2024年受賞
一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)
-
誰もが希望を持って暮らせる社会へ
本人たちの活動がきり拓くと確信国際医療福祉大学大学院教授
大熊由紀子さん
2025年2月、都内で開催された「希望のリレー国際フォーラム」で感動的な場面が展開されました。
認知症を体験している人々が、とびきりの笑顔で舞台に駆け上がり、名乗りあい、「つながり」の大切さを誓いあったからです。
仙台から、鳥取から、高知から、長野から、大分から、佐世保から、茨城から、秋田から、北海道から、東京など全国各地から。そして、韓国、台湾の本人たちからは賛同のメッセージが寄せられたのです。シャッターを押しながら、私は涙ぐんでしまいました。
認知症になってからも、一人ひとりがこんなにも輝いて、堂々と希望を語りあえる日が来たのです。しかも誰もが希望を持って暮らせる社会を一緒につくっていこうと、本人たち自らが、全国、そして世界にむけて、ともにアクションをおこしていくことを呼びかけたのです。
ここにいたるまで、この国際フォーラムを共催した日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)の本人たちが、どれほどの苦悩や絶望を体験してきていることか。その格闘の中から立ち上がり、自分たちの1回きりの人生をよりよく生きていくために、そして次に続く人たちが同じ苦しみ辿らずにすむようにと、10年以上に渡り地道な活動を続けてきていた成果が次々と生まれてきています。
特に、2018年、「一足先に認知症になった私たちからすべての人たちへ」という呼びかけで始まる「認知症とともに生きる希望宣言」は、認知症のイメージを大きく塗り替え、人びとの心を溶かし、自治体や国の施策にも大きな影響をもたらしてきました。たとえば、世田谷区の「認知症とともに生きる希望条例」、そして国の「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」の成立。
日本の認知症政策は、精神科病院の問題等、未だ深刻の課題を抱えていますが、基本法で明示された基本的人権の重視、そして何よりも当事者としてのJDWGのこれからの活動を通じて、活路が拓かれていくと確信します。
シチズンの賞は、JDWGが困難な中でもあきらめずに進んでいくための、勇気の原動力になっていくことでしょう。

受賞コメント
選考委員長コメント