
(下)参加・体験型のグループプログラムも行われている
無料で利用ができること、寄付により運営されていることに加え、「建築と環境」も大切なコンセプトで、マギーズ東京では四季の花や緑が来訪者の心を癒せるよう、地域の人と共にガーデンを育てている。室内も大きな木のテーブルや座り心地のよい椅子などが心安らぐ空間をつくり、サポートの一部となっている。
それを物語るエピソードも少なくない。がんの告知に打ちひしがれていたある年配の女性は、テーブルに使われている見事な一枚板に気づくと、自分が木場の材木商のおかみとして頑張っていた頃の話を語り始め、次第に表情にも生気が戻り、今まで踏み切れずにいた手術を自分で決断したという。
マギーズ東京では、こうして年間約6,000人もの来訪者を、看護師や心理士などの「キャンサーサポートスペシャリスト(CSS)」や、協力看護師、管理栄養士、運営事務局スタッフが親身に支えている。また、対面での支援のほか、コロナ禍では電話やオンライン、メールによる相談にも対応し(注:現在は対面での相談)、仕事終わりにも立ち寄れるナイトマギーズも月に2回実施。さらに、リラクセーションやストレスマネジメントなどのグループプログラムも用意され、そこでは参加者同士のつながりも生まれている。
今後に向けては、「がんと共に歩む人々を支える仕事に喜びを感じ、今回の受賞を継続の力として、これからもドアを開け続けていきたい」と話す皆さん。多くの支援者によるチャリティーに運営を支えられながら、全国にネットワークを広げ、活動はさらに続いていく。