CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2020年度受賞

鈴木 聡真さん 鈴木 杏さん 一寸木(ちょっき) 大喜さん 一寸木 悠喜さん

1,118人から300万円を超える支援が集まった

活動への熱い想いが大きな共感の輪に

聡真さんたちのクラウドファンディングが新聞で紹介されると、その反響は予想をはるかに超えるものだった。2カ月で10万円という目標は、なんと開始から24時間で達成。4人が通う学校まで直接寄付を届けに来てくれる人や現金書留で送ってくれる人もいた。こうして1週間後には200万円を突破し、最終的には1,118人もの人から300万円を超える寄付が集まったのである。

そのときの素直な気持ちを4人は、「多くの人にロヒンギャの問題について知ってもらえてよかった。ますます真剣に取り組まなければならないと実感した」(聡真さん)、「寄付が高額になってプレッシャーも大きくなったけど、たくさんの支援がうれしかった」(大喜さん)。「難民キャンプで女の子がとても弱い立場だと聞いたので、みんなの役に立つものを贈ってあげたいと思った」(杏さん)、「1日で10万円を超えてびっくりしたけれど、サッカーボールが贈れると思った」(悠喜さん)と振り返る。

目標額を大きく上回ってクラウドファンディングが終了すると、4人はお礼の動画をホームページに載せて支援してくれた人たちに報告。さらに感謝の言葉や缶バッジなどを添えた礼状を全員で協力して送った。

クラウドファンディングで支援してくれた人に、手作りの缶バッチや感謝の手紙を送付

現地の声を第一に、必要とされる支援を決定

支援金が高額になったことで、「どう使うのが一番いいか」という新たな課題も生まれた。そこで4人は、アウンティンさんにも相談し、ロヒンギャをよく知る人にアドバイスをお願いすることにした。

話を聞いたのは、2020年2月に難民キャンプを訪れている地元館林市の国際交流協会の方や、駐バングラデシュ大使、難民キャンプで働く「世界の医療団」の人たち、現地を取材したジャーナリストなど現地を知る人たち。それをもとに、継続した支援にするため4回に分けることを決定した。

さらに、贈る物資も当初考えていた文房具やサッカーボールだけでなく、寒さをしのぐ毛布や、女の子が夜トイレに行くときに役立つ懐中電灯なども届けることにした。こうして2020年の12月末、第1回目の支援金が現地で対応してくれる支援者のもとに送金された。物資を送るのではなく送金にしたのは、日本よりも物価が安く多くの支援物資が買えることと、難民を受け入れているバングラデシュへの経済的な貢献になるという配慮からだった。

寄付金が高額になったことから、ロヒンギャに詳しいさまざまな分野の人に支援についてアドバイスをお願いした

一日も早い平和を願いこれからも4人で

(上)サッカーが大好きな男の子たちには新しいボールが贈られた
(下)第一回の支援では寒い冬を暖かく過ごすための毛布も贈った

現地の支援者はすぐに依頼に対応してくれ、活動を始めてから7カ月あまり、ついに支援が難民キャンプの子どもたちに届けられたのだ。そして、数日後には現地の子どもたちが満面の笑顔でサッカーや縄跳びをする動画、文房具や毛布を受け取った映像などが、感謝のメッセージとともに届いた。

その様子をパソコンで見た4人からは、「あんなに笑顔になっている!」「みんな楽しんでくれているね。よかった」と、思わず安堵の言葉が出た。聡真さんたちは自分たちの活動が役に立ったことを実感し、心からの喜びと寄付をしてくれた人たちへの感謝を込め、ホームページで第1回目の支援を報告したのである。

ロヒンギャの人たちを取り巻く環境は、難民キャンプの大規模な火災やミャンマーの軍事クーデターなど、依然厳しい状況が続いている。しかし、現状に胸を痛めながらも、「今度は、現地で人身売買などがあることから、子どもたちが自分の身に危険が迫ったとき大人を呼べる笛を送ろうと思います」と、4人の視線はもう次の支援に向けられている。

活動を通し「怒りや仕返しは答えじゃない、大切なのは平和なんだと学びました」という、聡真さん、杏さん、大喜さん、悠喜さん。ロヒンギャの人たちが一日も早く平和に暮らせることを信じ、活動への想いをさらに強くしている。

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