人的資本に対する考え方
シチズングループでは、従業員を人的資本と捉え、「社員一人一人が長期ビジョンの実現に貢献しシチズンで働くことへ誇りを感じていること」をグループ人財ビジョンとして掲げ、 グループ各社が主体となり、各社の経営戦略と事業環境に沿って、各社の成長を牽引できる人財を育成しています。
人財の確保と育成に加えて、多様な人財が活躍できる職場環境の整備に注力し、社員一人一人の豊かな未来(とき)の実現を目指します。
人財の育成
人財育成ロードマップ
シチズングループでは、経営戦略に基づき、グループ及び個社の経営と変革に必要な人財を育成し、個人と会社の両輪での成長の実現を目指しています。各事業会社での育成に加えて、2022年度より育成におけるグループ連携を強化し、グループ変革推進研修・経営基礎研修をスタートしました。
グループ変革推進研修の一部は、シチズン時計における管理職のリスキリングと合同で開催しております。
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分類 |
2022年度結果 |
2023年度 |
2024年度 |
2030年ゴール |
目標 |
- グループ及び個社及びの変革と成長に必要な人財をグループで育成する体制の確立
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経営戦略に基づき、グループ及び個社の経営と変革に必要な人財を育成、個人と会社の両輪での成長を実現 |
KPI |
- グループ変革推進研修参加者数100名以上(シチズン時計管理職は33%リスキリング研修参加)
- 経営基礎研修参加者数30名以上
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- グループ変革推進研修参加者数200名以上(シチズン時計管理職は70%リスキリング研修参加)
- 経営基礎研修参加者数30名以上
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- グループ変革推進研修参加者数200名以上(シチズン時計管理職は100%リスキリング研修参加)
- 経営基礎研修参加者数30名以上
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グループ変革推進・経営人財育成研修の参加者累計1000人以上 |
施策 |
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- グループ変革推進研修
- 経営基礎研修
- グループサクセッションプランの実行
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グループ変革推進・経営人財育成研修
テクノロジーの進化に対して戦略的思考のアップデートも重要となる中、シチズングループでは2022年度に変革推進と経営人財の育成に向けた共通プログラムをスタートし、100名以上がグループで参加しました。2023年度はグループ変革推進研修参加者200名以上の実施を目指しています。
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研修 |
内容 |
対象者 |
テクノベート研修 |
環境の劇的な変化の本質を理解し、従来の企業戦略の定石とは異なる、戦略的思考力を高める |
- 主要事業会社の部課長から選抜
- シチズン時計の管理職リスキリング研修と合同開催
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DXアセスメント・研修 |
アセスメントで自分の現在地を理解、eラーニング6か月間でスキルアップ |
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データサイエンティスト研修
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より高度なデータ分析研修とプロジェクトでの実践 |
- 顧客データ活用プロジェクト参加者(シチズン時計先行)
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経営基礎研修 |
事業経営の視座を持ち、戦略の重要性、立案スキルと問題解決・戦略思考(マインド)を学ぶ |
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グループ人財ローテーションの実施
シチズングループ対象の育成メニューとして、シチズン時計が主催するグループ階層別教育と、シチズングループ各社で展開する人財教育を整備しています。また、グループの将来を担う次世代リーダーの育成にも力を入れており、グループ会社間で個社の枠を超えた人財ローテーションを行っています。次世代リーダー育成プログラムに選出された社員は、出向先の業務やワークショップ型研修を通じて、グループ会社毎の事業環境への理解を深め、ネットワークを個社からグループへと広げ、将来的には個社のみならずグループ全体の成長を牽引することを期待されています。
研修体系
シチズン時計では、社員一人ひとりのキャリアの自律を基に、会社主導と両軸でプロフェッショナル人財を早期に育成し、社員の成長と共に会社の成長を図ることを目指しています。自律的なキャリア開発を可能とするため、キャリアセミナーを希望者に向けて実施、階層別、テーマ別に組まれた教育研修体系のうち、希望者全員が自身に必要な講座を選択できる挙手選択型研修を拡充しています。22年度からは、オンライン英会話研修/自己啓発を新規導入、80名以上が受講し、グローバル企業での活躍の基本となる英語によるコミュニケーション力を高めました。
その他人財育成の取り組み
【事例紹介】ものづくり技能者の育成
シチズン時計マニュファクチャリング
「世界一優良なる時計製造工場の実現」を目指すシチズン時計マニュファクチャリングでは、モノづくりの技能向上・人財育成・技能継承を目的とした「時計学校」を設置しています。技能検定をはじめ、内部の製造に合わせて独自に作り上げた社内検定、ビジネスキャリア検定等の資格取得への挑戦を推進し、ベテラン社員や職場の有技能者が講師となり、若手社員や経験の浅い社員への技能・技術伝承の教育を行っています。
また、同じく技術・技能の向上を目的に「技能五輪全国大会」に参加しています。本大会は将来の日本のモノづくりを担う満23歳以下の若手技術者による技能を競う大会で、2022年度の大会において、時計修理職種に5名、メカトロニクス職種に1チーム(2名)が挑戦し、時計修理職種は出場3名が入賞(銀賞、銅賞×2)し、メカトロニクス職種は有名企業が熾烈を極める競争の中、敢闘賞を受賞できました。
このような取り組みは従業員のモチベーションアップにもつながり、また目標に向かって努力する姿勢を養うことで、モノづくりを通じた「人づくり」にもつながります。
今後も時計学校の活動や技能五輪の取り組みを通じて、若手技能者育成と技術・技能の継承、及び従業員のレベルアップを継続していきます。
人財の獲得
採用活動
シチズングループ各社は、中長期的視野に立った新卒採用や、即戦力としてのキャリア採用を実施しています。シチズン時計の管理職におけるキャリア採用者の割合は約2割を占め、今後もキャリア採用を継続して事業展開のスピードを上げ、管理職におけるキャリア採用者比率を維持することを目標としています。多様な業種からの豊富な知識やスキルを備えたキャリア採用者はグループ全体に活気や価値観の多様性をもたらす存在として位置付けられ、シチズン時計においては、2021年度以降のキャリア採用者比率は、50%を超えています。2022年度は、キャリア採用者と社長の座談会を開始して、企業理念の浸透や従業員エンゲージメントの向上、キャリア採用者同士のコミュニケーション活性化などを推進しています。
また本人の意欲や能力などにより、契約社員を正社員へ登用する制度も導入しています。これら従業員の雇用にあたっては、一人ひとりの能力・適性・意欲を重視し、機会の均等と多様性の確保に努めています。
開かれた採用への仕組み
就職活動時期の学業への影響を最小限にとどめるため、シチズングループ各社は複数の大学に出向く企業説明会を実施しています。また2022年度は対面でのインターンシップを再開し、オンラインとの併用を図るとともに、Web媒体での会社紹介セミナー動画の公開やオンライン面接の実施、海外留学中の日本人留学生も選考対象とするなど、学生が居住エリアや学業の都合によって不利にならないよう、より多くの学生に向けて開かれた採用機会の提供に努めています。
多様性の確保に向けた取り組み
シチズン時計では、20代後半から30代前半の若手中堅のうちから海外駐在し、多様性を肌で感じながら経験を積んだ人財を本社部門長や海外拠点責任者へ登用し、組織全体の多様性の確保につなげています。女性の駐在員も継続的に配置し、キャリア採用者も入社後まもなく駐在員や海外拠点責任者として活躍するなど、性別や国籍、新卒・キャリア採用に関係のない配置、機会の付与を実践しています。
人財が活躍できる職場環境の整備
ワークライフバランスの推進
シチズングループは、経済的自立ができること、健康で豊かな生活のための時間が確保できること、多様な働き方・生き方が選択できること、の3つを備えたワークライフバランスを実践するべく、仕事と生活を両立させながら働きやすい環境づくりに取り組んでいます。また、労働基準法等各国の法令遵守の観点や従業員の健康管理面からも、過剰な残業や業務の集中による長時間労働を避ける環境整備を実践しています。
自律的なキャリア開発と多様なキャリアパス
2021年度よりシチズン時計では、自律的なキャリア開発を目指して、若手中堅の希望者に向けたキャリアデザインセミナーを開催しています。合計100名に近い希望者がキャリア開発の基本的な概念や応用理論を学び、同世代の社員同士が語り合うことで、日頃接することの少ない他部門の業務への理解を深める機会にもなりました。キャリアデザインセミナーの開催に合わせて外部のキャリアコンサルタントに相談できるサービスを同年度に試験導入して、20名弱の参加がありました。
また、シチズン時計で実施している「社内副業制度」は、全就業時間の2割程度を社内の他業務に就くことができる制度で、通常の業務では得られない知識やスキルの獲得、人脈形成が可能となり、参加者の能力開発の機会を広げ、さらに既存の部門にも多様な価値観をもたらし成果に繋げています。2022年度は7名の従業員が社内副業制度を利用しバーチャル空間「CITIZEN Timless City」のコンテンツ企画、顧客接点強化の企画立案等に携わり、従来の考え方にとらわれない新たな風をチームにもたらしました。先に導入されている社外副業と合わせて、社員が希望する経験を自発的に選択しうる機会として活用されています。
さらに2022年度は人財を必要とする部署が社内に向けて募集をかけ、異動希望者を募る「社内公募制異動」をトライアル導入し、異動が実現しました。
部門における人財育成に関して、シチズン時計では2019年度から運用している「360度フィードバック」とそのフォローアップ研修を人財育成やマネジメント力の向上に活かしています。多様な人財の活躍を促すタレント・マネジメントでは、従業員から保有資格や異動希望等の定期的な自己申告を受けるほか、研修についても、各自の学びや目標に合わせた研修メニューを設けるなど、個人のキャリア形成を支援し、人財力を全社で向上・最適化する仕組みを構築しています。
多様なキャリアパスの一例として、シチズン時計は、2021年度からフェロー制度を導入し、高度な専門知識や卓越した実績を有する人財を対象に、役割期待に合わせた報酬や60歳以降も継続して同一の勤務形態で就業できる待遇を用意して、功績に対する適正な評価や後継者の育成強化、企業価値の向上を図っています。
働き方改革と多様な働き方の実践
シチズン時計では、働き方の多様化への対応やワークライフバランスの充実を目的としたテレワークの制度化、フレックスタイム制の適用範囲の拡大と、場所や時間に縛られない働き方をいち早く実現しています。2022年度からは月の半分までテレワークを可能としました。また働き方改革の一環として、従来8時間の就業時間を7時間45分に短縮しました。生産性の向上や全ての社員がいきいき働く環境を目指し、社員主導の業務改善プロジェクトを立ち上げ、各職場での業務改善や効率化に寄与するシステム導入などを推進してきました。
一方で過剰な労働を避けるため、労働基準法遵守の観点や従業員の健康管理面からも過剰な残業や業務の集中を極力避けるよう、部門ごとに従業員の残業時間の把握に努めるとともに、部門長に対して随時指導を徹底しています。また、労働組合とも情報交換など緊密な連携を図り、適正な運用に努めています。
働きがいの向上に向けたロードマップ
シチズングループでは、「働きがいの向上」に取り組む上で、教育機会の提供を始め、シチズン時計において先行してエンゲージメント調査を実施し、調査結果の対応施策を含めてグループへ情報共有を図ることで、グループ全体の従業員エンゲージメント向上を推進しています。
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分類 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
2030年ゴール |
目標 |
- シチズン時計の従業員エンゲージメントの現状把握
- グループへの情報共有
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- シチズン時計の従業員エンゲージメント向上施策の実行との変化の把握
- グループへの情報共有
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- シチズン時計の従業員エンゲージメント向上施策の実行との変化の把握
- グループへの情報共有
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- 社員一人ひとりが長期ビジョンの実現に貢献し、シチズンで働くことへ誇りを感じている
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KPI |
- シチズン時計の従業員エンゲージメント調査の回答率90%以上
- 結果 96%
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- シチズン時計の従業員エンゲージメント調査の回答率90%以上
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- シチズン時計の従業員エンゲージメント調査の回答率90%以上
- ターゲットスコアの改善
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- シチズン時計を含むグループ主要事業において従業員エンゲージメントを把握、施策実行を通じた、継続的な従業員エンゲージメントの向上
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施策 |
- シチズン時計における第1回エンゲージメント調査の実施
- シチズン時計における次期施策ターゲットの策定
- 教育機会の提供
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- シチズン時計における第2回エンゲージメント調査の実施
- シチズン時計における第1回調査からの改善施策実行
- 教育機会の提供
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- シチズン時計における第2回エンゲージメント調査の実施
- シチズン時計における第1回調査からの改善施策実行
- 教育機会の提供
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- シチズン時計を含むグループ主要事業における従業員エンゲージメント調査の実施と施策への反映
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従業員エンゲージメントの向上に向けて
シチズン時計では、社員意識調査の結果をテレワーク制度や研修・育成メニュー等の導入に反映し、働きがいの向上に努めています。2022年度からはエンゲージメント調査を定期的に実施することとし、スマートフォンからの回答を可能にするとともに、自部門のアンケート結果を部門長が閲覧して改善に取り組める体制を築きました。
第1回目となるエンゲージメント調査では、非正規社員を含む全従業員の回答率は96%に達し、初年度目標を達成しています。
調査結果を受けて、2022年度下期には、「成長の機会」の改善に向けて、自律的なキャリア形成の選択肢を広げることを目的として「社内公募制異動」をトライアル実施しました。
「上司との関係性」に関する課題も可視化されたことから、管理職向けのリスキリング研修に傾聴力向上トレーニングを追加しました。
以上のように、全社と部門の両方から、従業員エンゲージメントの向上に向けたアクションを実施し、働きがいの向上を目指します。
働きやすい環境づくり
くるみん認定マークの取得
「くるみん認定」とは、次世代育成支援対策推進法に基づき策定した一般事業主行動計画について、目標を達成し一定の基準を満たした企業を「子育てサポート企業」として厚生労働大臣が認定する制度です。
シチズングループでは、社員の仕事と子育ての両立支援に取り組んでいる企業として、シチズンマシナリー(認定:2018年、2021年)とシチズン時計マニュファクチャリング(認定:2018年、2022年)が、厚生労働省が認定する「くるみん認定」を取得しています。
子育て世代をはじめ社員全員が長期的なキャリア形成が図れるような法定を上回る支援制度の導入や利用促進への啓蒙活動、またワークライフバランスの観点に基づく多様な働きやすい職場環境づくりの取り組みが評価されました。
労働組合との関係
シチズングループ各社では、従業員を代表する労働組合と会社の双方が、経営施策や労働条件について定期的に交渉・協議しており、互いの考え方を尊重した意見交換を経て労働組合が会社経営層に対して対話する機会を設けるなど、安定した労使関係を構築しています。海外のグループ会社では各国の法令などに基づき、グループ各社が労働組合や従業員代表者と話し合いを行っています。今後もグループ各社の一層の企業価値向上と従業員の満足度向上を図っていくため、グループ運営体制や従業員が働きやすい環境づくりなどをテーマに協議を進めていきます。
ハラスメント防止の取り組み
シチズングループでは、社会的な問題となっているセクシャルハラスメントやパワーハラスメントの防止に関する規程を策定し、顧問弁護士や外部コンサルタントによる「ハラスメント防止セミナー」の開催などの啓発活動を行っています。また、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント防止に関して、「ハラスメントの防止に関する規程」として整備したほか、ハラスメント全般の相談を受け付ける「シチズングループコンプライアンスホットライン」を設置・運用しています。さらにシチズン時計では、職場でのハラスメントに関する相談窓口も設置し、ハラスメントに関する相談を幅広く受け付けています。