CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2016年度受賞

NPO法人 就労ネットうじ みっくすはあつ

利用者自ら高校の野球部員にエコボールを納品します(京都文教高校にて)

社会に役立っている実感、選手との触れ合いが大きなやりがいに

エコボール活動は、みっくすはあつの利用者と野球部員、双方にいい効果が出ていると小畑さんは話す。「納品の際はできるだけ多くの利用者がグラウンドに足を運び、直接野球部員に手渡しするようにして、交流の時間を大切にしています」

ボールの再生で野球部員を支援できることは、利用者にとって社会に役立っていることが実感でき、大きなやりがいや喜びにつながっている。納品の際に野球部員たちが自発的に利用者とキャッチボールをする高校もあり、お互いの大切な触れ合いの時間になっているのだ。

そんな高校の一つ、京都文教高校では、野球部員たちもみっくすはあつの事務所を訪ね、利用者から教わりながら一緒にボールの修繕を体験している。木田邦浩監督は、「野球の技術以前に、まず人間としてきちんと育てたいという想いがありお願いしています。一球一球丁寧に縫っていただいているのを見て、生徒たちには改めて用具を大切にするようになっています」と話す。キャプテンの寺本蓮君も、「いつもきれいなボールに仕上げていただき、みんな感謝しています。プレーの上でもプラスになっていると思います」と話す。

利用者から縫い方を教えてもらう野球部員たち

活動に触れ、生徒は「共に生きる」ことの大切さを学ぶ

2009年のスタートから8年。わずか20個から始まったみっくすはあつのエコボール活動は、累計で1万5000個を超えた。活動は現在、共感した22の就労支援施設にも広がり、全国の高校や大学、独立プロリーグ、リトルシニアチームなど約180もの団体から委託を受けるまでに発展。1年間に2万個近いエコボールが生まれ選手たちに使われている。

活動が拡大しても、大門さんや小畑さんたちは、エコボール活動の基本姿勢を今もしっかり守っている。「まずこの活動が、施設利用者の就労支援であることを理解していただくことが一番大事だと思っています。なので、納期を問わないこと、出来上がりについても問わないことをお願いしています」と大門さん。そうすることで、単なる発注者と修繕する業者という関係にならず、若い世代が障害のある人と「共に生きる」ことの大切さを学ぶ貴重な機会となっているのだ。

自分たちが修繕したエコボールを使って練習した高校が甲子園に出場することも増えて、利用者にとっても大きな喜びとなっている。ものを大切にする心や感謝の気持ちを育むことが、チーム力にプラスになっているとさえ感じさせる。

さらなる広がりに夢がふくらむ「エコボール」活動

エコボール活動を行う全国の就労支援施設が集り「エコボール全国集会」を開催

現在、みっくすはあつでは、10代から60代までの約10人がエコボールに携わり、1個につき100円の修繕費はすべて作業をする利用者に還元されている。今年2月には、エコボール活動を行っている全国の事業所が一堂に会する「第一回エコボール全国集会」も京都で開かれ、みっくすはあつの利用者が、エコボールを納品し喜んでもらえたときの達成感ややりがいについてスピーチ。また各就労支援施設から取り組みの報告などが発表され、横のつながりも深めた。

小畑さんはこの活動を続ける原動力について、何よりエコボールが利用者の就労支援となって、しかも確実に広がっていくのを実感できることが大きいと話す。そして「高校の野球部の監督さんから、部員に良い効果が生まれていると聞くのが私たちスタッフも利用者の皆さんもうれしく、そんなつながりができていくのが一番のやりがいになっています。またこの活動は、障害者の方だけでなく、高齢者施設の方にもやっていただいたらどうだろうというアイデアもあります。もっともっとつながりが広がるのではないかと期待しているのです」と、これからのさらなる発展にも想いを馳せる。

8年目を迎え、エコボール活動は利用者の自主的な活動になってきています
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