
ちょうどその頃、障害のある子どものお母さんが活動に参加することになった。そして、そのお母さんが子どもの障害に合わせ、自分なりにアイデアを活かしながら一生懸命おもちゃを手づくりしていることを知った。それが、今でもTOY工房どんぐりで人気のある「山手線一周ゲーム」の原型となったおもちゃである。
電車が好きな子どものため、山手線をすごろくのようにすすんでいく中で、ものを投げる力を養ったり、遊びながら数が理解できるなど、お母さんのさまざまなアイデアや工夫が散りばめられていた。まさに、一人ひとりの障害に合わせ、能力を引き出せるようにおもちゃを作っていく、TOY工房どんぐりの原点がそこにあったのである。
「山手線一周ゲーム」は、ベースとなったそのお母さんのおもちゃにさまざまな工夫を施し、時代の変化と共に改良を加えながら、現在もTOY工房どんぐりの代表的な布おもちゃのひとつになっている。