
こうして始まった「きつおん親子カフェ」は、保護者や「ことばの教室」の先生、言語聴覚士などの運営メンバーを中心に、イベントごとに手伝ってくれるスタッフも加えて講演会や交流会を企画している。特に年3回開催することにした交流会は一日かけて行うもので、午前中は料理会やスポーツなど親子が一緒に楽しむレクリエーションを行う。そして昼食をはさんだ午後は、小学生、中高生、保護者など各年代に分かれ、吃音について学んだり、日ごろの悩みや疑問を話し合ったりして、互いに想いを分かち合える場となっている。
普段は周りに吃音の子がいない子どもたちにとって、吃音があるのは自分だけじゃないと思えるこの交流会は、回を重ねるごとに戸田さんたちが願った、安心感に満ちた場所となっていった。さらに保護者にとっても、子どもたちに活き活きとした表情があふれ、親同士も吃音の悩みを話し合える交流会は、心が救われる場所になっていた。
戸田さんの次男も、「僕は交流会だと、どもらないんだ」と言っていたそうで、「実際はどもっていたのですが、それを本人が全然気にすることなく伸び伸び話せていたのだと思うと、私もうれしくなりました」と話す。そして、そうした喜びがほかの親子にもたくさん生まれていることが、次へのエネルギーになった。