
そんな銀河鉄道の山本さんは、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年3月から半年間、地元の人たちを都心まで送り届ける無料通勤バスを毎朝運行した。コロナ禍の通勤電車で、軽い咳払いやマスク着用の有無が原因のトラブルがニュースになることが増え、「それでも通勤しなければならない人がいる。少しでも感染の不安を減らしてあげたい」と思ったからだ。コロナ禍で観光バスのキャンセルが相次ぎ、経営的には非常に厳しい状況だったが、「今やらなければいつやる」との想いで決断したのである。
決断した後の行動は速かった。早速、2月の初め国土交通省に無料通勤バスの運行を掛け合うと、コロナ禍の特例として許認可が下り、1カ月後の3月12日からスタートできることになった。そして、「朝並んでも乗れない人がいてはいけいない」と事前予約制にして、乗る人数に合わせて最大9車両、180人を定員に大型観光バスを用意したのである。