CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2018年度受賞

濱田 龍郎さん

「ボランティア仲間九州ラーメン党」の活動は、「障がい者支援」と「被災地支援」の2本柱

20人で「ボランティア仲間九州ラーメン党」結成!

ラーメンボランティアを始めて2年ほど経った1991年6月、長崎県の雲仙普賢岳が噴火。現地の障がい者施設が被災したことを知った濱田さんは、仲間を募り、炊き出しの用意をして駆けつけた。この活動が契機となり、翌年の12月、濱田さんを中心に商店経営者や農家、新聞配達員、主婦など約20人で「ボランティア仲間九州ラーメン党」が結成された。こうして、「障がい者支援」と「被災地支援」が活動の2本柱となったのである。

その後、「ボランティア仲間九州ラーメン党」は、1999年4月に熊本県認証第一号のNPO法人格を取得。三宅島噴火、東日本大震災、九州北部豪雨、西日本豪雨、北海道胆振東部地震をはじめ、多くの被災地に九州ラーメン党のメンバーが駆けつけ支援を行っている。

特に2011年に発生した東日本大震災では、宮城県の気仙沼市や石巻市、福島県のいわき市などで合計14日間に及ぶ活動をした。「その後も毎年被災地を訪れて親交は続いています。温かいラーメンが人と人の心をつなぐことを改めて実感します」と、濱田さんは想いを語る。

東日本大震災の被災地では、今も復興支援ボランティアを続けている

熊本地震で被災するも、5カ月にわたりラーメンを提供

2016年4月、熊本県で最大震度7を記録する「熊本地震」が発生。特に濱田さんの自宅がある熊本県益城町は、地震発生から28時間の間に震度7を2度観測するなど大きな揺れに襲われ、余震が続くなか車中泊を余儀なくされた。それでも濱田さんは、本震の翌日には仲間や家族とともにラーメンの炊き出しを開始。さらに、東日本大震災の被災地をはじめ、これまで濱田さんが支援した人たちが応援に駆けつけ、9月までの5カ月間にわたり約2万杯のラーメンを提供し続けたのである。

また、こうした困難に見舞われながらも、九州ラーメン党の活動のもう一つの柱である障がい者支援も、福祉作業所での仕事や福祉施設でのラーメン交流会の開催に、3人の娘さんやその家族も加わってしっかり継続されている。運営する「そよかぜ福祉作業所」や「そよかぜショップ」では、お弁当やパン、クッキーなどを作って販売したり、チラシの詰め込みなどを行う作業に、10 代から70代までの20人ほどの障がい者の方が携わり、作業所の中には笑い声が絶えない。奥さんの幸子さんも「働いている人たちは皆素直だし、日々のふれあいを通して、人を支えることを学ばせていただいています」と話す。

幅広い年代が働いている福祉作業所。パンやクッキーの積み込み作業も自分たちで行う

人々の心をつなぐラーメンに感謝の想いを込めて

障がい者の就労支援になっている直営ラーメン店。店内の雰囲気も明るい

濱田さんのラーメン店は老朽化などもあって2010年に閉店したが、2017年には九州ラーメン党直営のラーメン店がオープン。障がい者の就労支援施設として店内では障がいを持つスタッフが働いている。濱田さんは「作業所やラーメン店で働くスタッフは全員家族だと思っています」と笑顔を見せる。

「人は人のために生きてこそ人」が座右の銘だという濱田さん。「一緒にラーメンを食べて楽しみましょう」という、障がい者施設との交流から始まったボランティアは、災害被災地での活動も含めてこれまで延べ650カ所に及び、提供したラーメンは10万杯を超える。そして、一杯また一杯と積み重ねてきた活動は30年の長きにわたり、「ラーメン交流会でも被災地支援でも、温かいラーメンは人と人の心をつないでくれるのです」と、出会った人たちに想いをはせる。

濱田さんは言う。「家族がいなければ今の自分は100%ありません。そして、一緒に頑張ってきた仲間がいてこそ今の自分があるのです。人は人とのつながりの中でしか生きられません。だから自分には感謝しかないんです」と。

皆で祝った九州ラーメン党直営店のオープン
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