CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2016年度受賞

塗魂(とうこん)ペインターズ

街を幸せ色に塗り替え、人びとの心に明かりを灯す

街を幸せ色に塗り替え、
人びとの心に明かりを灯す

みんなの心に火をつけた、「塗装でできる社会貢献」への熱意

「よし、ボランティアをやろう!」。その一言がすべての始まりだった。

2009年、ある大手塗料メーカーが、何か新しい試みができないかと、塗装業者に呼びかけた。参加した10数社が具体的な活動について模索したが、なかなか意見がまとまらない。そんな中、会議の席で後に初代事務局長になる池田大平さんから声が上がった。

一瞬の沈黙のあと皆の目が輝き始めた。それが、“熱き魂”の塗装集団の名を冠した「塗魂ペインターズ」誕生の瞬間だった。

「ペンキ屋として独立したが、何か世の中の役に立てることができないか…」以前から社会貢献に関心を持っていたメンバーも多く、安田啓一さんを初代会長に「塗装でできる社会貢献」という理念を掲げ、活動を開始した。

記念すべき第1回の塗装ボランティアは、2010年3月に17社38人が参加して、神奈川県伊勢原市の幼稚園で行われた。その時のことを振り返り、現副会長の結城伸太郎さんは「幼稚園の屋根をみんなで一気に塗り替えました。塗りながらものすごく楽しかったですね」と笑みがこぼれる。それまで知名度がなく、ボランティアを申し出ても断られていたが、これを機に活動が軌道に乗りはじめた。

記念すべき第1回は幼稚園の屋根を塗装

結成当初から強かったメンバー同士の連帯感と熱い想い

熱い想いを語る、左から清水さん、結城さん、宮嶋さん、佐々木さん、大倉さん

現会長の宮嶋祐介さんも草創期からのメンバーだ。塗装業の仲間が全国から集まって、大きな規模のボランティア活動ができることに惹かれ、いち早く入会した。

初めての参加は、今も語り草となっている埼玉県上尾市の特別支援学校での塗装ボランティアからだ。それは、入会前の想像を超えるものだった。「これをボランティアでやるのか? というくらい大規模な塗装でした。それを延べ100人以上のプロが、ものすごい結束力で一気に塗り上げていくんです。まさに壮観でした。自分でも年に何回かボランティアをしていましたが、力を結集すればこんなにスケールの大きな社会貢献ができるんだと感動しました」

現在、青年部長の清水剛さんは、上尾での第2回のボランティアから参加した。当時清水さんは、工賃の未払いなどで苦労しており、塗装業を続けるかどうか迷っていたが、池田さんの勧めで塗装ボランティアに参加した。「そんな心が揺れている自分を、会ったばかりの宮嶋さんたちが親身に励ましてくれるんです」。“魂を揺さぶられた”清水さんは、共に頑張ることを決意したという。同業者として仲間を思いやるメンバー同士の連帯感の強さと熱い想いは、結成当初からのものだった。

上尾特別支援学校の塗装ボランティアでは、子どもたちや保護者も活動に参加した

仲間同士が技術や経営を学びあい、業界自体の底上げにも貢献

実績を重ねるにつれて、会員は全国に広がっていく。

現副会長の大倉達也さんは、大阪に1社も会員がいないことに業を煮やして加盟したメンバーだ。上尾のボランティアから参加し「自分たちの技術を活かしてボランティアできるのは、こんなに楽しいのか」と実感したそうだ。

またその時、各地から参加した先輩たちが、自分にない技術を教えてくれたり、貴重な経験を話してくれたことにも感動し、「それらを継承していくことも、塗魂ペインターズの大きな役割だと思いました」と話す。実際、塗装の技術はもちろん、経営についてのアドバイスや、自社の成功事例などを伝えあうことも多く、業界自体の底上げにも貢献している面があるという。

佐々木拓朗さんは、宮嶋さんから「一度来れば分かるから」と誘われ参加した。それでも入会してしばらくは、「ボランティアを公言」している団体に懐疑的な思いがあったと言う。しかし、「困っている会員を助けたり、当時の安田会長や会員たちの驚くほどの純粋さに触れるうちに、兄弟のような連帯感が生まれました」と話す。今では熱き集団の事務局長を務めている。

活動中も大切な交流の時間になる
2016年10月には初代執行部から現執行部への継承式も行われた
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