
一人ではやりづらいので、同じラジオ番組の女性パーソナリティに応援を頼んだ。金丸典子さんといい、本職のアナウンサーだったが、快諾してくれた。もちろんボランティア。「女性の声が所内に流れることで、番組のなごみ度合いは大きく増した」と川越さんは語る。現在の女性パーソナリティ、中田好美さんは二代目で、踊りのお師匠さん。番組開始から10年目に交代し、今はさらにもう一人、谷口真己子さんが加わっている。
番組は、音楽とおしゃべりが交互に流れる構成になっており、音楽は受刑者からのリクエスト、おしゃべりは毎回決められたテーマについて、受刑者から募った投書が中心になっている。テーマは「母」「食べたいもの」など様々。
「テーマは放送当日に知らされる。生放送ですが、前もって読まずにぶっつけ本番。瞬間的に思ったことを私が話し、それに女性が共鳴するように話すスタイル。投書は重なりがあったり、つまらない部分があったりしても全部読むことにしている。彼らの生き様が投影していると思うから。それによって彼らが社会から認めてもらえたと思い、生きる支え、更生への力づけにもなるはず。心の荒んでいる人もおり、どういう球が来るかわからないが、彼らの『心のキャッチャー』になってあげられればと思ってやっています」