K・M
商品企画部
2003年入社
商品企画部に所属していた2012年に初代CITIZEN Lの開発を担当して以来、サステナビリティを根幹に位置付けたリブランドの主導や時代のニーズに合わせた商品企画を担当。現在はCITIZEN Lのユニットチームリーダーとして、ジュエリーライクウオッチブランドへのイメージ移行をはじめ、時代に合わせたブランド価値の進化を牽引している。
Cross Talk VOL.3
発売以来、世界の女性に愛され続けている「CITIZEN L」。その特色はサステナビリティをブランドの根幹に位置付け、自然の美しさからインスパイアされたデザインとサプライチェーン全体における人や環境に配慮した倫理的な行動へのこだわりにある。2027年には発売15周年を迎えるが、その根底に流れる「本当の美しさとは何か」を追求し続ける姿勢は揺るがない。ここでは「CITIZEN Lユニットチーム」の3名に、開発当初から継承され続けるサステナブルなものづくりに対する想いを語ってもらった。
このプロジェクトの登場人物
K・M
商品企画部
2003年入社
商品企画部に所属していた2012年に初代CITIZEN Lの開発を担当して以来、サステナビリティを根幹に位置付けたリブランドの主導や時代のニーズに合わせた商品企画を担当。現在はCITIZEN Lのユニットチームリーダーとして、ジュエリーライクウオッチブランドへのイメージ移行をはじめ、時代に合わせたブランド価値の進化を牽引している。
A・G
宣伝部グローバル宣伝課
2023年入社
2025年からグローバル宣伝担当としてCITIZEN Lのユニットチームに。通常の宣伝活動だけでなく、CITIZEN Lのブランドサイトでサステナビリティに関する取り組み情報や各プロダクトのCO2排出量などを公開している。
A・K
商品企画部
2023年入社
2024年から海外サブブランド担当としてCITIZEN Lの商品企画を担当。市場ニーズやトレンドの把握、競合・売上分析を踏まえた商品企画を提案している。環境への配慮とデザイン性の両立を意識したCITIZEN Lらしい魅力を持った商品を考え続けている。
01
CITIZEN Lは当初「国境を越えた美しい時計」をテーマにイタリアチームと共同開発された。キーワードは「自然美」。しかし、2012年に発売開始したが販売は振るわなかった。ブランド転換のきっかけは、「本当に美しいものとは何か」という社内での問い直し。外見だけでなく「内面の美しさ」「人や環境への配慮」を重視し、当時はまだ一般的ではなかった「人や環境に配慮した倫理的な行動であるエシカル」「サステナブル」を取り入れてリブランドを行った。
02
リブランドではデザインに一貫して「自然の美」を取り入れる一方、紛争鉱物を使わない、CO2排出量の可視化、サステナブルパッケージ導入など、当時の時計業界では珍しい取り組みを展開。そして2016年、日本市場でリブランドされたCITIZEN Lが正式デビュー。「新感覚ラグジュアリー」「エシカルジュエリーウオッチ」「地球も自分も美しくする」を掲げ、従来の“高級=装飾性”だけではない価値を打ち出し、市場で高い評価を得た。
03
サステナブルを象徴するブランドとして、CITIZEN Lは今も進化し続けている。2020年代に入ると環境負荷低減素材などを採用したサステナブルウオッチを発売するなど、時代のニーズに合わせた試みを次々に実施。2022年の10周年モデルではバイオミミクリー(自然模倣)を採用し、「地・水・火・風」をテーマに自然との共生を表現した。現在は事業成長の一翼を担うブランドに成長したCITIZEN Lだが、その根底に流れる「本当の美しさ」を追求する姿勢は変わらない。商品企画・デザイナー・宣伝など女性を中心とするユニットチームのメンバーには、先人たちの「想い」が引き継がれている。
A・K CITIZEN Lは当初、海外の女性向け商品として、「Beauty is Beauty」をフレーズに発売されました。しかし販売は思うように伸びず、リブランドに取り組みました。当時はどのような議論があったのでしょう?
K・M シチズンらしい女性ブランドの在り方とは何かを社内メンバーで何度も議論し、意見を重ねました。その過程でたどり着いた答えが、内面も外見も美しい時計こそが、シチズンのレディースブランドであるという考え方です。議論ではそれぞれが本当に美しいと思う女性を挙げていったのですが、そこで多く名前が出たのがオードリー・ヘップバーンとダイアナ妃でした。共通するのは外面の美しさだけでなく社会貢献性の高さに象徴される内面の美しさです。そこで社内の女性メンバーを中心にさらに検討を重ね、デザインとしての美しさはもちろん、製造工程や使用する素材に至るまで「美しくあること」を追求する。その姿勢が、CITIZEN Lの原点として定まりました。
A・G 2016年に日本で発売されたCITIZEN Lはサステナブルな価値観を取り入れ、「エシカルジュエリーウオッチ」というキャッチフレーズが付けられています。SDGsが国連で採択されたのが2015年ですから、とても先進的な考え方ですね。
K・M だから社内ではなかなか理解されませんでした。しかし私たちが目指す方向について話すと、企画部門だけでなく広報・営業・販売スタッフの女性社員から賛同する声が高まり、協力する人たちが集まって、いつしか“エルチーム”と呼ばれるようになりました。こうした女性の後押しを受けてついに発売が決定。CITIZEN Lに込められた想いは発売と同時に多くの女性に支持され、高い評価を受けました。この原点は今もチームメンバーにしっかりと受け継がれて、日々のものづくりや判断の軸となっています。その姿勢こそが、CITIZEN Lが「サステナブル」という価値を一過性の取り組みではなく、本質的な付加価値として提供し続けられている理由だと考えています。私は立ち上げ当初から関わり続けている最後のメンバーとして、当時の想いを今のチームに伝えることも重要な役割だと考えています。
A・K 私は2024年にCITIZEN Lの商品企画担当になりました。実はそれまでサステナブルにそれほど関心はありませんでしたが、商品企画として様々な取り組みに触れ、その背景や意義を知るうちに、自分ごととして興味を持つようになりました。
A・G 私がCITIZEN Lのグローバル宣伝担当としてユニットチームに入ったのは2025年です。これまで積み重ねられてきた取り組みを正しく理解し、継承することをまず大切にしています。その上で、自分だからこそ加えられる新しい視点や取り組みにも挑戦しています。
A・K 大切なのはサプライチェーン全体で再生ポリカーボネートのような環境配慮素材を採用することに加え、それを単なる機能で終わらせず、ブランドらしい世界観やデザインの魅力につなげることです。それは商品企画の段階から試行錯誤を重ねる中で生まれるものだと思います。
A・G そうですね。私もCITIZEN Lのサステナブルな付加価値は、ブランドに関わる全員が「より良くできることは何か」を考え続けるプロセスから生まれていると感じています。各部門が役割を超えて意見を出し合い、積み重ねてきた取り組みが、ブランドの価値として形になっています。だからこそ私はグローバル宣伝担当として、環境配慮素材の採用といったサステナブルな取り組みの表面ではなく、そこに込められた想いや背景を正確に伝えることを重視しています。
K・M ユニットチームの大きな特色は、メンバーが自分自身のブランドとしてCITIZEN Lに愛着を持ち、多様な視点からCITIZEN Lのあるべき姿を検討していることだと思います。もちろん、その中で意見がぶつかることもあると思いますが、そんなときはどうしていますか?
A・G 意見が分かれた際に重要なのは「ブランドとして何を伝えたいのか」「どの方向を目指すのか」を改めて言語化して共通認識を持つことだと思います。軸を明確にすることで、立場の違いを越えて納得感のある判断ができ、若手でも安心して意見を伝えられます。
A・K ブランドとしての軸を明確にすることは絶対に必要です。その上で海外販売拠点の反応も含め、各部門の前提や重視点を整理し、市場ニーズや売上実績などに基づいたデータドリブンな判断を心がけています。
K・M サステナブルな価値観をどう伝えるかは時代とともに変わります。CITIZEN Lも最初はエシカルを、次はバイオミミクリーを前面に打ち出して時代を切り拓いてきました。今ではSDGsも当たり前のこととなり、あえてCITIZEN Lの大きな特徴として伝える必要もなくなっています。根底にあるサステナブルの価値観と自然にインスパイアされたデザインにこだわるという軸は変わりませんが、それをどう社会に伝えていくかが大きな課題です。
A・G グローバルにおける宣伝活動ではCITIZEN Lに込められた想いを正確に伝えるために、言葉の一つ一つにも配慮しています。たとえば英語版ブランドサイトでは「輝く」という言葉の訳として「Radiance」を用いました。これは単なる「光」や「煌めき」ではなく、ブランドが目指す内面的な魅力や自然の美しさを象徴するキーワードとして使われています。
A・K 現在CITIZEN Lは、サステナブルウオッチブランドからジュエリーライクウオッチブランドへのイメージ移行を目指しています。これは、時計を単に時間を知るための道具ではなく、サステナブルな美しさを表現する自然の美しさにインスパイアしたデザインと、装飾品のように身に着ける特別な喜びを融合して「身に着ける人の美しさや個性を引き立てるジュエリー」としての価値を提供したいという狙いがあります。
K・M みんながブランドの未来に真剣に取り組んでいる様子を聞いて心強く思います。私が印象的だったのは、時計のダミーを見ながら『このデザインはCITIZEN Lらしくないかな』という声が上がったとき、A・Gさんが『私たちが考えたデザインがCITIZEN Lらしくないわけがない』と言い切ったことです。こうした熱い情熱がある限り、CITIZEN Lはこれからも進化し続けていけると確信しています。
※業務内容・所属部署は取材当時のものです。
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