
30年以上にわたる帯広少年院での絵の授業を終えてしばらく経ったある日、飯田さんのもとに少年院経由で1通の手紙が届いた。あの最後の日、「どうすればイラストレーターになれるでしょうか」と尋ねた教え子からの手紙だった。そこには、「少年院を出たら、イラストレーターになりたいという夢ができました。いつの日か先生に僕の絵を見てほしい。待っていてください」と綴られ、イラストレーターとして活動するときのペンネームも添えられていたという。
「諦めずにコツコツ続ければ、いつかきっと道は開けるよ」。自分の想いがその少年にしっかり伝わっていたことが、涙が出るくらいうれしかったと話す飯田さん。今からその絵を見る日が楽しみでならない。
一つの仕事に区切りをつけた今、飯田さんは人生の節目で手を差し伸べてくれた多くの人たちや、60年以上も支えてくれた奥さまに恩返しができるよう、自分の絵とさらに向き合っていきたいと決意を新たにしている。