CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2009年度受賞

吉島 美樹子さん

(左)丁寧に作り方を説明する吉島さん(右)完成した帽子は色とりどり

タオル帽子がつなぐ患者と家族の絆

タオル帽子配布活動の発端はこうだ。会が発足した直後の3月、母親ががんに罹った娘さんから相談があった。「髪の毛がなくなって恥ずかしい、カツラが欲しいと母は言うのですが、高価で手が出ません。何かいい方法はないでしょうか」。吉島さんは散々考えた末に、タオルで帽子を作ることを思いつき、実母に手伝ってもらい型紙を制作、自ら縫った見本と一緒に送ったところ、使い勝手がいいだけではなく、「母娘がコミュニケーションできるようになった」と大変喜ばれた。母と娘の距離がぐっと近づき、母親に戻った笑顔は娘さんや家族に元気を蘇らせたのだ。

このことを契機に、6月に吉島さんはタオル帽子作りの講習会を盛岡でスタートさせる。反響は大きく、参加希望者が相次ぎ、月1回のペースで講習会は開催され、活動の輪は県外にまで広がることになる。

タオル製の帽子は、患者が自分の好みに合わせて色や柄が選べる。子供が好きなキャラクターがプリントされたものもある。基本の型紙を生かしつつオリジナルな、時にはファッショナブルなものを作る人もいるという。

希望者の元へ送られる型紙

活動は県外にも広がり全国から届く感謝の手紙

活動を始めた08年、岩手ホスピスの会は県内外からの希望者6,000人に、型紙にボランティアやメンバーが制作した帽子のサンプルを添えて送った。実費として、送料込み1,000円をもらう。さらに活動は広まり、2011年5月までで1万8,000個に達した。「全国から寄贈されることもあり、枚数に余力が生まれたので、各地の希望する病院に50から100個、まとめて贈ることもできるようになりました」と吉島さん。つれて岩手ホスピスの会のメンバーも増えている。「活動の詳細を知りたい、情報を欲しいという県内外の方が賛助的に入会され、現在、県内・県外それぞれ600人という会員数になっています」

「肌触りもよく、汚れたら洗濯もでき、とても使いやすいものが手に入り喜んでいます」「冬の寒さを忘れる暖かい帽子をお送りいただき感謝感謝です」……ホスピスの会には、連日、全国からこうしたお礼の手紙が相次ぐ。

一度は死に直面したことのある人間が持つ強さ。吉島さんはそれをばねに、今日もタオル帽子頒布活動を、ホスピス推進活動を、強力に引っ張っている。

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