主人とは同い年で、梱包の仕事を始めたころ、紹介されて結婚しました。ところがある日、梱包業を止めて自転車造りを始めるというじゃないですか。取引銀行の人も飛んでくるくらいですから、私もびっくりしました。でもいま思うと、苦しいながらこの仕事をやってきたからこそ、会社を続けてこられたのだと思います。
茨城の人らしく、まじめで、思い込んだら一生懸命やる人ですが、それにしても自転車造りへの打ち込み方は違いましたもの。好きだったんでしょうね。ですから私も、原付バイクで部品を買いに走ったり、主人が段取りした機械を操作して部品を作ったり、色々手伝いをしました。今は経理とかが中心ですが。
経営的には、受注は増えていますが、楽になったといえるほどではありません。でも心強いのは、支援コンサートを開いて収益金を自転車開発に寄付してくださる方などが出てきていること。
依然、体が不自由で自分の乗れる自転車がどうしても欲しいという方が、沢山おられます。出来上がった自転車を手にして、涙を流される方も少なくありません。そうした方がおられる限り、主人には体が続く限り頑張ってもらいたいと思っています。
受賞コメント
言葉にならない喜びです。日本という国だからこそ、こんな小さな仕事でも認められたのかなとも思います。部品を作る道具までひとつひとつ造ったり手間のかかる仕事ですが、歩行が不自由で落ち込んでいた人が生き生きと乗っているのを見るのが何より楽しみです。そうした皆さまに支えられて、なんとか続けています。