働きがいの向上と人財の育成

人財についての基本的な考え⽅

シチズングループでは、人財の確保と育成が「サステナブル経営」に繋がると考えており、成長ステージに応じた従業員の能力開発の支援を進めています。そのため、グループ各社が主体となり多様な人財が活躍できる働きやすい職場環境づくりを進めるとともに、各事業会社の方針と事業環境に沿って、各社の成長を牽引できる人財を育成しています。

グループ人財ローテーションの実施

シチズングループ対象の育成メニューとして、シチズン時計が主催するグループ階層別教育と、シチズングループ各社で展開する人財教育を整備しています。また、グループの将来を担う次世代リーダーの育成にも力を入れており、グループ会社間で個社の枠を超えた人財ローテーションを行っています。次世代リーダー育成プログラムに選出された社員は、出向先の業務やワークショップ型研修を通じて、グループ会社毎の事業環境への理解を深め、ネットワークを個社からグループへと広げ、将来的には個社のみならずグループ全体の成長を牽引することを期待されています。

研修体系

シチズン時計では、社員一人一人のキャリアの自律を基に、会社主導と両軸でプロフェッショナル人財を早期に育成し、社員の成長と共に会社の成長を図ることを目指しています。自律的なキャリア開発を可能とするため、キャリアセミナーを希望者に向けて実施、階層別、テーマ別に組まれた教育研修体系のうち、希望者全員が自身に必要な講座を選択できる挙手選択型研修を拡充しています。

また、2022年度からは管理職向けのリスキリング研修を導入し、生涯学習を通じて社員が自己の成長や働きがいを実感することで、会社の成長へと繋がるよう計画しています。

階層別研修
新入社員研修/新任上級職研修、新任部課長研修など
目的・テーマ別研修
挙手選択型研修、育児期社員研修/海外赴任前研修など
自己啓発

自己啓発eラーニング(schoo)/時計学校など

  • ※ 会社指定資格取得者を表彰するビジネスライセンス表彰制度あり
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  • ※ 研修の内容によって、参加必須/上司推薦/本人応募など条件は異なります。

自律的なキャリア開発と多様なキャリアパス

2021年度シチズン時計では、自律的なキャリア開発を目指して、若手中堅の希望者に向けたキャリアデザインセミナーを開催しました。合計60名以上がキャリア開発の基本的な概念や応用理論を学び、同世代の社員同士が語り合うことで、日頃接することの少ない他部門の業務への理解を深める機会にもなりました。また同年、シチズン時計では「社内副業制度」を新たに開始しました。全就業時間の2割程度を社内の他業務に就くことができる制度で、通常の業務では得られない知識やスキルの獲得、人脈形成が可能となり、社内リソースの最適化も期待できます。2021年度は 7名の従業員が社内副業制度を利用しました。先に導入されている社外副業と合わせて、社員が希望する経験を自発的に選択しうる機会として活用されています。

部門における人財育成に関して、シチズン時計では2019年度から運用している「360度評価」とそのフォローアップ研修を人財育成やマネジメント力の向上に活かしています。多様な人財の活躍を促すタレント・マネジメントでは、従業員から保有資格や異動希望等の申告を受けるほか、研修についても、各自の学びや目標に合わせた研修メニューを設けるなど、個人のキャリア形成を支援し、人財力を全社で向上・最適化する仕組みを構築しています。

多様なキャリアパスの一例として、シチズン時計は、2021年度からフェロー制度を導入し、高度な専門知識や卓越した実績を有する人財を対象に、役割期待に合わせた報酬や60歳以降も継続して同一の勤務形態で就業できる待遇を用意して、功績に対する適正な評価や後継者の育成強化、企業価値の向上を図っています。

働き方改革と多様な働き方の実践

シチズン時計では、働き方の多様化への対応やワークライフバランスの充実を目的としたテレワークの制度化、フレックスタイム制の適用範囲の拡大と、場所や時間に縛られない働き方をいち早く実現しており、昨今のコロナ禍においても、在宅勤務形態へと速やかに移行し、感染拡大の防止や事業への影響の抑制に繋がりました。また働き方改革の一環として、従来8時間の就業時間を7時間45分に短縮しました。生産性の向上や全ての社員がいきいき働く環境を目指し、社員主導の業務改善プロジェクトを立ち上げ、各職場での業務改善や効率化に寄与するシステム導入などを推進してきました。

一方で過剰な労働を避けるため、労働基準法遵守の観点や従業員の健康管理面からも過剰な残業や業務の集中を極力避けるよう、部門ごとに従業員の残業時間の把握に努めるとともに、部門長に対して随時指導を徹底しています。また、労働組合とも情報交換など緊密な連携を図り、適正な運用に努めています。

従業員エンゲージメントの向上に向けて

シチズン時計では、社員意識調査の結果をテレワーク制度や研修・育成メニュー等の導入に反映し、働きがいの向上に努めています。2022年度より従来適宜実施していた意識調査をエンゲージメント調査として定期的に実施、施策に反映することで、従業員エンゲージメントの向上を継続的に図っていきます。

その他人財育成の取り組み

【事例紹介】ものづくり技能者の育成

シチズン時計マニュファクチャリング

「世界⼀優良なる時計製造⼯場の実現」を⽬指すシチズン時計マニュファクチャリングでは、モノづくりの技能向上・⼈材育成・技能継承を⽬的とした「時計学校」を設置しています。技能検定をはじめ、内部の製造に合わせて独⾃に作り上げた社内検定、ビジネスキャリア検定等の資格取得への挑戦を推進し、ベテラン社員や職場の有技能者が講師となり、若⼿社員や経験の浅い社員への技能・技術伝承の教育を⾏っています。

また、同じく技術・技能の向上を⽬的に「技能五輪全国⼤会」に参加しています。本⼤会は将来の⽇本のモノづくりを担う満23歳以下の若⼿技術者による技能を競う⼤会で、2021年度の大会に於いて、時計修理職種に3名、メカトロニクス職種に1チーム(2名)が挑戦し、時計修理職種は出場全員が入賞(銀賞、銅賞、敢闘賞)し、メカトロニクス職種は入賞こそ出来なかったものの、全課題征服する偉業を達成する事が出来ました。

このような取り組みは従業員のモチベーションアップにもつながり、また⽬標に向かって努⼒する姿勢を養うことで、モノづくりを通じた「⼈づくり」にもつながります。
今後も時計学校の活動や技能五輪の取り組みを通じて、若⼿技能者育成と技術・技能の継承、及び従業員のレベルアップを継続していきます。

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技能五輪大会(時計修理職種)

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技能五輪大会(メカトロニクス職種)

【事例紹介】CST(キャリア・サポート・トレーニング)の実施

シチズン電子

シチズン電子では、従業員にOJTの重要性を理解してもらい、職場内の指導・育成体制の枠組みを行うべくCSTと称した3年間の新入社員育成制度を実施しています。

CSTでは、まずチームチーフ(OJT指導者)・メンバー(入社3年以内の若手)が一対一となり相互にものの考え方や業務に対する姿勢を学ぶ機会を設定し、個人・組織のスキル向上およびコミュニケーション力の向上を図っています。この制度は、新入社員にとっていつもすぐ側に頼れるチームチーフがいることで強固な信頼関係の下でのスキルアップが期待できますが、単なる若手育成の場にとどまらず、チームチーフにとっても指導者としての立場を経験してもらうことを通じ、相乗効果的な人財育成を図ることで将来の組織強化にも繋けることを狙っております。OJT活動の更なる活性化に向け、3年間のCST期間終了時には成果発表会を実施し、⾃業務の振り返りと今後のキャリアをプランニングする機会としています。CSTを通して、組織の活性化や、人財の定着による早期戦力化を念頭に置きつつ、若手を組織的に企業の中で育成していく風土を作るため、職場・OJT指導者・人事が一体となり取り組みを推進しています。

  • ※ OJT:職場で実務をさせることで行う従業員のトレーニングのこと
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入社後3年間の成長をアピールする
成果発表会の様子
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新入社員は3年間同期全員で
切磋琢磨しています