「ロヒンギャの子どもたちのために僕たちにできることはないか」ぐんま国際アカデミー初等部に通う鈴木聡真さん(12歳)、妹の杏さん(10歳)、一寸木大喜さん(10歳)、弟の悠喜さん(7歳)の4人は、クラウドファンディングで寄付を募り、バングラデシュの難民キャンプに暮らすミャンマーの少数派イスラム教徒「ロヒンギャ」の子どもたちの支援を行っている。
活動のきっかけは2020年4月、聡真さんが母との会話から初めてロヒンギャについて知り、自分の住む群馬県館林市に多くのロヒンギャの人々が暮らしていると知ったことだった。詳しく調べる中で、杏さん、友人の一寸木さん兄弟と共に「在日ビルマロヒンギャ協会」副会長のアウンティンさんを訪ね、難民キャンプに暮らすロヒンギャの子どもたちの過酷な状況について話を聞き、大変驚いた。アウンティンさんの「本当にひどい状況だけど、教育とスポーツがあれば子どもたちは救われる」の言葉に「何か力になりたい!」という思いが強まった。
そんな時、100歳のイギリス人男性が44億円の寄付を集めたという記事を見つけ、お金を集めて文房具やサッカーボールを送ることを思いつく。しかしながら、コロナ禍で街頭に立っての募金は難しい。クラウドファンディングであれば、人とも会わずに実施できる。また群馬だけでなく日本全国の人に想いを届けて寄付を募ることができると考え、実施を決意した。
2017年に多くのロヒンギャが国外へ逃れるきっかけとなった武力衝突が起きた8月25日に、「僕たち私たちにできること We are all the same」というプロジェクトでクラウドファンディングをスタート。目標は2ヵ月で10万円だったが、反響は大きく、最終的に1,118人から300万円を超える支援が集まり、4人の通う学校に直接寄付を届けてくれる人もいた。「沢山の支援が集まったこともうれしかったが、多くの人にロヒンギャのことを知ってもらえたのが一番うれしかった。」と4人は語る。
一方、想定を上回る支援が集まったことで「何を送るのか、どのように送るのか、どこに送ればいいのか」という新たな課題が生じた。そこで4人は支援金の用途について、いろいろな人に相談を行うことにした。ジャーナリスト、バングラデシュ大使、難民キャンプで働く看護師などから、さまざまなアドバイスを受けた。その結果、一度に多くの物資を送るのではなく、継続した支援ができれば現地の助けになると、4回に分けて支援を送ることを決めた。また、文房具、サッカーボールだけでなく、毛布、懐中電灯の他、家の中で遊ぶことが多い女の子の為に色鉛筆や折り紙などを送ることにした。
第1回目の支援が2020年12月末に難民キャンプの学校に届き、子どもたちが元気にサッカーをする動画が現地から送られて来た。また、今後は2021年の4月、8月、12月に引き続き支援を予定している。物資に加えて、モンスーンの被害を受けた学校の修繕費も支援したいと考えている。
受賞コメント
活動をする僕たち4人が前に出ていますが、現地について色々なことを教えてくれた、たくさんの人たち、アウンティンさん、そして支援してくれた1,000人以上の人たちみんなで一緒に頂いた賞だと思っています。 難民差別の不当さに、正直、何度も怒りを感じました。でも、この活動を通して「怒りや仕返しは答えじゃない、大切なのは平和なんだ」と学びました。今後もロヒンギャ難民の子どもたちを支援していくつもりです。素晴らしい賞をいただき、本当にありがとうございました。