CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2016年度受賞

塗魂(とうこん)ペインターズ

何かを成し遂げる喜びを体験してもらえるよう、子ども向けのイベントも行っている

震災被災地での活動を体験し、社会に向けた動きが加速

東日本大震災の被災地での経験は大きな転機になった。

震災後の早い時期に現地に入り、色を失った町を前にして立ちつくした宮嶋さんは「津波の巨大な爪痕の前で自分たちの無力さを感じました。ここから、俺たちだからこそできる活動で、もっと社会の役に立とう、塗装ボランティアをもっと意味のあるものにしよう、そう拍車がかかったんです」と言う。被災地での活動はその後、熊本地震の際も現地に駆けつけている。

自分たちが塗装を行うだけでなく、力を合わせて一つのことを成し遂げる喜びや、ものを大切にする心を育みたいと、塗魂ペインターズは子どもたちの塗装体験も行っている。「塗魂ぬりぬり教室」や「親子塗装教室」などで子どもたちが夢中になっている姿は、塗装という仕事に対する誇りや励みにつながるそうだ。

事務局長の佐々木さんは言う。「自分一人では到底力が及ばないことも、仲間がいればできるということを、塗装ボランティアが教えてくれる。未来を担う子どもたちに、そんなペインターズの姿を見せられることは意味が大きいし、きれいな色がある世界をずっと見せていきたい。」

東日本大震災の被災地、宮城県女川町の惨状を見るメンバー

世界に勇気と希望を与えられる、塗装ボランティア団体へ

塗魂ペインターズの活動の場は国内にとどまらない。

戦後70年の節目を迎えた2015年12月には、総勢60人余りで真珠湾のあるハワイに渡り、海外塗装ボランティアを敢行。現地の高校とお寺で活動を行ったあと、アリゾナ記念館を訪れて当時の安田会長が献花し、英語でスピーチをした。塗装を通して平和に貢献したいという気持ちを込めたスピーチは、現地の人たちにも塗魂ペインターズのメンバーたちにも大きな感動を与えた。

2016年3月には、ベトナム・ホーチミン市の病院とレストランを塗装し、10月には海外支援部門として「塗魂インターナショナル」を設立している。

さらに、2017年の9月には、リトアニア共和国の旧日本領事館「杉原千畝記念館」の改修プロジェクトに約60人が参加。ここは、第二次世界大戦中、日本の外交官、杉原千畝が6千人以上のユダヤ人難民に「命のビザ」を発給したことで知られる歴史的な場所だ。メンバーは老朽化が激しかった3階建ての建物の外壁を、約500平方メートルにわたりもとの雰囲気を損なわないようにして塗り直す。その見事な仕事ぶりは地元の人々からも称賛された。

一人ひとりの力は小さくとも、力を結集すれば大きな社会貢献に

ボランティア実施先からのお礼のメッセージは元気の源だ

北海道から沖縄まで、全国各地から参加している加盟社は現在約150社になり、海外も含め、これまで行ってきた塗装ボランティアは90カ所を超える。

活動が知られるにつれ、共感した多くの企業が刷毛や塗料の提供などでバックアップしてくれているが、交通費や宿泊費などは塗魂ペインターズのメンバーがすべて自前でまかなっている。副会長の大倉さんは、「仕事で苦労したり、つらいことがあったりしても、塗装ボランティアに行って皆の笑顔に会うと、エネルギーや元気がもらえるんです。そうして楽しく塗装をした帰りは本当に胸の中が温かくなっていて、明日からまた頑張ろうという気持ちになっています」と話す。

2017年中に、加盟200社を目指したいという会長の宮嶋さん。「一人ひとりの力は小さくとも、力を結集すれば大きな社会貢献になることを塗魂ペインターズで実感しています。これからも、塗装を通して皆さんの心の中に幸せな明かりを灯し、世界の人々に勇気と希望を与えられる団体を目指します」と、熱い想いを語る。

全国から有志が集まる塗装ボランティアの現場はいつも笑顔が絶えない
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