CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2021年度受賞

平井 大輝さん

高校で開催するプログラミング体験会では、ドローンやVRゲームを通じてプログラムやITに興味を持つきっかけづくりを行う

高校生が自分の未来を描けるようサポート

CLACKの活動はHPでも紹介しているが、必要な支援を必要な高校生に届けるため、大阪府内の高校と連携して生徒を募る活動を行っている。そうした中には、放課後に生徒が地域のボランティアやNPOのスタッフと交流したり悩みを相談したりできる「居場所カフェ」の活用があり、プログラミングの体験会を通し学習支援について紹介している。

そこでプログラミングに興味を持ち、参加した高校生たちは、週2回のプログラミング講習と全5回のキャリア教育からなる3カ月の「Tech Runway」で基礎を学ぶ。高校生たちには企業から譲渡されたパソコンが無償で提供され、経済的な負担を軽減するため交通費も800円まで支給。もちろん授業料・教材も無料となっており、生徒自身でWEBサイトやアプリが手掛けられるよう、社会人や大学生の講師が寄り添ってサポートしている。

また、キャリア教育では、大学の奨学金についてなどのお金と生活に関する講義や、社会人・大学生らを招いて経験談を聞くワークショップ、さらにIT企業訪問などを実施。貧困のためこれまで自分の未来を思い描けなかった高校生たちに、少しずつ将来のビジョンが描けるよう手助けをしている。

3カ月の講習修了後には、さらにスキルアップしたい生徒や、進学・就職を目指す生徒のためのプログラム「Tech Runway Plus」を無償で用意。3カ月ごとの更新制で、教室での学びにとどまらず、企業インターンへの参加やプログラミング講師のアルバイトなど、実践の場も提供している。

(左)プログラミング講習に参加した高校生にはパソコンを無償提供し、交通費も支給する
(右)IT企業訪問など将来のイメージをつかむためのキャリア教育も行っている

受講生は100人を超え大きく成長する生徒も

支援を行うに際し、平井さんやスタッフには常に心掛けていることがある。それは、生徒たちの修了後を見据えた配慮で、「自分たちが生徒をサポートできるのは3カ月から長くて1年程度です。このため、単に居場所を提供するだけでなく、ここを出たあと、いかに自走できるようにして送り出せるかが重要です。社会に出ると厳しいこともあるので、そのときに本人が困らないよう、褒めるところは褒めながらも、注意すべきところはきちんと注意したりすることを、私もスタッフも意識しています」と話す。

これまで受講した高校生は100人を超え、修了した生徒の中にはWEB制作会社に就職したり、学童保育でプログラミングを教えたり、専門学校に進学するなど、身につけたスキルを活かして自らキャリアを積む生徒が増えている。

そうした中には平井さんも驚くほど成長を見せた生徒もいた。ある男子高校生は、いじめられた経験から友だちもおらず、コミュニケーションが苦手だったが、「1年間プログラミングを学ぶ中で少しずつ自信をつけ、性格も明るくなり情報系の専門学校に進学しました。今でも時々顔を見せてくれるのですが、その学校でもプログラミングができるので皆から頼られ、企業向けにグループで発表するときには自らリーダーを買って出たそうです。その後、私たちが寄付をいただいている企業でプログラマーを探していたので紹介したところ、技術もしっかりしていてコミュニケーション力も高いと、非常に喜ばれました」と感慨深げだ。

(左)参加した高校生たちとスタッフとの記念撮影 (右)受講を終え社会で活躍する生徒たちから熱いメッセージをもらうことも

「全国に希望やワクワクを届ける循環を!」

CLACKの活動は着実に広がりを見せ、スタッフも100人を超えて、中には企業を辞めて飛び込んできてフルタイムで活動しているスタッフもいるという。活動拠点も大阪の2カ所に加え、この9月には東京にも拠点を開設。今後は各地のNPO法人と協力し、大都市圏から地方都市まで100カ所以上を目標としており、「プログラミング教育とキャリア教育という組み合わせによる自走支援を広げ、修了生たちが地域の子どもたちの身近なロールモデルとなれるよう、全国に希望やワクワクを届ける循環をつくっていきたい」と展望はさらに広がる。

設立から4年。困難を抱える高校生に、多様な機会や選択肢をつくるというミッションから考えると、ようやく1合目だと話す平井さん。「生まれ育った環境に関係なく、しっかり頑張っている人が報われる社会となるよう、CLACKとしても私個人としてもさらに取り組んでいきます」と熱く語る。

高校生が自分の人生を自分で切り拓いていくための力を身につけられるよう、これからも活動を続けます!
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