CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2024年受賞

小沢 ちえさん ほのさん

不登校に悩む親子に「自分らしさ」を!心で寄り添う母娘カウンセリング

不登校に悩む親子に「自分らしさ」を!
心で寄り添う母娘カウンセリング

娘の不登校に母娘で向き合う

「ちえさんたちに来てもらって本当によかった。わかってあげられなかった娘の気持ちを知ることができ感謝でいっぱいです!」

不登校に悩む親子の相談に対し、親同士、子ども同士で話す時間を設けている小沢ちえさんと娘のほのさんの母娘カウンセリング。子ども同士の会話では、今まで親に言えなかった想いをほのさんには伝えるケースも多く、相談者の家族が新たな一歩を踏み出すきっかけづくりにもなっています。

愛知県名古屋市に住む、小沢ちえさんとほのさんの母娘カウンセリングには、不登校の当事者だった経験が生かされています。

ほのさんが不登校になったのは中学1年生のとき。重い生理痛のため授業中にトイレで動けずにいたことを男性教師から「サボっている」と叱責され、「いつ体調が悪くなるかわからない」という不安と教師への不信感が募り、学校に行けなくなってしまいました。しかし、「子どもは学校に行くもの」という固定観念が強かった母親のちえさんは、目の前の現実を受け入れることができず、毎朝登校をめぐってけんかをする日々が始まったのです。

当時は不登校に関する情報もあまりなく、誰に相談すればいいのかも分からないまま、「原因は自分の育て方にあったのでは」という自責の念にもかられるようにもなりました。

(左)中学校に進学したほのさん。しかし教師への不信が募り1年生から不登校になる
(右)ちえさんは勤めていた会社を休職し、できるだけほのさんのそばにいるようにした

自分の母に背中を押され固定観念から解放

「娘の気持ちが知りたい」という想いから、ちえさんは専門知識を学び心理カウンセラーの資格を取得した

「この子はどうなるんだろう」という不安と、「私がそばにいてあげたほうがいいのでは」という想いから、ちえさんは勤務していた会社を1カ月休職。娘の気持ちを知りたいと専門知識を学び心理カウンセラーの資格を取得しました。その後、NLPマスタープラクティショナーや英国発祥のチャイルドマインダーの資格も取りましたが、「学ぶなかで、子どもにしてはいけないことを全部していたのがわかりました」と話します。

そんなちえさんを変えたのは、一緒に暮らしていた母親の言葉でした。ちえさんの母親は若いころ親に言われるまま管理栄養士の学校に行っていましたが、本当にやりたかったのは洋裁だったため、親に無断で学校を移ったことがあったそうです。そうした経験から、孫であるほのさんに対するちえさんの言動についても「あなたがしていることは、親の考えで子どもを縛りつけることにならない?この子にはこの子の人生があるからよく考えないと」と諭したのです。カウンセリングを学び、子どもには子どもの人生があるという考えを持ち始めていたちえさんは、「母の言葉に背中を押され、自分が変わるきっかけになりました」と話します。

こうして、日課だった「今日は学校に行かないの?」という言葉から解放され、「気持ち的にとても楽になりました」と話すほのさん。ちえさんも「登校に執着しなくなったことで、私自身も楽になりました」と、穏やかな表情を見せます。

不登校に悩んでいた時期のそれぞれの気持ちや、その後のカウンセリングについて話してくれた小沢ちえさんとほのさん

母娘カウンセリングのきっかけとなった知人の相談

不登校になって半年ほど過ぎたころ、もともと絵を描くのが好きだったほのさんは、自分で見つけてきたアニメーションの専門学校の体験学習に通いたいとちえさんに頼みました。普通科高校のほうが将来的にいいのではないかと悩んだちえさんでしたが、見学に行った専門学校の先生からほのさんの画力を褒められ、高校卒業の資格が得られることもわかり、「ここまで頑張っているならこの子を信じよう」と決心。週に1回の体験学習を休むことなく続けるほのさんを車で送り迎えし、その後この専門学校に進学しました。

そうした中、ちえさんは自らの経験を話したことがある知人から、子どもの不登校について相談を受けました。しかも「ほのさんにぜひ一緒に来てほしい」と言うのです。聞けば、年齢が近く同性のほのさんになら、学校に行かない理由を話してくれるのではないかと期待してのことでした。

知人の家を訪ね、子どもたちだけで話をしてもらうと、その子には将来の夢があるがお金がかかるから諦めようとしていること、それが原因で同じ夢を持つ友達と険悪になったことなどが分かりました。こうして、親への負担を子どもなりに考え悩んでいたことが分かり、その後、親子で互いに気持ちを伝え合えるようになったそうで、「ちえさんとほのさんのおかげで、あの子の本当の気持ちを聞くことができました」と、大変感謝されました。

(右)現在はちえさんのスナックで一緒に働くようになった二人。けんかをしながらも笑顔が絶えない
(左)名古屋市内の金山で開かれているマルシェでは、毎月無料でカウンセリングを実施
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