CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2011年度受賞

笹原 留似子さん

笹原さんたちは、被災地の遺体安置所で連日復元ボランティアを続けた

本人が教えてくれる本来の穏やかな笑顔

笹原さんと菊池さんは、往復に4~5時間以上もかかる陸前高田市や大船渡市など約7市町村を回り、連日復元ボランティアを続けた。

「遺体安置所では、何人もの方が泣きながら、自分の家族も戻してもらえますかと話しかけてくれました。もちろんいいですよと答えると、おいくらですかって聞かれるんです。これは全部支援物資として全国から届いたものなんです。皆さんのことを思っている気持がここに込められているから、お金はいらないんですよってこたえると、また皆さんの目から涙があふれました」

そう話す笹原さんは、亡くなった方の笑顔にこだわってきた。

「笑いじわが好きなんです。こわばった顔を自分の体温でマッサージしていくと、本人が教えてくれるみたいに、だんだんと生前の笑いじわが出てきて、にこって笑うんです」。本人のためにもそれが一番だと思っていると話す。

口紅などは、自分の体温でやわらかくしながら塗っていく

全国からの支援と仲間たちに支えられて

笹原さんの復元ボランティアにはさまざまな人の支えがあった。遺体安置所では、警察官が安置所が開く2時間も前に来て、一つひとつの棺の蓋を開け、家族に一番いい顔で会わせてあげられるよう血液などを拭いてまわっていた。そのおかげで笹原さんは遺体を復元するときもたいへん助かったそうだ。なぜ安置所を早く開けないのかと悲しみをぶつける遺族もいたが、安置所には遺族へのそんな警察官の心遣いがあった。活動が報道などで紹介されると、全国から支援物資や復元に必要な化粧品などが毎日3~400箱も届くようになり、その仕分けにも多くの仲間が協力してくれた。シチズン・オブ・ザ・イヤーの受賞を聞いた時、仲間や警察の方々は自分たちも一緒に受賞したように喜んでくれたそうだ。

全国から支援物資と一緒に温かい便りが届いた

みんながつながって一歩ずつ進む

「マスターはお医者さん」と名付けられた大槌町の「お茶っこの会」。笹原さんや医師たちは、被災地の方々に寄り添いながら、それぞれが自分たちにできる支援を続けている

笹原さんや菊池さんは、昨年の秋から、医師と共に沿岸部の仮設住宅などで被災者たちの交流の場となる「お茶っこの会」を始めた。片道100km越える道のりを連日往復しながらの活動である。家族や友人を失い、心身のバランスが崩れてしまいがちな被災者を支援できないかと、知り合いで緩和ケアの専門医である北海道大学の田巻知宏医師の協力を得てスタートしたものだ。

「先生たちも、医師という敷居をなくして被災者のなかに入り、お茶を飲みながら話に耳を傾け、笑ったり歌ったりするんです。でも、普通に話をしているなかにとても気遣いがあり、さりげなく支えてらっしゃるんです」

被災地では、今も多くの方々が厳しい生活を余儀なくされている。笹原さんは「街を復興していくのは人です。ですから、人が元気にならなければいけません。女性が元気になり子どもが元気になり、そして男性が元気になる。被災地の人も、支援する人も、みんなが本当に手をつないでいるように、元気に一歩ずつ進んでいけたらいい。心からそう願っています」。

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