CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2008年度受賞

川崎個人タクシー協同組合

子どもたちの笑顔を乗せて、片道1時間の旅

最初のタクシードライブは、79年5月だった。相模湖ピクニックランドに向けて、20数台のタクシーが出発した。子どもたちはもちろん、付き添いの職員、父兄も参加して、総勢100人ほど。運転手は夜間勤務明けの人も多く、わずかの仮眠をとって駆けつけてきた。

以来、毎年、よほどのことがない限り5月の第3木曜日、20数台の個人タクシーが多摩動物公園、こどもの国、八景島シーパラダイス、よこはま動物園、お台場海浜公園など、片道1時間ほどの行楽地へ、子どもたちの笑顔を乗せてドライブする。1時間というのは、第1回の相模湖の時に、遠すぎて子どもたちが飽きてしまったという経験があるからだ。

弁当やおやつも、すべて運転手側が用意する。入園料・入場料、それにガソリン代・通行料金も同様。1回当たりの総経費は20万~30万円だという。

現在、奉仕団の幹事役をつとめるのは、83年からこの活動に参加している渡邉紀夫さん(69歳)と99年から加わっている山岸隆信さん(52歳)。渡邉さんは「川崎生まれの川崎育ち。この町で仕事をしているので、恩返ししたいということはもちろんですが、女房の親が障がい者でしたので、障がいのある人たちに少しでも役に立ちたいと思ったことも大きいですね」と語る。山岸さんも「私自身双子で、超未熟児で生まれた。一つ間違えると障がいがあったかもしれない。そんなこともあって……」。

口々に「来年も参加しますよ」の声。タクシードライブはまだまだ続く

2人は年が明けると参加者を集め始める一方、4月初めになると学園側と打ち合わせし、行き先を下見する。その上で弁当ほかの手配も行う。仕事の合間を縫ってだから、けっこう大変だ。けれども、子どもたちの笑顔を見るとそんな苦労も吹き飛ぶ。運転手仲間も「また来年も参加しますよ」と笑顔で言ってくれる。

メンバー中の最年長の渡邉さんが、こう締めくくった。「このボランティアが、これだけ長く続いているのは、山岸さんのような若い人が次々に参加してくれるからです。現在、延べで40数人の運転手が協力してくれていますが、40歳代の人が何人も加わってくれています。そういうことで私が引退しても、まだまだ続いていくと思いますね」

Page Top
Page Top