⽔リスクと機会への対応

シチズングループでは、国内海外の全ての生産拠点において、高効率設備導入や水循環利用の推進による水使用量の削減および、厳しい排水管理による工場排水のクリーン化など、持続可能な水資源の利用を推進しています。拠点ごとに詳細な目標を立てて水リスクの低減に取り組んでいます。

水関連のリスクと機会

主要事業拠点における水リスクマップ
図
  1. ※ 2022年6月現在 WRI Aqueduct 評価より
  2. ※ 各地域データ(%):シチズングループの各地域における取水量の比率
  3. ※ 全体的な水リスクの程度は、その国の拠点の中で最もリスクの高い地域の程度を表示しています。
WRI aqueductによる評価

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  全体的な水リスク 水ストレス 河川洪水リスク 沿岸洪水リスク 未処理の接続排水 沿岸富栄養化ポテンシャル
Extremely high 中国1拠点 タイ2拠点 なし 中国4拠点 フィリピン2拠点、ベトナム1拠点 日本23拠点
High タイ2拠点、フィリピン2拠点 タイ2拠点、中国1拠点 タイ4拠点、ベトナム1拠点 なし タイ4拠点、中国6拠点 中国5拠点
  • ※ 拠点の立地する流域を評価したものであり、拠点個別の立地や対策を考慮したものではありません。
  • ※ 全体的な水リスクの程度は、その国の拠点の中で最もリスクの高い地域の程度を表示しています。

水リスクの高い地域での操業

水関連のリスクと機会は、気候変動と同様に、全社的なリスクマネジメントシステムに統合して特定しています。また、サステナビリティ委員会の審議事項にも含まれており、ISO14001の枠組でリスク特定を図っています。3〜5年先の水関連のリスクと機会については、WRI Aqueductを利用して年1回定期的に見直しています。これら評価結果に各拠点の地域情報を加味した結果、シチズングループにおいて、タイにある4工場と中国の1工場が水リスクが高い地域に生産拠点があることが分かりました。流域における淡水量不足リスクの指標である水ストレスだけではなく、地域の生態系に影響を与える排水の水質に関する指標にも注目し、環境目標2030には排水水質向上の目標を追加しました。今後は生産拠点における水リスクの評価をさらに充実させ、拠点ごとのリスクに応じた目標設定も検討していきます。また、異常気象による洪水や水不足の発生などの水関連のリスクは直接操業および部品調達等のバリューチェーンに大きく影響し、収益性低下をもたらす要因となりますが、シチズングループの水関連の機会を特定した結果、事業に直接関係して実質的影響を及ぼす可能性のある水関連の機会はなく、洪水リスクも認められませんでした。2023年度は渇水リスクに加えて、水質汚染など水質汚染についても地域ごとに調査を行い、リスクの顕在化や削減をきめ細かに対応していきます。また、サプライヤー調査を充実させるほか、水リスク低減活動の要請なども行っていきます。

水リスクの情報は、地域の工業団地の管理者や行政機関と緊密なコミュニケーションを通じて常に最新情報に更新しています。また新規事業の展開や新工場の建設時に、水関連のリスクと機会の特定と評価を同様に行っていますが、2022年度の対象案件はありませんでした。

水リスク対応への取り組み

シチズングループでは、水供給リスクに対応した持続可能な水資源利用を推進するために、取水量の削減目標を設定して改善に取り組んでいます。また、水関連の法規制などの規制リスクへの対応および工場排水のクリーン化のため、排水処理施設からの排水品質をモニタリングし、法規制値より厳しい自主基準値を設定して排水管理に取り組んでいます。法規制値以上に厳しい独自基準を設定している工業団地の工場では、工業団地管理者との協議を経て、独自の排水基準値を設定しています。

なお2022年度は水関連の重大な法令違反、罰金・科料はなく、水に関連する有害な影響もありませんでした。

なお半導体の製造において、シリコンウェハーからチップを切り出す際のダイシングの工程において大量の水を必要としますが、シチズン電子では、ダイシング装置から切削排水を回収して濾過させた後、繰り返し供給するシステムを採用しています。このシステムにより年間1,104,902ℓ/台の水使用の削減が可能であり、限りある水資源を有効活用しています。

シチズングループの取水量の推移

シチズングループ環境目標2030では、2018年比で取水量35%減という大幅な削減目標を設定して、水資源の保全活動を進めています。

2021年度の国内取水量は1,219千㎥、海外取水量は563千㎥、合計の取水量は1782千㎥でした。その結果、2022年度取水量目標である2018年度比12%削減を達成しています。取水先は、地下水33%、上水道38%、工業用水20%の割合でした。製造プロセス全般の水リスクに配慮する「サステナブルファクトリー」の実現に向けて、節水・高効率設備の導入や水の循環利用等を実施し、2023年度以降についても取水、排水量の削減をさらに推進していきます。

取水源別取水量

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単位:千㎥
  2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
淡水の地表水 国内 0 1 1 1 0
地下水(再生可能) 国内 590 562 546 583 640
第三者の水源(上水道水) 国内 473 443 399 410 381
第三者の水源(工業用水) 国内 240 231 158 216 199
国内合計 1,303 1,237 1,104 1,209 1,220
淡水の地表水 海外 0 0 0 0 0
地下水(再生可能) 海外 10 4 2 4 2
第三者の水源(上水道水) 海外 537 503 389 414 375
第三者の水源(工業用水) 海外 375 210 256 233 185
海外合計 922 717 648 651 563
合計 2,225 1,954 1,751 1,860 1,783