CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2019年度受賞

矢田 明子さん

幅広い世代の健康や元気を支援し、「自分も元気をもらっています」と話す矢田さん

コミュニティナースへのニーズを実感し、人材育成もスタート!

活動する中では、亡き父と同世代の人との出会いもあった。「コミュニティナースの活動を熱心に応援してくださる方がいて、あるときその理由を尋ねると、幼くして亡くなった息子さんを私に重ねていたということで、『応援せずにおれんかった』と涙を浮かべておっしゃってくれました。そうした出会いから、私たち自身も元気をもらっているんです」と矢田さんは自分たちの活動に想いを込める。

2016年に訪問看護やコミュニティナースを展開する会社「株式会社コミュニティケア」をスタートさせたころには、活動を見学したり話を聞くため全国から年間150人以上が訪れるようになっていた。

「こんなにもニーズがあったんだ。少しでも多くこの活動を広めることで、みんなの役に立てたら嬉しいな」と感じた矢田さんは、仲間を育てようと「コミュニティナースプロジェクト」の第1期を東京で開催。参加した12名の看護師の中には、目を輝かせながら「僕がやりたかったのはこれなんです!」と話す男性看護師もおり、うれしさと同時に、あの日「看護師になる」と父に誓ったことが、こんな形で誰かの「やりたい」につながったことへ感慨深いものがあった。

男性看護師も活躍中

健康なときから出会える「まちのナース」を目指し

暮らしのそばで人々に寄り添うコミュニティナースの活動

2017年、矢田さんはコミュニティナースの育成や普及支援を加速させるため仲間と「コミュニティナースカンパニー」を設立。コミュニティナースプロジェクトの運営も、この会社で行うようになった。育成講座では、コミュニティナースについて、「看護の専門性を活かしながら、制度にとらわれることなく、まちに出て自由で多様なケアをする人材。元気なうちから住民と知り合い、“毎日のうれしいや楽しい”と“心と身体の健康と安心”を住民と一緒につくります」と伝えている。

そんな育成講座には、毎回全国から多彩な受講生が集まってくる。動機もさまざまで、初めから高い志をもって入ってきた受講生もいれば、学ぶほどに「自分がやりたかったのはこれだったんだ!」と気づいて目が輝き出す受講生もおり、その純粋な熱意を受けて、矢田さんはプロジェクトの意義を実感している。

2020年までに10回実施された講座の修了生は200人を超え、地域の公民館や駅、商店、ガソリンスタンド、カフェ、食堂など、さまざまな場で活動している。

高齢化が進む日本でコミュニティナースは大きな期待を担う。矢田さんも研修などで全国を飛び回る

コミュニティナースがあたり前にいる社会へ!

今年、矢田さんたちコミュニティナースは、新型コロナウイルス感染症の影響で誰とも会わない高齢者が増えたという現状にも対応。「お孫さんとの写真交換やビデオ通話をやってみませんか」など、その人がやってみたいと思う心のスイッチを押しながら、スマートフォン利用のハードルを下げ、遠くに住む子どもや孫とのコミュニケーションをとるきっかけづくりや、遠くにいる家族に代わって一人暮らしの高齢者をコミュニティナースが訪ねる活動なども始めた。

日ごろから地域の人たちとつながりがあるコミュニティナースだからこそ、「あの人は真面目だから家に閉じこもりがち」といったことにも気づくことができ、矢田さんは「こうした関わりはこれからもっと必要になります」と話す。

コロナ禍でも、炉端焼きのしゃもじで距離を取りながら活動を継続

多くの応援に感謝しながら、全国で頑張る仲間とともに、コミュニティナースの活動を支える知恵や収益の仕組みも築いていきたいという矢田さん。「おかげさまで、協働していただく自治体さんや企業さんも増えてきました。日本は本当にいい人たちがいるなと感動しています。これからも、コミュニティナースがあたり前にいる元気な日本を目指したいです」と、熱く語る。

コミュニティナースの講座は10回以上開催し、修了生は200人を超え全国で活躍中
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