
不登校新聞が創刊時に掲げた編集方針は、「当事者視点」の新聞であること。不登校に関しては専門家や大手メディアによる発信も行われていたが、奥地さんたちはそこに視点の違いを感じ、何よりも当事者から学ぶことが大事と考えたのである。
そうした想いは不登校に苦しむ読者にも届き、創刊後の反響は大きくその年のうちに発行部数6,000部を達成。奥地さんは「親の会の皆さんが手を真っ黒にして発送作業を手伝ってくれました」と当時を振り返る。月に2回の発行で、紙面は不登校経験者へのインタビューやイベントの告知、親の会の情報など8ページで構成。不登校経験者や不登校の子を持つ親の体験談なども紹介され、多くの読者にとって心の拠り所となっていったのである。
さらに、「子どもの気持ちは子どもに学ぶ」という考えのもと、不登校や引きこもりの当事者・経験者が企画や取材にボランティアで参加する「子ども若者編集部」も設置。当初のメンバーは10人ほどだったが、現在では北海道から九州まで10~30代の約130名が登録し、企画・取材・編集に携わっている。