笹原さんや菊池さんは、昨年の秋から、医師と共に沿岸部の仮設住宅などで被災者たちの交流の場となる「お茶っこの会」を始めた。片道100km越える道のりを連日往復しながらの活動である。家族や友人を失い、心身のバランスが崩れてしまいがちな被災者を支援できないかと、知り合いで緩和ケアの専門医である北海道大学の田巻知宏医師の協力を得てスタートしたものだ。
「先生たちも、医師という敷居をなくして被災者のなかに入り、お茶を飲みながら話に耳を傾け、笑ったり歌ったりするんです。でも、普通に話をしているなかにとても気遣いがあり、さりげなく支えてらっしゃるんです」
被災地では、今も多くの方々が厳しい生活を余儀なくされている。笹原さんは「街を復興していくのは人です。ですから、人が元気にならなければいけません。女性が元気になり子どもが元気になり、そして男性が元気になる。被災地の人も、支援する人も、みんなが本当に手をつないでいるように、元気に一歩ずつ進んでいけたらいい。心からそう願っています」。