CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2020年度受賞

鈴木 聡真さん 鈴木 杏さん 一寸木(ちょっき) 大喜さん 一寸木 悠喜さん

祖国を追われたロヒンギャの子どもたちに笑顔と希望を届けたい!

祖国を追われたロヒンギャの
子どもたちに笑顔と希望を
届けたい!

差別や迫害の歴史を知り、ロヒンギャ支援を思い立つ

「ねえ、ロヒンギャって知ってる?」。お母さんにそう聞かれた鈴木聡真さん(12)は、その言葉自体知らなかった。詳しく聞くと、ロヒンギャはミャンマーの少数派のイスラム教徒で、宗教の違いなどから迫害を受け、自分たちの住む群馬県館林市にも、弾圧から逃れて多くの人が暮らしていることが分かった。平和な日本との違いに衝撃を受けた聡真さんは、ロヒンギャについて調べ、その過酷な歴史や100万人もが隣国バングラデシュで難民になっている現実を知ったのである。

聡真さんはそのことを妹の杏さん(10)や、家族ぐるみで親交のある一寸木大喜さん(10)、悠喜さん(7)兄弟に話した。4人は同じ小学校に通う幼馴染で、親子で一緒に地域の老人ホームを訪ねてボランティア活動を行うなど、社会貢献に取り組んできた。そして、ロヒンギャの問題を知ると「自分たちに何かできることはないか」と、4人は自然にそう思ったという。

そうしたなか、アウンティンさんというロヒンギャの男性に会う機会を得たことが、支援活動への大きなきっかけになった。アウンティンさんは日本に来て30年近く、館林で働きながら私財を投じて難民キャンプに学校をつくるなど支援活動を続け、「在日ビルマロヒンギャ協会」の副会長も務めている。

支援物資が届いた難民キャンプの子どもたちの動画を見る、(左から)一寸木大喜さん、鈴木聡真さん、一寸木悠喜さん、鈴木杏さん

「教育とスポーツがあれば子どもたちは救われる」

難民キャンプからアウンティンさんに届いたサッカーをする男の子の写真

アウンティンさんに聞いたロヒンギャの現状は、インターネットでは知ることができない過酷なものだった。民族や宗教の違いから家を焼かれたり命まで奪われるなどの迫害を受け、難民キャンプの子どもたちも不自由な生活を強いられている…。「同じ人間なのにどうして?」聡真さんたちは深い悲しみとともに強い憤りを感じた。その一方で、アウンティンさんからの「ひどい状況だけれども、教育とスポーツがあれば子どもたちは救われる」という言葉に希望を感じ、「力になりたい!」という想いを強くした。

そしてこのとき、館林に暮らすロヒンギャの人たちが、街に溶け込むため人知れず清掃活動などを行ってきたことを聞いた4人は、尊敬の気持ちからも支援への想いを募らせた。

アウンティンさんから、裸足でボロボロのボールを蹴る子どもたちの写真などを見せてもらい、4人は文房具やサッカーボールを贈ることを思いついた。しかし、コロナ禍のため街頭に立つ募金活動などは難しい。そんなとき「イギリスの100歳の男性が、インターネットで寄付を募り44億円を集めて医療従事者を支援した」という新聞記事を見つけ、「これなら、僕たちにもできるかもしれない」と期待がふくらんでいった。

ミャンマーでの迫害から逃れるため100万人のロヒンギャが難民になっている© UNHCR/Roger Arnold

支援に向けクラウドファンディングがスタート!

お母さんたちに話すと賛成してくれ、手続きをサポートしてもらいながら申請を進め、8月末には審査を通過。「僕たち私たちにできること We are the same」というプロジェクト名で、10万円を目標とするクラウドファンディングがスタートすることになったのである。

開始日は8月25日。2017年に、数十万人のロヒンギャが隣国バングラデシュに逃れるきっかけとなった大規模な弾圧の始まった日だ。この日、クラウドファンディング開始を報告するためアウンティンさんを訪ねると、ロヒンギャの問題について記者会見が行われていた。すると、会見が終わったアウンティンさんが突然聡真さんたちを招き入れ、新聞記者たちに活動を紹介するよう促した。

急なことに緊張しながらも、聡真さんはロヒンギャ難民を支援するクラウドファンディングを今日から始めることを記者たちに報告。「難民キャンプの子どもたちに希望を届けたい」と、杏さん、大喜さん、悠喜さんとともに、4人で一緒にクラウドファンディングのスタートボタンを押したのである。

4人で一緒にクラウドファンディングのボタンを押してスタート
クラウドファンディング開始の8月25日、新聞記者に活動について紹介した聡真さん
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