大学卒業後、会社勤めをしていた山田さんでしたが、もっと世界を見て回りたいと退職し、さまざまな国を自転車で走りました。そうした中、元青年海外協力隊員の男性と結婚して日本とシンガポールで子育てをしながら生活。2016年に、レアメタルのトレーダーをしていた夫が独立するのを機に、「いつかは暮らしたい」と二人で話していたアフリカ行きを決断。夫の仕事が多くあるルワンダの首都キガリへ家族で移住したのです。
移住後、料理をつくることや人をもてなすことが好きだった山田さんは、富裕層をターゲットとした日本食レストラン「キセキ」をオープン。当初は順調でしたが、食材やお酒にこだわってヨーロッパや日本から仕入れるうち収支が合わなくなり、加えて現地で雇った男性従業員のさぼりや盗難も重なって「もうやめようか」と考えるようになりました。
そんなある日、熱心に働く30代のシングルマザーに「あなたみたいな人がもっといたらいいのに」とつぶやくと、翌日なんと50人ものシングルマザーを連れてきたのです。そこで山田さんは、ルワンダにおける彼女たちの過酷な現実を知り、10人のシングルマザーを雇い入れました。
山田さんは彼女たちを雇ったそのときの想いを、「技術もなく、社会経験もなく、小学校も中退で、英語もできない。でも、働きたいという気持ちだけでやってきた、その必死な若いお母さんたちの様子に、同じ子育てをする母親として共感したところが大きかったです」と振り返ります。