
日本に帰れば、カンボジアへの思いも次第に薄れると思っていた高山さん。「ところが、再訪したいという思いは、冷めるどころか逆に強くなっていきました」という。
高山さんは来るべきその日に備え、英語塾やパソコン教室に通い、さらに、仏教国であるカンボジアへの理解を深めるため奈良の東大寺に行き、僧侶の資格まで取得した。
帰国から10年が過ぎ定年退官が近づいていた高山さんは、自衛官OBがカンボジアで地雷・不発弾処理のNGOを立ち上げようとしていることを知った。カンボジア国内には、20年以上続いた内戦などによって、400万個とも600万個ともいわれる地雷や、空爆による不発弾が数多く残され、住民が被災したり犠牲になったりしていた。
NGOへの参加を申し出ると、すぐに現地副代表として赴任してほしいという返事が来た。「カンボジアへの思いがピークに達していました」という高山さんは、2002年5月、定年退官からわずか3日後に、「必ず帰ってくる」と誓ったカンボジアの地へ向かったのである。