
1.8斤分の小麦、水、バター、砂糖、塩を正確に計量、イタリア大理石一枚板の作業台でこねる。台は、4歳年上の奥さん宇佐美総子さんの手作り。パン生地を作るに最適なのだという。
こね方も泉己流。生地にストレスを与えないよう、素手でやわらかく撫でるように。満遍なくこねられていくうちに生地は粘りをもち、おもちのようにふんわり丸くなっていく。多以良さんの手も、ほんわか柔らかい。
作業は二度のベンチタイムを入れて、14回を超える工程を経る。焼き上がりまで、およそ3時間。それでようやく食パン1.8斤ができあがる。これを日に3度繰り返す。あどけない顔立ちだが、作業中の目は真剣そのものだ。
原料はオーガニック中心。つまり保存料など添加物が一切ないもの。小麦粉は残留農薬の心配のない、オーストラリア、カナダ産の一等粉。塩は、ギネスブックでミネラルの含有量が世界一という宮古島の「雪塩」。バターは北海道産の発酵バターといった具合。できるだけ体にいい食材を使おうと、全国を歩き回って探してきたものばかり。