
こう書くとお金持ちの篤志家のように思われるかもしれないが、桑山さんは愛知県安城市に住む、古希を少し超えたごく普通の、元気でかわいいおばあちゃんである。母親から譲られた自宅そばの土地を工場に貸し、ご主人と二人でつつましく生活している。お金が有り余っていて、あちこちに寄付や募金をしているわけでは決してないのだ。また、最近の「伊達直人現象」のように流行にあおられて募金しているわけでもない。
「何ででしょうか。やはり母親の考え方に影響を受けたんでしょうね。母は熱心な三河の真宗門徒で、一円でも無駄な使い方をしたお金は死に金、人のためになるのが生きたお金、といつも言っていました。そんなことで私自身、贅沢したい、いい着物を着たいなどとちっとも思わないんです」