CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2010年度受賞

吉田 守松さん

子どもたちからの感謝状に目を細める吉田さん

50年にわたる交通指導の経験は児童への安全教育にも活かされ

「皆さんの小学校には25メートルのプールがありますね。あれだけの距離を、車はカチッカチッというたった2秒で走ってしまいます。皆さんが横断歩道を渡っているとき、もし、運転手がよそ見をしていたらどうなるでしょう」。吉田さんの言葉に児童たちは驚きの声をあげるという。

この20年ほど、吉田さんは毎年、小学校の「交通安全指導感謝の会」に招待され、子どもたちに交通安全の話を聞かせている。これまでの経験をもとにした話は、身近な例を交えながら、分かりやすく子どもたちに届く。

「どうすれば子どもたちに車の危険性を伝えることができるか。これは誰も教えてくれません。私自身が50年の経験で身につけた財産です」

今年の「交通安全指導感謝の会」で、吉田さんは子どもたちから手作りの感謝状と交通安全のカレンダーを贈られた。「交通指導を休んだ日があったのですが、私がいない日はとても悲しいなんて書いてくれましてね」と吉田さんはうれしそうに話す。

こうして見守ってきた子どもたちとの触れ合いが、今も大きな励みとなっている。

児童から贈られた手作りの感謝状には「これからもお体に気をつけて」など、気遣いの言葉も綴られている

孤独な活動のなかで心の糧となった奥さまの温かい言葉と励まし

吉田さんが、50年以上活動を続けることができた一番の支えは奥さまの文子さんだ。「たった一人なので話をする仲間もいませんが、帰ってくれば妻がご苦労さまといって出迎え、その日の辛かったことやうれしかったことを頷きながら聞いてくれます。それだけで気持ちが和らぎます。やはり妻の理解と支えがなければ続けてこられなかったでしょうね」そう話す吉田さん。

活動をずっと続けるなかで、乱暴なドライバーなど、その日の嫌なことを話すときにも、「好きでやっていることだから頑張りましょうよ」と文子さんが励ましてきたそうだ。「やはり夫婦ですね」と、吉田さんは奥さまの支えを振り返る。

表彰式の後、受賞の感想を聞かれた文子さんは、「最初に連絡を受けたときは、こんなに素晴らしい賞だとは知らなかったのですが、お話をお聞きして本当に私たちが頂いていいのかしらと思いました」としきりに謙遜した。交通量の多い交差点に毎朝立つご主人への心配も多いはずだが、文子さんは「もう慣れましたね」と優しい笑顔を見せる。

表彰式で、吉田さんは「寒い朝にも、帰ってきて聞く妻の『お帰りなさい』や『ご苦労さま』が心の糧になりました」と奥さまをねぎらった
Page Top
Page Top