より競走馬に近い競馬の世界で働きたいと思った角居さんは、牧場をやめて日本中央競馬会(JRA)の競馬学校に入学。頂点を目指せるならジョッキーか調教師かという世界で、調教師を目指そうと心に決め、卒業後は厩務員、調教助手として経験を積んでいった。実際に厩舎で働いてみると、馬の力を引き出せなかったり、馬自身の不運もあったりして、1勝もできずに引退する馬が少なくなかった。
日本国内では現在、年間約7千頭のサラブレッドが生産される。しかし、このうちレースで活躍できるのはごく一部で、さらに、最高峰のGⅠレースに勝利して種牡馬や繁殖馬として余生を送れる馬は、ほんの一握りに過ぎない。それ以外は、乗馬用に転用される数も限られ、飼育に多額の費用がかかることもあって、引退後に行方不明や殺処分になるケースが多い。
そんな厳しい競馬の世界に飛び込んだ角居さんは、2000年に調教師免許を取得。翌年に待望の角居厩舎を開業し、わずか3年後に菊花賞でGⅠを初制覇して以来、最多勝利調教師賞3回、最多賞金獲得調教師賞5回という輝かしい実績を残してきた。