
数日後、2人は学園に出向き、趣旨を説明した。学校側は大いに歓迎だったが、現実的には制約条件が少なからずあり、即実行とはいかなかった。障がいの重い子をどうするか。学園は土日休みだから平日でないと行けないのだが、そうなると小中学校などへ通っている子どもを休ませないといけない。前もっての準備や連絡の問題もあり、雨降りだからといって延期できない。行く先は、雨天でも子どもたちが遊べる場所でないといけないなどである。
結局、トライアルしてみましょうということになり、当初は親しい運転手数人で実験的に始めた。奥さんを動員してお菓子の詰め合わせなどもこしらえたりした。普段、学園近辺にしか出かけられない子どもたちは、とても喜んでくれた。
手ごたえをつかんだ鈴木さんたちは、できれば遠出が可能な子どもたち全員を連れて行きたいと思い、78年末ごろから仲間に声をかけ始めた。こうして有志が集まり「しいのき学園奉仕団実行委員会」が作られる。一方で組合に働きかけ、資金援助を要請すると同時に、組合本部などに募金箱を置かせてもらった。この時点で、ボランティアはボランティアだが、奉仕団の活動を組合全体が支援する形になったと言っていいだろう。