2024年受賞
渡辺 和代さん
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助かる命を助けられるよう
医療の架け橋をこれからも世界に大妻女子大学・
相模女子大学非常勤講師
井上 文子さん 
渡辺さんと出会ったのは、私が小児がんの親の会でソーシャルワーカーをしていたときです。飛び込みで来られたので小児がんの当事者と思ったのですが、話を聞くとそうではなく「謎の美女」だったのを鮮明に憶えています(笑)。その後、ボランティアをしていただくようになり、並外れた能力の持ち主であることがわかって、職員として仲間になっていただきました。
海外経験のある渡辺さんは考えがグローバルで、アジアの発展途上国の医療支援は、同じアジアの日本こそ率先して行うべきと考えていました。ただ、組織が大きいと動きが鈍いため、「こうしている間にもベトナムでは助かる命が失われている」と、たった一人でACCLを立ち上げました。その純粋な情熱が世界中の医療従事者の心を動かし、多くの支援者を得て、20年にわたる活動の原動力になっていると思います。
そんな渡辺さんには、私が長女を死産したときも、乳がんになったときも、彼女を通じて著名な絵本作家による直筆のイラストと応援メッセージをいただき、どれほど励まされたかわかりません。そんな風に常に自分のことよりも相手のことを考え、その人の痛みに共感し、迷わず手を差し伸べる人なのです。そして、国や人種などの垣根が一切なく、「人と人」のつながりを何より大切にしているところが最大の魅力で、私は彼女に出会えた人生に心から感謝しています。
私自身は20年前に死産を経験しました。当時亡くなったわが子に合わせてもらえないことが一般的で、そのことに疑問を持ち、それを変えたいと活動してきました。また、がんになったことから、副作用のきつい治療を受けながらもママとしての日常をこなさないといけない女性たちが、同じような境遇のママたちと出会い、勇気を持って病に立ち向かえる場として「がんママカフェ」を10年前に立ち上げ、活動してきました。両活動とも、困ったときいつも良き相談相手になってくれたのが渡辺さんです。
今回の、ACCL20周年という節目の受賞は、まさにこれまでの地道な頑張りに対する天からのギフトだと思っています。日本とベトナムの橋渡し役は今後も続くと思いますが、どうかご自身の健康にも留意してください。これからも応援団長として公私ともに応援していきます。



受賞コメント
選考委員長コメント