプロダクツ認定制度

サステナブルプロダクツ認定制度は、認定基準策定や評価対象品目の妥当性について、外部有識者の監修を受けたシチズングループ共通の社内制度です。企業理念を基本として、これまでのサステナブルな取り組みを含む事業戦略と、マテリアリティとの整合性を図った製品・サービスをサステナブルプロダクツと認定します。

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サステナブルプロダクツ認定基準

認定基準は、マテリアリティと結びついた貢献要素から構成されています。具体的な認定基準は、事業ごとに設定され、客観的に判断される仕組みになっています。

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マテリアリティ 分類 貢献要素(例) 関連するSDGs
気候変動への対応と
循環型社会への貢献
気候変動への対応
  • 省エネルギー、長寿命化
  • 分解修理可能な設計・サービス体制
  • 持続可能な原材料の使用 等
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循環型社会への貢献
質の高い生活への貢献 多様なライフスタイルへの貢献
  • 障害者対応等全ての人が使いやすい製品
  • 健康管理のサポート 等
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医療・ヘルスケアへの貢献
産業分野における
ソリューションの提供
省力化・自動化ソリューションの提供
  • 省力化・自動化による労働力不足への対応
  • デジタル化による技能継承課題への対応
  • リモートメンテナンス対応 等
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次世代通信技術への貢献
モビリティへの貢献

サステナブルプロダクツの紹介

【事例紹介】地球のように美しいサステナブルウオッチ CITIZEN L

シチズン時計

CITIZEN L(シチズンエル)は、自然の美しさからインスパイアされたデザインを持ち、2016年よりサステナビリティ(持続可能性)をブランドの根幹に位置づけ、地球環境や人に配慮したコミットメントを掲げて、「地球のように美しいサステナブルウオッチ」を提案しています。全ての時計において定期的な電池交換の要らない光発電エコ・ドライブを搭載し、腕時計には「誰かを犠牲にしない」「持続可能であること」を選択基準とした素材を一部で採用するなど、地球の未来をよりサステナブルなものにするための取り組みを行っています。2024年4月には、「ARCLY(アークリー) コレクション」から、新たな始まりを告げる日の出をデザインテーマにしたモデルを発売しました。光の放射を表現したインデックスと切分を配した豊かな赤色の文字板には100%再生ポリカーボネートを採用し、地球環境に配慮しています。また、付属する替えバンドには、リンゴの加工過程で廃棄される皮や残留物を使用したアップル素材を採用しています。これらのアップサイクルされた素材を用いることで、持続可能な資源の利用を推進し、循環経済の発展と循環型社会の実現に貢献します。また、LCA(ライフサイクルアセスメント)の取り組みとして、CITIZEN Lでは材料調達から生産、廃棄・リサイクルに至る時計の一生涯に排出される温室効果ガスをCO₂に換算、一般社団法人サステナブル経営推進機構によるCFPプログラム認定を取得しました。今後も光発電エコ・ドライブを通じた廃棄電池の削減、再生素材をはじめとしたサステナブル素材の積極的採用など、循環型社会の実現に貢献する時計作りを進めていきます。

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【事例紹介】「レザ―ワーキンググループ(LWG)」に加盟し、サステナブルレザーの使用を促進

シチズン時計

シチズン時計は、2023年4月1日より地球環境の保護や、消費者に安心で安全なレザーを供給することを目的とした国際的な非営利団体「レザーワーキンググループ(以下LWG)」の国内時計メーカー初のメンバーとなりました。

LWGとは、皮革の製造業者、取引業者、供給業者、技術専門家、さらにブランドや小売業者で構成されたグローバルな環境保護団体です。

現在シチズンブランドの腕時計で使用しているレザーの約60%をLWG認証を受けたタンナーから調達していますが、今後は90%以上を目指します。また、LWGに加盟することで、皮革産業全体の持続可能性の推進にも貢献していきます。

関連ページ

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ザ・シチズン四季借景バンド

【事例紹介】LFV(低周波振動切削)技術でSDGsに貢献

シチズンマシナリー

LFV(低周波振動切削)技術とは、シチズンマシナリー独自の制御技術によりX・Z各サーボ軸※1を切削方向に振動させ、その振動を主軸回転と同期させながら切削を行う方法で、切削中に刃物があたらない「空振り」時間を設けることにより切りくずを細かく分断しながら加工します。

従来の切削加工では、長い切りくずが発生し、加工部品や刃物にからまるリスクがあり、不良品の発生や刃具の破損などの課題が多く報告されてきました。LFV技術搭載の工作機械では、切りくずのからまりに起因する上記課題の発生を削減し、生産効率の向上に寄与、部品1個当たりの切削に必要な電力を低減させる効果が期待できます。

また、切りくずの分断によって機械からの切りくず回収頻度を減らし、作業負荷を軽減させ、さらにはその廃棄物の容積を小さく抑えることにより、輸送現場における環境負荷の低減等、顧客の製造プロセスにおける課題解決に貢献しています。

LFV技術搭載のCNC自動旋盤はCincomブランド、Miyanoブランド合わせて13機種がラインナップされており、国内外への累計出荷は6,000台※2を突破しました。

  1. サーボ軸…モータ、ガイド等からなる送り機構部
  2. 2023年12月現在
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従来の切削で切りくずが絡んでいる様子
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切りくず写真比較
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サステナブルファクトリー

シチズングループでは製品・サービスの製造プロセスにも配慮した「サステナブルファクトリー」というコンセプトで事業を展開しています。「サステナブルファクトリー」とは、環境への配慮に加えて、コンプライアンスや人権、労働慣行、BCP(事業継続計画)、生産性向上など総合的に配慮した持続可能な生産施設・事業所(もしくは事業プロセス)です。お取引先と同じSAQ(自己評価アンケート)を国内グループ拠点にも配布し、回答を集約することで進捗を確認してきましたが、2023年度はSAQの対象を海外事業所も含めた全拠点に拡大して回答を求めています。こうした取り組みを通じて理解度の浸透を図り、シチズングループ全体で2030年までに「サステナブルファクトリー」の実現を目指しています。

その実現には、お取引先をはじめとするバリューチェーン全体の協力が不可欠なことから、ステークホルダーに理解や協力を求める活動も進めています。具体的には、「気候変動への対応と循環型社会への貢献」「品質コンプライアンスの順守」「人権の尊重と労働慣行」「持続可能な調達の推進」において、2030年の目指す姿とロードマップを2019年度に策定し、適宜更新しながらグループ全体で取り組みを進めています。進捗についてはマテリアリティの該当ページ(下表のリンク)をご参照ください。

  • ※ BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)…大規模災害等による事業活動への影響に備え、製品やサービスの供給を継続、または早期復旧を可能とするため、必要な体制や役割、対応手順等の計画を平常時に定めること。
2030年の目指す姿

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マテリアリティ(事業基盤) 2030年目標 指標
気候変動への対応と循環型社会への貢献 脱炭素社会、資源循環型社会、安心・安全で心豊かな社会の実現に貢献する
  • 地球温暖化対策の推進
  • 持続可能な資源の利用の推進
  • 環境リスクマネジメントの強化、環境事故ゼロ
  • サステナブルプロダクツの提供、製品含有化学物質管理の強化
  • CO₂排出量(スコープ1、2)50.4%削減(2018年度比)
    CO₂排出量 スコープ3(カテゴリ1+11)30%削減(2018年度比)
  • 取水量:35%削減(2018年度比)
    再資源化率(廃棄物の再利用率):90%
  • 環境事故ゼロ
  • PRTR法対象化学物質(国内)45%削減
社会的責任の遂行 品質コンプライアンスの順守
  • グループ品質行動憲章の遵守
  • 品質行動憲章違反ゼロ
人権の尊重と労働慣行
  • グループ人権方針の遵守
  • 働き方改革関連法の遵守(国内)
  • グループ安全衛生基本方針の定着
  • 人権デューデリジェンスの確立
  • 業務上休業災害ゼロ
持続可能な調達の推進
  • グループの100%および直接材主要取引先の70%がCSR調達ガイドラインを100%遵守する
  • ※ 調達取引高上位90%+取引量および代替不可の重要品目の取扱いがある取引先
  • 主要取引先の100%が自己評価アンケート(SAQ)回答
  • 主要取引先の70%がSAQ総合得点率100%

サステナビリティ推進体制

サステナビリティ委員会

シチズングループでは、シチズン時計の代表取締役社長を委員長とし、同社の常勤取締役、事業統括会社社長を委員とする「サステナビリティ委員会」を2020年4月に設置しました。四半期に1回開催され、主にマテリアリティに関する審議や活動状況の進捗確認、外部講師による勉強会等が行われます。委員会事務局である同社の経営企画部および環境・CSR担当部門は、グループ各社の同部門やマテリアリティに関連する各委員会事務局と連携し、サステナビリティ事務局会議を運営しています。これにより、各社でのサステナビリティに関する課題の検証や活動状況の進捗等を定期的に確認しています。サステナビリティ委員会の内容は、取締役会で半期に一度報告されます。

目的と役割

シチズングループのサステナブル経営を推進

  1. マテリアリティの特定と定期的な見直し
  2. 既存事業の持続可能性向上と社会課題解決に寄与する取り組みの推進
  3. ESG課題への取り組み方針策定とモニタリングの実施
サステナビリティ委員会の開催
四半期に1回開催(3か月ごとの開催)

サステナビリティ推進体制

サステナビリティ委員会の下部委員会として、「グループ品質コンプライアンス委員会」「グループ人事委員会」「グループ環境委員会」「グループ持続可能な調達委員会」を設置しています。

また、サステナビリティ委員会事務局とグループ会社の経営企画部および環境・CSR部門により構成される「事務局会議」により、サステナビリティ委員会で審議された内容が、各事業の推進組織と共有される体制となっています。

さらに、経営に関わるリスクを扱い、経営基盤を強固にする側面に関しては、「CITIZEN-SIRT」「グループ情報ガバナンス委員会」「グループ法務・コンプライアンス委員会」「グループ事業継続マネジメント委員会」を設置しています。これらの経営基盤に関わるリスクについて取り組む委員会は、毎月開催される経営会議の下に設置され、問題の早期発見、審議、そして迅速な対応が可能な体制を整えています。

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従業員のサステナビリティ意識の醸成

シチズングループでは、グループ一丸となって「サステナブル経営」に取り組むため、サステナビリティ委員会事務局が中心となり、全ての従業員に向けてマテリアリティやSDGsと事業活動のつながりに関する理解の浸透を図っています。具体的には、勉強会やeラーニング、社長メッセージの発信、社内報などを通じて、従業員一人ひとりへの浸透活動に2019年度より継続的に取り組んでいます。

講演会の実施

グループで、マテリアリティの推進を中心的に担う層を対象に社会の動向を正しく知るための講演会を開催しています。2023年度は、8月にグループの役員を対象に資源循環をテーマとする講演会を開催し、グループ会社の全従業員向けにサーキュラエコノミーに関するeラーニングによる勉強の機会を設けました。9月には国内メーカーで相次いで発覚した品質不正に関する不祥事を受けて、グループ各社の品質担当役員と品質担当部門長を対象に、品質コンプライアンスリスクマネジメントの専門家を講師としてた、品質コンプライアンス視点での監査に関する講演会を開催し、品質不正の要因や発見する視点について学ぶ機会としました。また、持続可能な調達委員会では、外部講師を招いて「サプライチェーンを取り巻く環境とサプライヤー監査の実務のポイント」をテーマにした勉強会を実施しました。

CSR意識調査

シチズングループでは、CSRや企業倫理に関する評価・浸透度を把握し、今後のCSR課題の抽出と対応のために、毎年、事業会社(2021年度は国内15社)の経営陣、派遣社員を含む従業員を対象にCSR意識調査を行っています。

Q2.のコンプライアンスホットラインを「知っている」が87%、Q3.の「利用する」とした人が52%と、調査開始以来初めて50%を超えました。一方「利用しない」は10%となり減少傾向にありますが、その理由として「秘密が守られるか不安がある」は24%を占めて居り、通報者保護についての制度理解が不足しているためと考えられ、継続した周知が必要であることが明らかとなりました。

Q1. CSRに取り組むことによって会社の企業価値が向上していると思いますか?

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Q2. あなたはコンプライアンスホットラインを知っていますか?

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Q3. もし将来あなたが上司に相談しにくいような行動憲章違反等を見つけたら、
コンプライアンスホットラインを利用しますか?

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[回答者数]
  • 2019年度:7,253名/8,749名(対象20社:回答率82.2%)
  • 2020年度:7,291名/8,200名(対象17社:回答率88.9%)
  • 2021年度:6,262名/6,938名(対象15社:回答率90.3%)
  • 2022年度:6,580名/6,964名(対象15社:回答率94.5%)
  • 2023年度:6,497名/6,080名(対象15社:回答率93.6%)