シチズンホールディングス株式会社の連結子会社であるシチズンファインテックミヨタ株式会社(本社:長野県御代田町、社長:佐藤 敏彦)は、従来製品より解像度を1.5倍高めた世界最高峰※1の解像度(576万画素相当)を持つデジタルカメラ用電子ビューファインダー=EVF(Electronic View Finder)用途の液晶パネルを開発、デジタル一眼レフカメラ市場への展開を図ります。今夏に試作品の提供,2015年度内に量産・販売を予定しております。
デジタルカメラ市場では、ミラーレスモデルの登場により、光学式ファインダーに代わり、撮影時に必要な情報表示が可能な、電子ビューファインダー(以下EVF)を搭載したモデルが増えています。より上位機種への搭載の為、被写体をより鮮明に映し出す高解像度の要求が高まっており、中でも、今後市場拡大が期待されるデジタル一眼レフカメラへの対応が課題となっていました。
当社では、高速応答性、高解像、高精細、高輝度表示が特徴の強誘電液晶を用いた液晶パネルを1990年代後半から開発しており、これまでも多くのデジタルカメラのEVFに搭載されています。
この度、より精細な駆動回路の設計と液晶の高速化改善を行うことで、従来製品(0.4インチQuad-VGA・約369万画素相当)より解像度を1.5倍高めた0.5インチでUXGA解像度(1,600×1,200×RGB)576万画素相当の液晶パネルの開発を実現しました。世界最高峰の解像度、立体感、精細感を持つ液晶パネルになっており、デジタル一眼レフカメラに要求される高精度なピント合わせが可能になり、光学式ファインダーの置換えとしても使用できる液晶パネルです。また、駆動速度もUXGA高解像度下において3倍速駆動を実現し、フィールド・シーケンシャル方式(※2)特有のカラーブレイクアップ(※3)対策についても劇的に進化し、他の方式と比べて実用上の問題無いレベルまで改善しており、これからのデジタル一眼レフカメラ新世代の主役となる製品です。
強誘電液晶マイクロディスプレイは、強誘電液晶の高速応答性を生かした、高解像度、高精細、高輝度表示が特徴。反射型LCOS (Liquid Crystal on Silicon)構造によって画素間のピッチを狭めて滑らかな画像が表現でき、信号処理、駆動回路等を内蔵し小型化が可能です。また、フィールド・シーケンシャル方式を採用することで、カラーフィルターが不要になり高精細表示が可能です。
当社が2012年8月に行った、強誘電液晶の基本特許、製造技術およびVLSIの開発能力を持つ、米のMicron Technology社のディプレイ事業買収により、開発を加速することが出来ました。
1. サイズ
0.5インチ(4:3) 横10.08㎜×縦7.56㎜
2. 解像度
1,600×1,200×RGB 576万画素相当 (UXGA) SVGAパネルの4倍の解像度にあたるUXGAを実現。
3. カラーブレイクアップ対策
高解像度(UXGA)において3倍速駆動を実現。
4. 温度補償改善
液晶駆動を使用温度に適した駆動条件に補償。
5. 120Hzの入力信号に対応可能
実像を電気信号に変換する為に生じるタイムラグ(画像遅れ)を改善可能。
6.モノクロモードの追加
デジタル一眼レフカメラ市場ニーズへの対応を実現。
EVFは、光学式ファインダーに比較して多くの情報表示が可能になり、2002年頃からデジタルカメラへの搭載が始まり、パネルの高精細化に伴い、上位機種へと搭載数が増加しています。
スマートフォンのカメラ性能の向上により、コンパクトカメラ市場は縮小傾向にありますが、EVFが搭載される一眼レフやミラーレスといったレンズ交換式デジタルカメラの市場は拡大が期待されています。
本開発品にてミラーレス市場のみでなく、デジタル一眼レフカメラ市場への展開を図ります。
※1 2014年7月当社調べ(小型パネル:0.5インチ以下)
※2 非常に速いスピードで、赤・緑・青の光を順次照射して時間軸上でカラー映像を作る方式
※3 ファインダー上で視点を急に移動させた時に虹のような模様が見えること
2008年、シチズンミヨタ株式会社とシチズンファインテック株式会社が統合して誕生。
水晶振動子や液晶表示機器、光学デバイス部品などをてがける。