トップメッセージ

シチズングループは、企業理念である「市民に愛され市民に貢献する」を原点に、従業員一人ひとりによる行動憲章の実践を通じて、社会の発展に寄与することを目指します。

シチズングループは更なる成長を目指し、抜本的な課題解決に取り組むために、2013 年度から初めて6 カ年での中期経営計画「シチズングローバルプラン2018」を進めています。2016 年度は、その後半に入る重要な年であり、今後の経営の基盤となる多くのことを実践しました。
時計事業においては、マルチブランド戦略を進めるため、スイスの時計ブランドであるフレデリック・コンスタントを買収し、また、アメリカにおけるシチズンブランドの販売会社とブローバブランドの販売会社の統合を実現しました。このようなブランドポートフォリオの強化をはじめとする、徹底的な構造改革を行うことで、今後の成長のための基盤を固めてきました。
M&Aの成果はすぐに期待できるものではありませんが、これらを礎としてマルチブランドのシナジーを出し、シチズングループとして成長していけるかが今後の重要な鍵になると考えています。このほか、製造コストの削減にも取り組むことでコスト競争力をつけて、戦略的に投資し、更なる成長につなげていきたいと考えています。
また、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)が開始されたことも踏まえ、シチズングループにとって重要な社会課題やこれまでの取り組みの位置づけを再確認するとともに、改めてシチズングループのマテリアリティ(重要課題)を整理しました。シチズングループのマテリアリティには、「コーポレートガバナンスの強化」、「リスクマネジメントの徹底」、「コンプライアンスの徹底」、「働きやすい職場環境づくり」、「責任ある調達の推進」、および「環境イノベーションの促進」の6 つを掲げています。 
2016 年度は、時計事業を中核としたグループ全体の更なる成長と本社機能の強化を図るため、ガバナンス体制の再編を行い、事業持株会社に移行しました。また、拡大・成長を続けるシチズングループにとり、このガバナンス体制の強化に加え、リスクマネジメントやコンプライアンスの徹底も重要であり、経営層はもとより従業員一人ひとりの意識改革を推進するために、「シチズングループ行動憲章」の改定に踏み切りました。シチズングループの社名でもある「シチズン」には、「社会やそこで暮らす人々」という意味が込められており、私たちはこれまでも「市民に愛され市民に貢献する」という企業理念を実践するものづくりを行ってきました。この「シチズン」を冠する私たちだからこそ、決して社会の規範に反したり、お客様やお取引先に不信感を抱かせたり、不誠実であったりしてはならないと考えています。製品やサービスの品質の良し悪しだけでなく、それらをつくり出す私たちの行動そのものが、シチズングループの価値を生み出していることについて、一人ひとり改めて認識を深めていく必要があります。
また、企業は人で成るという観点から、働きやすい職場環境づくりにも積極的に取り組んでいきたいと考えています。従業員のニーズに応える様々な取り組みを進める中で、多様性の意義を浸透させていくことの重要性を痛感しています。競争社会で生き抜くことのできる企業になるためには、経営層だけでなく従業員も、いつ何が起こるか分からない時代であるという危機感を忘れず、社会の変化に柔軟に対応できる能力を身に付けなくてはいけません。そして、この能力は、オープンにコミュニケーションを行うことを通して培われるものだと考えています。2016 年度には、次世代幹部を育成することを目的とした「グループローテーション」と、性別を問わずキャリアに対する意識を高めることを目的とした「育児期社員研修」も実施しました。私たちが属する業界は決して広いものではありません。一人ひとりの成長のためには、もっと会社や業界の外の世界に目を向け、社会の変化や他の企業の動きに敏感にならなくてはなりません。他の企業との違いを知り、そこで感じたことを自分たちにどう生かしていくか考え続ける必要があります。こうした行動を可能にする企業風土を大切にしていく所存です。
シチズングループでは、ものづくりが根幹を成しており、原材料の調達や製造委託においても、製造業としての責任を持つ必要があるという考えから、調達活動におけるお取引先との連携を強化するために、2017 年4 月にグループ統一のCSR調達ガイドラインの展開を開始しました。時計事業においては、「エシカルなものづくり」を初めて形にした「CITIZEN L 」を発売しました。
環境負荷の低減については、「エコ・ドライブ」ウオッチ、デジタルフォトプリンター「CX-02」、精密部品の加工を行う機械・シンコム「R シリーズ」をはじめとする環境配慮型製品の提供を継続しています。小型部品の製造用工作機械には、低周波振動切削(LFV)技術を初めて搭載するなど、加工技術の革新にも努めています。この技術は、製品や刃物への切りくずの付着や巻きつきを防ぎ、製造現場でのトラブルを防止し、生産性を向上させる効果があります。シチズングループでは、調達から製造、使用時、廃棄まで、製品のライフサイクルを通して環境負荷低減を実現することで持続可能な社会の創出に貢献していきます。
シチズングループは、2018年3月に、シチズン時計の前身である尚工舎時計研究所の創業から100 周年を迎えます。この100 年間を改めて振り返ると、企業としてよく生き残ることができたという深い感慨を覚えます。同時に、もう少し成長することはできなかったのかという思いと、これまで固めてきた基盤の上に、次の100年は何をどう築いていくのかという展望に考えが至ります。これからの変化の時代において、「真のグローバル企業」として柔軟な対応力を持ち、企業としての成長だけにとどまらず、社会の持続的発展にどのように貢献できるのかを考え、改めてシチズングループとしての責任を果たしてまいります。

2017 年6 月
シチズン時計株式会社
代表取締役社長
戸倉 敏夫