マテリアリティ(重要課題)

シチズングループとして捉えるべき2030年近傍の社会課題をサステナブル社会、デジタル社会の視点で整理し、そこからバックキャストして「シチズングループビジョン2030」を2022年4月に策定しました。

「シチズングループビジョン2030」の実現に向け、中長期の環境変化とメガトレンドの考察を踏まえ、社内外の視点からシチズングループのマテリアリティ(持続的な企業価値向上のための重要課題)を事業活動及び事業基盤の両面で整理し、5つのマテリアリティを特定しました。

シチズングループビジョン2030とマテリアリティの位置付け
図

マテリアリティの特定プロセス

  1. ステップ1:社会課題の抽出

    中長期的な社会動向、自社の方向性、ESG外部評価、レビュー等をふまえて社会課題を抽出

    • ※参照:SDGs、環境・社会・経済分野のマクロトレンド、FTSE、MSCI、GRIスタンダード、ISO 26000等
  2. ステップ2:社会課題の重要性評価

    社会にとっての影響度と自社にとっての重要度を評価しマテリアリティ案を仮定

  3. ステップ3:マテリアリティ案の妥当性評価

    外部有識者への確認、サステナビリティ委員会での議論を経て、各事業の該当施策と照らしマテリアリティ案を再考

  4. ステップ4:マテリアリティの特定

    サステナビリティ委員会で再確認の上、経営会議・取締役会においてマテリアリティを特定

図

特定したマテリアリティ

  • 気候変動への対応と循環型社会への貢献
  • 質の高い生活への貢献
  • 産業分野におけるソリューションの提供
  • 働きがいの向上と人財の育成
  • 社会的責任の遂行

マテリアリティの機会とリスクおよび施策

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E
S
G
マテリアリティ 機会/リスク 分類 事業活動面/事業基盤面の主な対応施策 該当する
事業
E 気候変動への対応と
循環型社会への貢献
13 14 15
機会
  • 省エネ/省資源や生産性向上に資する製品/サービスの需要拡大
  • CASEの進展
リスク
  • 事業所の風水害被災
  • エネルギーコストの増大
  • 特定業界・顧客への依存
  • 製品含有化学物質に関する法規制違反
気候変動への対応
【事業活動面】
  • エコカー(EV・HV)への部品供給、照明用LEDの販売等
【事業基盤面】
  • CO₂排出削減、再エネ導入拡大等
時計
工作機械
デバイス
電子機器
循環型社会への貢献
【事業活動面】
  • 永く愛用できる光発電時計と機械式時計の販売
  • LFV・摩擦接合技術を搭載した工作機械の拡充等
【事業基盤面】
  • 水使用量の削減、再資源化の推進、有害化学物質管理、包装資材の削減等
S 質の高い生活への貢献
3 4 5
機会
  • 機能的価値から情緒的価値へのシフト
  • 治療から予防医療へのシフト
リスク
  • スマートウォッチの普及
  • ヘルスケア市場の競争激化
  • 医療機器の規制改変
  • 個人情報の漏洩
多様なライフスタイルへの貢献
【事業活動面】
  • カスタマイズ時計・サービスの提供
  • パーソナライズ体験のloTプラットフォームの提供等
時計
デバイス
電子機器
【事業活動面】
  • デジタルカメラ、ヘッドマウントディスプレイ等への液晶デバイス提供等
医療・ヘルスケアへの貢献
【事業活動面】
  • 殺菌効果の高いUVCモジュールの販売、細菌分析用検体保持プレートの販売等
  • 誰もが使いやすい体温計・血圧計の提供
  • デジタルヘルスケアサービス『健康予約』の提供等
産業分野における
ソリューションの提供
08 09
機会
  • FA化/省力化/自動化/デジタル化
  • 製造管理効率化に資する製品/サービスの需要拡大
  • CASEの進展
  • 次世代通信インフラの普及
リスク
  • 事業機会の損失
  • 競争力の低下
  • デジタルを武器とする他業界からの競合参入
省力化・自動化ソリューションの提供
【事業活動面】
  • 「機械・デジタル技術・使いこなす技術」の活用と提供等
【コラム】
工作機械
デバイス
電子機器
次世代通信技術への貢献
【事業活動面】
  • 正確な時刻情報を必要とする機関への時刻基準情報の提供等
  • センシングデバイス(遠隔操作ロボット等)の開発・販売等
モビリティへの貢献
【事業活動面】
  • EV車のシグナル灯等へのレーザーの開発・販売等
  • 高度なブレーキシステム、通信システム、センサー等への部品供給等
働きがいの向上と
人財の育成
4 5 08
機会
  • 従業員エンゲージメントの向上
  • DX/イノベーションの促進
リスク
  • 人財の流出
  • 業績悪化
働きがいの向上
【事業基盤面】
  • 従業員エンゲージメント向上施策の実施、教育機会の提供等
時計
工作機械
デバイス
電子機器
人財の育成
【事業基盤面】
  • 変革推進人財のグループでの育成、経営人財育成におけるグループ連携強化等
ダイバーシティ・インクルージョン
【事業基盤面】
  • 女性管理職候補の計画的育成と登用、男性の育児休職取得推進等
G 社会的責任の遂行
12 16 17
機会
  • サステナブルファクトリーの実現
  • 大手顧客の取引条件への適合
リスク
  • 企業価値の毀損
  • レピュテーション
  • 経営基盤の弱体化
リスクマネジメントの強化
【事業基盤面】
  • グループ重要リスクの更新と運用等
時計
工作機械
デバイス
電子機器
品質コンプライアンスの順守
【事業基盤面】
  • グループ品質行動憲章の浸透活動等
人権の尊重と労働慣行
【事業基盤面】
  • 人権デューデリジェンスの実施等
持続可能な調達の推進
【事業基盤面】
  • CSR調達、グリーン調達、責任ある鉱物調達等

【コラム】製造業のデジタル変革を支援する「alkapplysolution(アルカプリソリューション)」

製造業の現場を含め、社会全体のデジタル化による変革が進む中、シチズングループは早くから社内変革を進め、ソリューション開発に取り組んできました。

精密機械メーカーのシチズンマシナリーでは、付加価値を高める工作機械とそれを扱う人を最大限に活かすためには、「機械」、「IoT」、「使いこなす技術」を環状につなげ、三位一体で力強くドライブしていくことが必須と考え、11製品・サービスからなるデジタル化アイテム「alkapplysolution(アルカプリソリューション)」の開発と提供を進めています。例えば「aleart live2」は工作機械の稼働状態をIoTによって可視化し、安心・安全に効率よく運用するためのネットワーク稼働監視サービスです。また、マニュアルや技術者育成用のeラーニング教材、ソフトウェアなど最新の「使いこなす技術」をデジタルコンテンツで提供するウェブサービス「alkart site」は、現在1,000社を超える精密部品加工企業のメンテナンス業務や従業員教育に活用されています。上記2サービスを含めalkapplysolutionでは多彩なネットワークサービスやウェブサービスなどのソリューションを展開しています。

1990年代から現在に至るまで自動車、半導体、医療機器など様々な部品製造業界に採用され、現場の課題と向き合いながら時代に合わせた進化をつづけてきたalkapplysolutionは、先行きが見通し難い現代の経済環境に対応する生産システムへの変革や働き方改革のニーズに貢献します。

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有識者からのコメント

昨年特定されたマテリアリティについて、着実に取り組みを進めている印象を受けました。

まず、前回課題として挙げた「目標の設定」について、今年度からは「人財の育成ロードマップ」や「健康経営ロードマップ」についても開示されており、取り組みの推進と情報の拡充に素早く対応していることを評価します。

マテリアリティの「気候変動への対応」では、2022年はシナリオ分析を実施し気候変動における重要なリスクと機会を特定し、2023年は財務影響分析を実施し、外部要請に的確に対応している点も評価できます。

今後の取り組みに期待する点は、サプライチェーン全体でのサステナビリティの更なる推進です。

「持続可能な調達の推進」のKPIとして、SAQや説明会の対象を増やすことも記載されているため、目標達成に向けて更なる活動を期待します。

株式会社ディ・エフ・エフ
ディレクター
小澤 和也