受賞者一覧

マギーズ東京の皆さんの活動には、以前から非常に関心をもっていました。というのも、私は5年前にがん研有明病院の病院長となり、患者さん一人一人の治療に専念する立場を離れて、がんの予防や早期治療の重要性、さらにがんと分かったときの心構えをお伝えしたり、治療が終わった患者さんにどう地域に戻っていただけるかを考えたりすることが多くなりました。このため、治療中の患者さんやご家族、さらに治療後の患者さんとどのようにかかわっていくかが大事で、そうした中で、マギーズ東京さんは非常に重要なポジションにあると思ったからです。

医師が治療法をアドバイスするのとは異なり、皆さんの活動は患者さんやご家族の話をよく聞くことから始まり、それぞれが気持ちや考えを整理して、自分で「こうしていこう」と前向きに考えるサポートをされています。それを医療機関で行うのは難しく、こうした安心できる雰囲気の中で、あまり踏み込みすぎることなく、自然に話ができる環境をつくることが大切なのだと実感します。

私自身は治療を行う立場として、患者さんと接するときは専門用語を使わず、しっかり話をして理解していただくことをいつも心がけてきました。患者さんは不安で一杯ですから、なぜ手術が必要なのかや、手術後に起こるさまざまな症状についても、きちんと説明するようにしてきました。マギーズ東京さんも、患者さんの不安や悩みをやわらげることを大切にしてサポートされる、本当に大事な活動だと思います。

今回の受賞を機に、そんなマギーズ東京さんの素晴らしい取り組みを、より多くの方に知っていただきたいと思います。チャリティーでの運営は大変ですが、これからもずっと継続されていくことを期待しています。