CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2010年度受賞

吉岡 諒人さん

(写真左)家の庭でのビオトープ作り(左)と、将来ビオトープにしたい校舎の周辺
(写真右)街づくりで締めくくられたビオトープのレポート

研究テーマは、生物研究からビオトープづくりへ

生き物や自然に対する諒人くんの興味は広がり、小学5年生の夏休みは「消えゆく水生昆虫! ぼくは袖ヶ浦で発見できるか」をテーマに自由研究を行った。水生昆虫のあまりの少なさに衝撃を受けていたからだ。「あちこち探し回ったのですが、タガメはいないしゲンゴロウも本当に少ないんです。なんとかしたいと思いました」。この思いは次の自由研究へとつながっていく。ちなみにこの研究は日本昆虫協会の「夏休み昆虫研究大賞」で「最優秀賞」を受賞した。

5年生の冬、諒人くんは個性を伸ばす教育方針で知られる緑豊かな学校に転校した。

諒人くんは、自然に近い池や林などを作って生き物を呼び戻すビオトープ作りに強い関心を持つようになった。ただ、最初から大がかりなものは難しいので、6年生の夏休みにまず、自宅の庭でビオトープ作りの実験・検証をした。その過程を諒人くんは「自分で作るビオトープ この地域に水生昆虫を増やしたい」と題したレポートにまとめた。この研究は日本昆虫協会から「優秀賞」に選ばれ、3年連続の入賞となった。

生態系へ興味を深め壮大な夢をふくらます

研究をサポートしてくれている永森先生と

諒人くんは今、自宅を離れ全寮制の学校で勉強に励んでいる。お母さんは、「生き物以外の本もたくさん読むようになりました。ひとつのことを認めてもらえると、いろいろな事に興味が広がるんですね」と、その成長ぶりに驚くという。

諒人くんの研究をサポートしている永森貴子先生は、「ビオトープの研究で素晴らしいのは、この研究の目的を過去の自分の研究とつなげ、生き物を取り戻すだけでなく、街づくりという大きな視点でまとめている点です。しかも、それをきちんと自分の言葉でまとめています」と話す。

自宅の庭で検証したビオトープ作りを、今度は学校の校舎を取り囲むような大規模なものに成長させていくのが次の目標だ。「今、一番興味があるのは生態系です。人間が壊してしまった本来の生態系をどう取り戻せるかを考えていきたいです」。将来、生物学者になりたいという諒人くんは、研究を通して社会に貢献し、たとえ限られた地域でもいいから、かつての自然豊かな日本に戻したいと夢をふくらませている。

新しい学びの環境の中で充実した日々を過ごしている諒人くん
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