
20代半ばを迎えた真美さんは、変化のないOL生活に疲れを感じていた。「どこかに逃げ出したい」。その思いが決定的になったのは、帰宅する電車の窓に映った自分の顔だった。「眉間に皺を寄せて、とても嫌な顔をしていました」。
そんな時、ふと手にした本に載っていたのがケニアにあるスワヒリ語学校の生徒募集だった。応募した真美さんのもとにやがて合格通知が届く。まだ見ぬアフリカ、ケニアへ語学留学の道が開けた。1989年、26歳の時である。
首都ナイロビで勉強を始めた真美さんは、ある日友人を訪ねた集合住宅で、ルワンダ人の男性ガテラさんと出会う。ガテラさんは、誤った植民地政策で民族間が対立する祖国の様子やアフリカの闇の部分について真美さんに話し、平和が戻れば国の役に立ちたいと熱く語った。
滞在期限が来て帰国した真美さんは、何度か手紙のやり取りをした後、ガテラさんに惹かれる自分に気づき、「自分の気持ちを確かめたい」と再びケニアへ。ガテラさんと再会し、これからの人生を一緒に歩く人だと確信した。