健康経営

健康経営

健康経営方針

シチズングループでは、従業員が働きやすい職場づくりや働き甲斐のある職場環境整備を重視しています。この一貫として「健康宣言」を公表し、従業員の健康管理を経営的な視点で考えて実践する「健康経営」を推進しています。

シチズン時計 健康宣言(2018年9月1日 制定)

シチズン時計は、市民に愛され親しまれるものづくりを通じて世界の人々の暮らしに広く貢献することを理念に掲げ、人権と多様性を尊重し、安全で働きやすい職場づくりに取り組むことを行動憲章に定めています。

この行動憲章に基づき、以下の健康経営方針を制定し、健康経営の実現に取り組んでいます。

健康経営方針

<基本方針>
シチズングループは、「市民に愛され市民に貢献する」という企業理念に基づき、企業の持続的成長とグループ全社で活躍する従業員のウェルビーイングの実現に向けて健康経営に取り組みます。

<健康経営行動指針>
1)人権と多様性を尊重し、安全で働きやすい職場づくりに取り組みます。
2)最も大切な資源である従業員一人ひとりが心身ともに健康で最大限のパフォーマンスを発揮できるように努めます。
3)オープンなコミュニケーションが出来る環境づくりに取り組みます。

シチズン時計健康経営組織体制図
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戦略マップ
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  • ※ シチズン時計では、2023年度より戦略マップを作成しました。

目標指標

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指標 指標定義 2022年度 2023年度 2024年度 目標(2030年)
アプセンティーイズム 1カ月以上の休職者(疾病による者)の発生率
対象者数/3月末人員(%)
0.6 0.6 0.7 0.3
測定人数:995名
回答率:100%
測定人数:1,027名
回答率:100%
プレゼンティーイズム ストレスチェックにおいてパフォーマンスを一緒に評価し、全体的な仕事の出来栄えについて問う設問(10点満点)に対する回答 6.5 6.6 6.4 7
(全国平均:6.2)
測定人数:941名
回答率:96.7%
測定人数:997名
回答率:98.3%
ワークエンゲージメント 従業員エンゲージメント調査における設問「業務を通じてやりがいを感じられるかどうか」という設問に対し、7段階評価のうち、上位2段階で回答した者の比率(%) 25.9 28.7 30.5 30.0
測定人数:969名
回答率:95.0%
測定人数:993名
回答率:99.0%
ヘルスリテラシー 健康年齢を維持改善するヘルスケアプラットホームPep Upへの登録率(%) 82.4 83.2 85.9 90以上
測定人数:995名
回答率:100%
測定人数:1,045名
回答率:100%

健康経営ロードマップの策定

シチズングループでは、メンタルヘルスケア、組織の活性化・女性特有の健康課題の解決機会の提供、定期健康診断、喫煙率の改善、運動増進、睡眠の改善の観点から、社員一人一人の心と体の健康増進と職場づくりを推進しています。

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2023年度結果 2024年度結果 2025年度目標 2030年度目標
施策とKPI 定期健康診断
  1. 定期健康診断受診率:100%
  2. 適正体重維持者率:71.9%
  3. 運動習慣者比率:26.9%
  4. 睡眠により十分な休養が取れている人の割合:58.8%
  5. たばこを吸わない人の割合:82.4%
  6. 要受診者(有所見者の中から産業医が治療・再検査等が必要と判断した人)の受診率:82.4%と昨年より大きく改善。
定期健康診断
  1. 定期健康診断受診率:100%(100%)
  2. 適正体重維持者率:71.9%(71.9%)
  3. 運動習慣者比率:24.3%と悪化(26.9%)
  4. 睡眠により十分な休養が取れている人の割合:60.6%(58.8%)
  5. たばこを吸わない人の割合:85.0%(82.4%)
  6. 要受診者(有所見者の中から産業医が治療・再検査等が必要と判断した人)の受診率:83.1%(82.4%)と昨年より更に改善。
  7. ハイリスク者の継続フォロー:100%
  8. 治療放置群:45名(2024年4月~2025年1月)
定期健康診断・事後措置強化
  1. 定期健康診断受診率:100%
  2. 適正体重維持者率:73%以上
  3. 運動習慣者比率:35%以上
  4. 睡眠により十分な休養が取れている人の割合:65%
  5. たばこを吸わない人の割合:87%
  6. 要受診者の受診率:90%以上
  7. ハイリスク者の継続フォロー:100%
  8. 治療放置群:0名
定期健康診断・事後措置強化
  1. 定期健康診断受診率:100%
  2. 適正体重維持者率:80%以上
  3. 運動習慣者比率:50%以上
  4. 睡眠により十分な休養が取れている人の割合:80%
  5. たばこを吸わない人の割合:90%
  6. 要受診者の受診率:95%以上
  7. ハイリスク者の継続フォロー:100%
  8. 治療放置群:0名
メンタルヘルスケア
  1. ストレスチェック受診率:96.7%
    職場診断結果を上司にフィードバックし、職場環境の改善に活用職場の支援:92(全国平均100)
  2. 高ストレス者の希望者面談 100%実施
  3. セルフケア研修:全従業員対象とし、88.3%の受講率
  4. ラインケア研修「ラインケア実践編」参加率:84.6%
メンタルヘルスケア
  1. ストレスチェック受診率:98.3%(96.7%)
    職場診断結果を上司にフィードバックし、職場環境の改善に活用。職場の支援94(全国平均100、昨年92)
  2. 高ストレス者の希望者面談:100%
  3. セルフケア研修:全従業員対象とし、90%(88.3%)の参加率
  4. ラインケア研修:「アンコンシャスバイアス」参加率 72%(84.6%)
メンタルヘルスケア
  1. ストレスチェック受診率:95%以上
    職場診断結果の活用し、職場の支援向上96
  2. 高ストレス者の希望者面談:100%
  3. セルフケア研修:全従業員へ展開。参加率90%以上
  4. ラインケア研修/ハラスメント研修:管理職参加率85%以上
メンタルヘルスケア
  1. ストレスチェック受診率:95%以上
    職場診断結果を活用し、職場の支援向上98
  2. 高ストレス者の希望者面談:100%
  3. セルフケア研修:全従業員へ展開。参加率90%以上
  4. ラインケア研修:管理職参加者85%以上
組織の活性化・女性特有の健康課題の解決機会の提供
  1. 組織の健康度(偏差値):52.6
    プレゼンティーイズム 10段階評価で6.6(全国平均6.2)
  2. 乳癌検診の無料化
  3. 女性の健康週間の周知とセルフチェックの推奨
  4. 「キャリアデザインと妊活」セミナー全従業員対象とし、83名が参加。
組織の活性化・女性特有の健康課題の解決機会の提供
  1. 組織の健康度(偏差値):52.8(52.6)
    プレゼンティーイズム10段階評価で6.4(全国平均6.2、昨年6.6)
  2. 女性特有の健康課題である骨密度測定の実施スタート。
    骨密度測定結果:年齢相応以上の割合72.1%
    「キャリアデザインと妊活」産業医によるセミナー(動画配信)をHPに常時掲載し、いつでも視聴出来るようにした。
組織の活性化・女性特有の健康課題・介護育児病気との両立支援・海外駐在者や出張者への健康課題等の取り組み
  1. 組織の健康度の向上(偏差値):55
    • 女性特有の健康課題である骨密度測定の実施スタート。
    • 骨密度測定結果:年齢相応以上の割合90%以上
    • 女性の健康課題や働きやすさの推進セミナーの実施
  2. 介護育児病気との両立支援推進 セミナー・アンケートの実施
  3. 海外駐在者や出張者へ「環境と安全」の研修参加:100%
  4. HIV/AIDS、結核、マラリア含めた感染症予防の事前説明実施
組織の活性化・女性特有の健康課題の解決機会の提供
  1. 組織の健康度の向上(偏差値):58
  2. 女性特有の健康課題や働きやすさの推進セミナーの実施

健康経営に関する投資額

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内容 2024年度
法定項目に対する投資(健康診断・ストレスチェック等) 11,000千円
研修に関わる投資 1,200千円
その他投資(懇親会補助・交流会・体力測定・食事補助) 13,000千円

「健康経営銘柄」に初選定
「健康経営優良法人 ホワイト500」に2年連続認定

シチズン時計は、2025年3月10日、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2025」(大規模法人部門、ホワイト500)に認定されるとともに、「健康経営銘柄2025」にも選定されました。

本制度は地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している企業や法人を顕彰する制度です。ホワイト500は顕彰を受けた企業のうち、大規模法人部門の上位500社に与えられる称号です。一方、健康経営銘柄は、ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が0%以上または直近3年連続で下降していない企業を対象とし、1業種1社を基本として選定されます。

当社は従業員の健康増進を図るため、禁煙運動の推進・腹部超音波健診の導入など健康診断項目の拡充・女性向け健康セミナーの実施等様々な施策を継続して実施してきました。人間ドックではなく定期健康診断で受診する従業員が多いことから、より健康増進を図るため、2024年度は定期健康診断の際、希望者に「腫瘍マーカー・ピロリ菌抗体検査」の追加を行い、以前から行っている腹部超音波検診・乳がん検診も含め人間ドックレベルの項目に近づけました。

乳がん検診は2023年度より35歳以上を対象に無料化とし、受診しやすい環境を整えています。女性を対象に骨密度測定も追加し、骨粗しょう症予防の啓蒙も行いました。また禁煙活動の推進・女性向け健康セミナーの実施等様々な施策を継続して実施してきました。

2024年度は、「男性の育児休暇の利用促進」の方針を定め両立支援を推進し、また、「仕事と不妊治療の両立支援」の推進では、年次有給休暇とは別の「サポート休暇」を設置しました。運動習慣者比率が全国平均より低いことから2023年から実施しているヘルスケアチェックの継続と体のゆがみセミナーの実施・健康いきいき体操の推進を通じた運動習慣の定着などの重点施策も展開しました。ヘルスケアチェックは91.1%、ウオーキングセミナーは97.2%、骨密度測定の取り組みは84%の人が取り組みに対して満足と回答しています。また社内スポーツ交流会(卓球)など職場の活性化を図るイベントを開催しました。

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東京:西東京市と埼玉:所沢市の2事業所の社員食堂では、専属の管理栄養士監修によるヘルシーメニューも提供しており、小鉢の野菜の副菜も豊富です。東京事業所では、フォレストランチと称して、開放的な屋外で探知を楽しんでもらう施策も展開しています。更に、食生活の改善や運動習慣をテーマにしたランチョンセミナーも開催しており、食を通じた社員の健康意識の向上に取り組んでいます。

従業員一人一人が心身ともに健康で最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、今後も健康促進および安全・安心な職場環境作りを継続していきます。

健康経営銘柄ロゴ
健康経営優良法人ロゴ

「健康経営アライアンス」への参画

シチズン時計は、2023年6月に設立された「健康経営アライアンス」に参画しました。同アライアンスは「社員の健康をつうじた日本企業の活性化と健保の持続可能性の実現」というビジョンに共感する222の企業・団体(同年8月末時点)が活動する組織です。当社はアライアンス参画を通じて、より高いレベルでの健康経営を実践することで、「従業員一人一人の豊かな未来の実現」や「従業員と会社の成長」を目指します。

健康保持・増進への取り組み

シチズン健康保険組合は、被保険者とその家族の健康保持・増進に向けて事業運営しています。さらに、シチズン時計が参画した「健康経営アライアンス」にも、シチズン健康保険組合として共同参加し、事業主の健康経営と健康保険組合の事業運営よる相乗効果を推進しています。

健康情報提供サイト『Pep Up』

シチズン健康保険組合では、加入者向けに健康情報提供Webサイト『Pep Up』を活用しています。このサイトから、健診結果に基づく「わたしの健康状態」や、健診結果から算出した「健康年齢」、各自の健康課題に合わせた「健康記事」、病院受診時の「医療費」やジェネリック医薬品の情報を確認することができます。

同サイトでは、「ウォーキングラリー」の開催や、健康診断の受診やヘルスケアアクティビティへの参加でポイントが貯まり、ヘルスケア関連商品と交換できるポイントプログラムなど、健保組合加入者の健康増進に役立つ多彩なサービスを提供しています。

なお、2024 年度末のPep Upの登録率は69.7%です。

特定保健指導・特定健診の実施

特定保健指導とは健康診断の結果、メタボ基準に該当した40歳以上の生活習慣病リスクの高い加入者への健康改善のために実施している保健指導制度です。生活習慣を改善するために、保健師、看護師、栄養管理士との面談を行い、自ら行動目標を設定して健康改善や健康に対する意識改善を図っています。健保組合は特定保健指導の実施を国から義務付けられており、当健保組合の実施率は2023年度実績が65%、2024年度は65%程度の見込み、2025年も65%を目標値としてWeb形式の保健指導に加え、対面形式での保健指導を実施する予定です。積極的支援から動機付け支援へ、動機付け支援から特定保健指導対象者外へ改善させる効果のある保健事業を目指しています。

データヘルス計画・特定健康診査等実施計画

2013年6月の日本再興戦略において、国民の健康寿命の延伸のためレセプト等のデータに基づく被保険者の健康保持増進のための事業計画「データヘルス計画」の作成や公表、事業実施、評価等の取り組みが保険者に求められたことから、当健保組合でもデータヘルス計画を策定して、生活習慣病の予防や早期発見、重症化予防のための保健事業を展開しています。

また、2008年4月に「高齢者の医療の確保に関する法律」が施行され、各保険者に対して40歳以上75歳未満の被保険者を対象とする特定健康診査および特定保健指導の実施が義務付けられ、当健保組合においても「特定健康診査等実施計画」策定しています。

2024年度から6年間の第3期データヘルス計画および第4期特定健診等実施計画がスタートし、新たな保健事業指針、分析・評価・課題抽出・対応策の取り組みが求められます。特定健診・特定保健指導については2センチ2キロの減少をはじめ、アウトカム評価の導入など多岐にわたる見直しが図られています。運営にあたっては、健康保険組合と事業主との連携、被保険者への周知機会を増やす取り組みが重要となる中、特定保健指導時の就業時間内での実施、指導対象者への参加勧奨等の事業主の協力により特定保健指導の実施率を向上させることができ、さらなる取り組みを進めています。

2024年度からデータ分析ツールを使ったレポート等を情報提供し、問題意識の共有を図り、課題解決に向けた取り組みを連携し進めています。

海外出張者および赴任者に対する感染症予防の取り組み

シチズン時計は、世界中に拠点を有する企業として、世界三大感染症(結核、マラリア、HIV/AIDS)等のグローバルな健康課題へ対応することの重要性を認識しています。海外出張者には出張の期間に依らず、渡航前に会社から感染症予防に対する講習を行い、渡航先に応じた予防接種の実施を推奨しています。また、駐在員として長期赴任する社員は、社員本人だけではなく帯同家族も含めて、会社負担で厚生労働省の推奨するワクチンおよび渡航地域に応じたワクチンの接種を行うよう義務づけています。

労働安全の徹底

労働安全についての基本的な考え方

「シチズングループ行動憲章」第4条で「人権と多様性を尊重し、安全で働きやすい職場をつくります」と規定している通り、シチズングループでは、職場環境の安全衛生を重視しています。そして従業員の安全周知や遵守徹底を図るべく、2022年6月にシチズングループ安全衛生基本方針を改定しました。今回の改定では、安全方針の適用対象を従来のグループ従業員から、お取引先を含めたサプライヤーに広げることで、サプライチェーン全体の安全衛生のさらなる向上を目指します。

シチズングループ安全衛生基本方針(2022年6月1日 改定)

  • 基本方針

    シチズングループは、「市民に愛され市民に貢献する」という企業理念を掲げ、世界の人々の暮らしに広く貢献することを目指しています。そのためには「安全と健康の確保は重要である」との認識の下、安全で衛生的な職場環境を確保し、そこで働く者の健康を促進し、安全と心身の健康に配慮した職場づくりを推進します。

  • 適用範囲

    本方針は、シチズングループのすべての役員と従業員、派遣社員、構内請負業者など、シチズングループの事業所で働く者に適用します。

  • 行動指針
    1. 各国や各地域における安全衛生関係諸法令を遵守すると共に、管理レベルの向上を図ります。
    2. 不測の事故・災害を未然に防ぐために、就業中の安全を常に意識し、労働災害の予防に努めます。
    3. 安全衛生活動を推進する体制の整備、責任所在の明確化を図ります。
    4. 事業活動の領域で、安全衛生に関するリスクの軽減を図るために、危険性、有害性等の事前評価を徹底します。
    5. 過剰な長時間労働の防止に努め、安全で健康な職場実現にむけ、心身の健康を維持する体制を整備し、健康管理を支援します。
    6. 安全衛生に関する活動の重要性を周知し、教育等により意識の向上を図ります。
    7. 安全衛生に関する活動状況を定期的にモニタリングし、改善を図るとともに、必要に応じて公開します。

労働安全ロードマップの策定

2024年度は、労働関連法令対応と遵守、安全衛生基本方針の浸透を図りました。2025年度は前年度に引き続き、更なる浸透に向けた周知活動に努め、法令遵守や基本方針の定着を目指します。

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2023年度 2024年度 2025年度 2030年度
目標 労働関連法令対応と遵守、安全衛生基本方針の浸透 労働関連法令対応と遵守、安全衛生基本方針の浸透 労働関連法令対応と遵守、安全衛生基本方針の浸透 労働関連法令対応と遵守、安全衛生基本方針の定着
KPI 時間外労働の法令遵守 時間外労働の法令遵守 時間外労働の法令遵守 業務休業災害ゼロ
施策
  • 安全衛生基本方針の国内・海外拠点での周知活動
  • 時間外労働のモニタリング
  • 労災防止対策の実行
  • 安全衛生基本方針の国内・海外拠点での周知活動の継続
  • モニタリングと法令遵守
  • 安全衛生基本方針の浸透
  • 安全衛生基本方針の国内・海外拠点での周知活動の継続
  • モニタリングと法令遵守
  • 安全衛生基本方針の浸透
  • モニタリングと法令遵守
  • 安全衛生基本方針に基づく活動の継続

安全衛生管理体制

シチズングループ主要6社では、法令で定められた安全衛生委員会を設置し一部の会社では取締役を含む委員会のもと安全衛生に取り組んでいます。グループ安全衛生連絡会を年間2回開催し、個社の安全衛生管理の活動情報や労働災害の発生を起点として、グループ各社の安全衛生委員会が実施した事故調査や対策をグループで情報共有して各社に水平展開することで、労働安全衛生環境の向上や労働災害の再発防止に役立てています。重大事故(クライシス)につながるインシデント発生に際しても、グループ間で直ちに情報を共有し、未然防止に努めています。ISO45001認証を取得している事業所は海外の1事業所のみです。

事故発生後の対応について

万が一労働災害が起きた場合は、その事例や要因・対策等を、月例の安全衛生委員会で共有して類似災害の防止や対策を徹底し、グループ目標である「事故発生ゼロ達成」に取り組んでいます。

労働安全衛生向上への取り組み

2024年度の安全衛生委員会は、残業時間が45時間超え・60時間超えの社員に対して、面談シートを送付して産業医面談を実施する法令に則った取り組みを行いました。なお2023年4月の安全衛生法の改正により、危険有害な作業を実施する際に、警備員や資材搬入業者など作業者以外の保護措置を図ることが義務付けられたことから、安全防御施設の整備を進め、グループ内で周知徹底を図るなど、労働安全環境のさらなる向上に努めています。なお化学物質の取り扱いに関して、従来の安全衛生委員会に代わり、2023年に新設された新規化学物質審査会において環境部門と連携して承認手続や管理指導を実施することで、化学物質のより適切な安全管理を図ります。2024年度は、化学物質管理者、保護具着用管理者を任命し法令遵守に努めました。

なお2024年度は安全衛生に関するコンプライアンス違反はありませんでした。

シチズン時計マニュファクチャリングにおける安全衛生の活動の取り組み

シチズン時計マニュファクチャリング株式会社では、労働災害の発生を防止するため、2024年度は様々な安全衛生強化策を実施しました。

  • 関連法令の改正に伴う新規化学物質の導入時の審査の見直し
  • 新型コロナウィルスの収束に伴う対応の一環として、工場間の安全衛生水準のレベル合わせを目的とした本社工場による工場巡回の再開
  • 各作業現場に安全データシート(SDS)を備え置き、各機械に「安全心得」「危険個所の表示」を指示。
  • 「始業前点検表」(日常点検表)を各機械に掲示して作業現場での安全点検を徹底。
  • 管理部門も含めて始業前に指差唱和「労災ゼロに実現 ヨシ!」を実施。

上記に加えて全従業員を対象に労働衛生教育に関するeラーニングを行い、2021年度は騒音障害防止について、2024年度は2023年度に引き続き化学物質取扱に関する研修を実施しました。 

労働安全性のリスク評価

シチズングループ主要6社では、新たに導入する工場設備や使用する化学物質に対して安全性のリスク評価を行っています。具体的には、新設備や装置の導入時に設備安全審査会が安全性等の評価を行い、事故や労働災害発生の未然防止に努めています。シチズン時計では、新規に化学物質を使用する際には必ずリスクアセスメントを実施し、環境部門が主管する新規化学物質審査会で審査を行った後、安全衛生委員会での確認を経てから取り扱いを開始しています。また既存の設備、作業環境や使用化学物質等についても法定検査および自主検査を実施し、安全管理を徹底しています。

  • リスク評価:化学物質専門審査、設備安全専門審査(新規プロジェクト等も含む)
  • 法定検査:防災管理点検、作業環境測定、機械設備等定期自主検査

2024年度は、AED(自動体外式除細動器)講習に加え、自動車および自転車通勤者や登録者を対象に交通安全講習会を実施しました。また、高圧ガスや液化窒素などの取扱者・管理責任者を対象とした高圧ガス保安講習会を、東京・所沢の2事業所で実施しました。高圧ガスの安全な取り扱いに向けて、外部講師を招いて受講し、高圧ガス事故発生の傾向や関連法規・取扱基本事項の確認および設備ついて学び、シチズン時計30名・シチズン時計マニュファクチャリング25名の計55名が参加しました。また、2022年の安衛法大改正に伴い、労働者が「濃度基準値設定物質」にばく露される程度を厚労省が定める濃度基準値以下としなければならないため、CWC東京・所沢事業所内における「濃度基準値設定物質」含有化学物質リストを基に、対象化学物質を保有している各職場を調査しました。その結果、全職場において、濃度基準値以下であることが判明しました。

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講習会の様子

労働安全衛生に関する実績のモニタリングと管理

シチズングループ主要6社では、各社個別に安全衛生管理活動計画を策定して、進捗と実績を定期的にモニタリングしています。休業災害の発生状況については、各社での管理に加えて、グループ全体を対象とするクライシス情報収集システムにおいて情報共有しています。2024年度の休業災害発生状況は0件でした。2030年度末には業務上の休業災害ゼロを達成するべく安全衛生活動の充実を図ります。

【事例紹介】安全衛生活動

東京事業所

東京事業所では、安全衛生委員会が年間の安全衛生管理活動計画を策定し、従業員の安全と健康の確保・労働災害の未然防止に取り組んでいます。毎月開催する安全衛生委員会では、安全・健康・労働災害と対策に関する審議や情報開示を行い、従業員の安全と健康に関するリスク低減を図りながら、「無災害日数(業務上死亡又は休業災害の未発生継続日数)3,600日(2018年9月6日〜2028年7月14日)」の達成を目指しています。2024年度は産業医による職場巡視に安全衛生委員会事務局も同行し多方向からの視点でパトロールを強化してきました。

防災面では、防災委員会のもと大規模な震災や火災を想定した総合防災訓練をはじめ、消火器・消火栓の操作訓練、油漏洩時の対応訓練を実施しています。 東京・所沢事業所では中央監視システムを統合し、一元管理できるBECSSを導入しました。更に防災関係のシステムを取りこみ、DX-Coreで統括管理をし、強靭な事業管理を行っています。東京事業所では、近隣の西東京消防署と住友重機械工業の3者合同による、総合防災訓練を毎年実施しています。2024年度は、住友重機械工業にて大型地震の発生に伴う工場火災を想定した避難訓練を実施しました。また安否確認手段の確立や防災備蓄品の確保など減災体制を整備し、従業員の防災意識の向上にも取り組んでいます。今後も安全衛生委員会と防災委員会を通じて従業員の安全と健康の確保に努めるなど、より安心・安全な事業所管理に取り組みます。

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総合防災訓練の様子

【事例紹介】TSUNAG-優良緑地確保計画認定制度

東京事業所

2019年にシチズン時計株式会社創立100周年記念事業の一環として、東京事業所の敷地内の老朽化した工場建物を撤去し、緑地「CITIZENの森」を創出しました。この緑地を中心に、従業員のウェルネス向上の視点に立ち、建物のみでなくランドスケープもオフィス空間として活用できる場を提供しています。武蔵野台地中央部に位置すること、そして土地の文脈を考慮し、武蔵野の雑木を組み合わせた、四季折々の景観づくりとやわらかな遮蔽に配慮した植栽計画としています。緑地は、従業員のワークプレイスとしてのみならず、多様な生物の住処、地域交流の場としての役割も果たしています。現在では、長期・中期・短期計画に基づく樹木管理、生物モニタリング、従業員を対象とした環境教育などを継続的に行っています。以上の内容が評価を受け、国土交通省が「まちづくりGX」の一環として創設した、民間事業者等による①気候変動への対応、②生物多様性の確保、③ウェルビーイングの向上などに貢献する良質な緑地の確保の取組を評価・認定する「優良緑地確保計画認定制度」において同事業所が認定されました。認定第1号の中では製造事業所として認定された唯一の企業となりました。

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