人権の尊重と労働慣行

⼈権についての基本的な考え⽅

シチズングループでは、グローバルにビジネスを展開する企業として、2005年に「国連グローバル・コンパクト」に署名して以来、「⼈権、労働、環境、腐敗防⽌」に関する10原則の⽀持・尊重・実⾏を⽬指しています。また、「シチズングループ⾏動憲章」第4条では、「⼈権と多様性を尊重し、安全で働きやすい職場をつくります」との基本⽅針を掲げ、⼈権の尊重、働きやすい職場づくり、職場での安全性と健康の確保についてのガイドラインを定めています。これにより、ビジネスパートナーとも協⼒しながら、⼈権を尊重する責任を果たすよう努めます。

⼈権デューデリジェンス実施体制

2019年度は、⼈権の尊重に対するシチズングループの責任と姿勢を改めて宣⾔することを取締役会で決定し、「シチズングループ⼈権⽅針」を策定しました。また、「現代奴隷および⼈⾝売買に関する声明」と「シチズングループ紛争鉱物対応⽅針」も併せて発表し、⼈権に関わる問題 認識にもとづき、グローバル企業として取り組んでいくことを明確にしています。
さらに、「シチズングループ紛争鉱物対応⽅針」については、2021年1月に、人権侵害に関与する可能性のある鉱物と調達地域の対象を拡大した、「シチズングループ責任ある鉱物調達方針」への改定を行いました。
これらの⽅針等を実践していく体制の強化も実施し、⼈権の尊重を担保していくための重要な組織体として、シチズン時計の⼈事担当取締役を委員⻑とする「グループ⼈事委員会」をサステナビリティ委員会のもとに設置しました。この委員会には、国内グループ各社の⼈事担当部⾨が委員として参加しており、グループ全体での人権の尊重を実践していくための施策や計画を決定しています。また、委員会では、各社での取り組み状況の報告・共有も行われています。さらに、委員会への報告事項は、サステナビリティ委員会を通じて、グループマテリアリティに関する取り組み状況として取締役会にも定期的に報告されています。
グループ全体での人権への尊重の取り組みは、シチズン時計の⼈事部が事務局を担いながらグループ全体の連携を⾏っており、国内グループ各社の人事担当部門が、グループ人事委員会での決定事項の展開と、事業活動上の人権の尊重やリスクへの対応を行っています。海外拠点への展開については⼈事およびCSR担当部⾨が連携し、⼈事委員会での決定事項等の周知を⾏っています。

 

シチズングループ人事委員会体制図

⼈権デューデリジェンスについては、国内グループ会社では従業員への意識調査などをベースとして実施しています。従業員からの⼈権問題に関する通報、相談や意⾒、提案などを受け付けるために、内部通報制度(スピークアップ制度も併設)を活⽤し、リスク対応や未然防⽌に役⽴てています。お取引先に対しては、「グループCSR調達ガイドライン」に基づく実態調査を進め るなどして、対応を進めています。
また、シチズングループは、英国現代奴隷法の適⽤会社を⼦会社として持つことから、毎年「現代奴隷および⼈⾝売買に関する声明」を新年度の初めに公開するなど、国際社会の⼀員として、⼈権問題の解決に向けた責任を果たしています。

⼈権⽅針に関する社内研修も徹底し、2020年度は国内のグループ従業員に対するeラーニングを実施しました。シチズングループでは、12月を⼈権⽉間に設定し、国内グループ各社とタイ、アメリカ、オーストラリアの拠点で、⼈権に関して理解を深めるために、⼈権⽅針や世界⼈権宣⾔全三⼗条の内容について紹介する⼈権パネル展⽰会を実施しました。こちらの取り組みに関しては、今後他の海外グループ会社にも展開していきます。

人権パネル展示会の様子
人権パネル展示会の様子

人権の尊重に関するロードマップに対する進捗と今後の展望

人権の尊重の意識の醸成

シチズングループでは、2020年度は、人権尊重の意識をグループ全体に根付かせるため、上記の人権月間の取組みと、国内の従業員に対する、サプライチェーン上の人権尊重についてのeラーニングといった施策に加え、3つ目の施策として、グループ社内報で「人権特集」を組み、シチズン時計の社長からのメッセージとともに、サプライチェーン上の人権尊重について、グループ各社と他社の取り組み事例を周知しました。社長メッセージは、国内全従業員に対しメールでも配信しました。

人権デューデリジェンスの実施体制構築への取り組み

2020年度は、人権デューデリジェンスの実施に向けた枠組みづくりとして、「体制の整備から負のインパクトの特定」を目標に掲げ、人権に関する認識の浸透や、リスクにも繋がる事業上の人権への負のインパクトの特定に取り組みました。具体的には、継続的に実施している従業員意識調査から人権に関するリスクの特定を進め、ハラスメントの相談、健康相談、ストレスチェック等も継続して実施しました。そのほか、負のインパクトの特定に際しては、グループのコンプライアンスホットラインへの通報内容等も活用しています。
更に、外国籍の従業員や技能実習生に対しては、母国語に翻訳したCSR人権調査チェックリストやCSR意識調査アンケート等を活用し、職場環境における人権リスクの調査をグループ各社で実施しています。また、サプライチェーン上の人権リスクの特定に向けて、サプライヤーに対するSAQ 等による人権デューデリジェンスも進めています。

今後の展望

2020年度は、人権尊重のための枠組みづくりや人権リスクの特定に着手しました。今後は、人権尊重の意識の浸透に向けたeラーニング等の海外展開を進めるとともに、引き続き人権デューデリジェンス実施体制の構築や事業における人権リスクの特定を目指します。

労働慣⾏についての基本的な考え⽅

シチズングループでは、従業員が働きやすい職場づくりや働き甲斐のある職場環境整備を重視しています。この一貫として「健康宣⾔」を公表し、従業員の健康管理を経営的な視点で考え実践する「健康経営」を推進しています。また、⼥性従業員を取り巻く環境についてジェンダーダイバーシティの観点から考え、「ダイバーシティ経営」の実践にも⼒を⼊れています。組織競争⼒の源泉である多様な従業員一⼈ひとりが、能⼒を発揮し⻑く働ける組織づくりを⽬指しています。

労働慣行に関するロードマップに対する進捗と今後の展望

働き方改革と人材育成

シチズングループでは、優秀な人材の確保と育成こそが「サステナブル経営」に繋がると考えています。そのため、グループ各社が主体となり、多様な人材が活躍することができる働きやすい職場環境づくりを進めるとともに、グループ人事委員会での各社の取り組み事例の共有等により、グループ全体で職場環境整備を促進しています。2020年度は、グループ内でテレワーク制度の導入が進みました。
人材育成に関しては、シチズン時計で、2019年度から運用している「360度評価」の成果を人材マネジメントや研修内容の向上に活用しています。また、優秀な人材を活かすためのタレント・マネジメントでは、従業員から保有資格や異動希望等を申告してもらうほか、研修についても、各自の学びたいことや実現したいことに合わせた研修メニューを設けるなど、個人のキャリア形成を支援する仕組みを構築しています。職場環境の改善と同様に、人材育成についても、グループ内での共有と展開を進めています。

労働安全衛生向上への取り組み

安全・安心な職場づくりのため、グループ全体で連携体制を構築しています。具体的には、月次の安全衛生委員会を各社で実施し、年2 回グループ全体での安全衛生連絡会で、各社の取り組みについての情報共有を行っています。2020年度は、コロナ禍の影響により連絡会は中止となりましたが、各社間でのメール等による情報共有を密に行いました。
現場における安全衛生への取り組みとしては、通常の業務とともに、化学物質の取り扱いにおけるリスクを重視し、そのリスクマネジメントを行っています。具体的には、新たに使用するすべての化学物質は、使用方法等を安全衛生事務局で審議しているほか、一部の化学物質については、他の関連部門とも連携した多面的なリスクマネジメントにより、労災事故の未然防止に努めています。また、設備や装置の導入に関しても、設備安全審査会が安全性等を審査し、安全衛生の確保を徹底しています。
万が一労働災害が起きた場合は、その事例や要因、対策等を安全衛生委員会で共有することで類似災害の防止や対策を徹底し、グループ目標である「事故発生ゼロ達成」に取り組んでいます。その成果として、労災事故の発生状況には減少傾向が見られています。

今後の展望

2020年度はコロナ禍の影響により、働き方や仕事への意識が大きく変容しました。その中で生じる従業員一人ひとりの不安やストレスの解消とともに、能力を十分に発揮できる職場環境づくりに今後も取り組んでいきます。同様に、安全衛生に関する活動も一部中止となりましたが、状況に応じてオンラインでの情報共有・展開を積極的に進めていきます。