CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2011年度受賞

竹内 龍幸さん

旧浜松盲学校の図書館で、寄贈した懐かしい点訳本に思わず笑みがこぼれる

気が遠くなるような医学辞典も毎日一字ずつ点訳

日々のコツコツとした作業も、積み重なれば目に見える形で大きな成果となってくる。点訳本が数十冊にも及ぶ小学生向けの百科事典や、中学生・高校生向けの百科事典、国語辞典と点訳本は増えていき、マッサージ師の国家試験の勉強に必要な医学大辞典49巻は、長崎盲学校からの協力も得ながら、10年以上かけて作り上げ学校に寄贈した。

さらに、生徒たちの読書欲に応えたり、読んでほしい本を紹介するため、平家物語などの古典から夏目漱石、石川啄木、江戸川乱歩、アンデルセンの全集など、一般図書の点訳も手掛けるようになった。

「先生、今度はこういう本が読みたい、と生徒が言ってくるんですよ。そうすると、やっぱり出来上がったときの喜ぶ顔が思い浮かびまして、点訳にも自然と熱が入りました。生徒のなかには、一生懸命勉強してアメリカに留学し、向こうで先生になった女子生徒もいましたよ」。竹内さんはうれしそうに振り返る。今でも、交流のある教え子が少なくないという。

高校生、大学生への点訳指導や、点訳サークルの結成にも尽力

最近の点訳がずらりと並ぶ、竹内さんの寄贈本コーナー

自身で点訳を続ける傍ら、竹内さんは40代のころから放課後や休日を利用し、ボランティアで中学、高校、大学へ点訳の出張指導を行うようになった。こうした活動は息が長く、今も浜松市内の福祉会館で週に1回の点訳指導を行っている。また、市内を中心に、点訳サークルの結成にも尽力してきた。

現在、静岡県立浜松視覚特別支援学校となっている旧浜松盲学校には、竹内さんから点訳指導を受けた方からの寄贈本が少なくないという。竹内さんの活動について藤田則吉校長は、「本校には、点訳本や、弱視の方のため手書きで字を大きく書いた拡大本など、数多くの寄贈本がありますが、竹内さんはその先駆的な存在です。今は、パソコンで点訳ができる時代になりましたが、手で打っていただいたものは温かみがありますから、生徒たちにも分かるんでしょうね」。そう話す。

学校には今も竹内さんが寄贈した点訳本が数多く所蔵され、最近の点訳を集めた書棚には、竹内さんの寄贈本コーナーのプレートが掲げられている。

点訳指導は皆真剣に学んでくれるのでやりがいがあるという(写真は大学で指導を行う50代のころ)
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