サステナブルな想いとものづくりから生まれるCITIZEN L

商品企画センター
商品企画部 第二企画課

前田 花菜

2003年入社。
デザイナーとして海外ブランドなどを経験した後、商品企画部へ異動。
2014年からCITIZEN Lの企画を担当。

CITIZEN Lのブランド立ち上げからともに歩んできた担当者が、CITIZEN Lの誕生秘話と魅力を語ります。

国を越える美しい時計に必要な付加価値とは

「世界中で受け入れられるレディースの時計をつくろう」。
CITIZEN Lは、そんな想いで2012年に立ち上がったブランドです。
当時、私はデザイナーとして携わりました。

商品企画とデザイナーで話し合い行き着いたのは、国境や国籍を超える美しい時計をつくることでした。
キーワードは自然。わびさびの自然美を表現して2013年に商品を発表しましたが、残念ながら思っていた反響は得られなかったんです。
その後、私はデザイナーから商品企画へと役割を変えました。

自然の美だけでは伝わらない。何か付加価値が必要だと感じました。
目指すCITIZEN Lの姿についてチームでディスカッションを重ねていたときのことです。たとえば美しい人ってどんな人だろうと意見を出し合ったところ、社会貢献活動に積極的に取り組むダイアナ妃やオードリー・ヘプバーンの名前が複数人から挙がったんです。

はっとしました。“内面の美”にこだわりを持つことでブランドが完成するのではと気付いたんです。

でも、時計そのものに社会貢献活動はできません。
内面を美しくするって、いったいどうしたら……と行き詰まりました。

ところが、その後の社内での出会いが転機となって、CITIZEN Lは大きく前進することになります。

歯車がぴたりとかみ合い“内面の美”の種を見つける

ある日、商品企画部の隣にあるCSR室の前を通りがかったときのことです。あるメンバーの一人が国連のTシャツを着ている日がありました。
子どものころガールスカウトをやっていたこともあって、そのTシャツをきっかけに初めてお話しして盛り上がったんです。

その流れで、「CITIZEN Lで“内面の美”を考えているんだけど、何かいいアイデアないですかね」と相談してみました。
そうしたら、「ありますよ」と!
当時は、SDGsが採択される前で、MDGs(ミレニアム開発目標)の時代です。
コーズマーケティングをはじめ、商品を販売することで社会貢献につながるという考え方を教わりました。

当時はエシカルと言っていましたが、ものづくりの過程にそういった考え方を取り入れれば、私たちが目指す“内面の美”を叶えられるのではないかと意気投合しました。歯車がぴたりとかみ合った瞬間でした。

外部の人にもお話を聞きに行き、サステナブルを軸にしながら進めて、企画書をまとめました。会社としても初めての試みなので、すんなりとは進みませんでしたが、CSRのメンバーにも「諦めたらもったいない!」と背中を押されました。
最終的には役員にプレゼンして、理解と共感を得ることができ、会社として動けるようになりました。CITIZEN Lのリブランドの始まりです。

サステナブルという付加価値を得て、更に輝くCITIZEN L

2016年のリブランドにあたっては、サステナビリティに前向きに取り組む建築の世界から、デザインアドバイザーとして建築家の藤本 壮介さんをお迎えしました。
「時という目に見えないものを知らせてくれる時計。その目に見えない時をおぼろげなまま時計に戻したい」。
藤本さんはそういう想いでデザインされて、西陣織や漆玉といったサステナブルな伝統工芸を積極的に取り入れた新しいCITIZEN Lが生まれました。

シチズン独自の技術である光発電エコ・ドライブを搭載しているのはもちろんですが、人と地球を想い、犠牲を生まない素材を選択しています。たとえば、武装勢力による紛争や、児童労働などとは関わりのない鉱物調達に取り組むほか、バンドや文字板に再生材などを積極的に採用しています。

このようにCITIZEN Lは中身も美しいサステナブルな時計ですが、まずはデザインを気に入ってもらうことを大切にしています。
社会課題を解決するには、まず課題を知ることが第一歩です。
CITIZEN Lを手にしてからブランドサイトを通じて、自身の行動が社会課題の解決につながっていると気付いてもらえたらうれしいです。

美しい想いと創造性を持って美しい時計づくりを

現在、CITIZEN Lは事業成長の一助を担うブランドとして、中期経営計画の重点戦略にも組み込まれ、CITIZEN Lに携わるエルチームは、商品企画やデザイナー、宣伝など、常時7~9人で構成されています。私自身CITIZEN Lというブランドを背負ったからこそ、成長させてもらえました。大変なこともありましたが、チームだからこそ前に進めてこられたと思います。

これまで自分を信じて、ある意味、直感的な決断も選択肢のひとつに持つことでブランドを育んできました。
しなやかながら強い意志が常に存在していなければならないと思います。
ブランドを成長させるためには、客観的に見ることができる様々なデータが非常に重要です。
しかし、そのデータだけを信用するのではなく、エルチームのメンバーそれぞれが主体的に未来を見据えることも、エルブランドらしさを保つために非常に大切だと思っています。

これからも美しい想いと創造性を持ってCITIZEN Lを育てていきたいです。
私が今でも心に残っているCITIZEN Lのコピーがあります。それは「Brave is Beautiful」。勇気こそ美しい。大好きなキャッチコピーです。
その想いをメンバーにつないでいきたいと思います。