CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

受賞者一覧

2017年度受賞

グリズデイル・バリージョシュアさん

観光スポット等のバリアフリーチェックは自ら障がい者の視点で

日本のバリアフリー情報を求め毎月4,000人がアクセス

2015年、ついに英語による障がい者向け日本観光情報サイト「ACCESSIBLE JAPAN(アクセシブルジャパン)」が立ち上がった。

サイトを作るにあたり、グリズデイルさんには一つのこだわりがあった。それは、障がいの種類や程度には個人差があるため、勝手に判断して情報を掲載しないというものだ。たとえば段差一つとっても、「それほど大きな段差ではない」といった主観的な情報ではなく、写真なども使い、客観的な状況をしっかり伝えた上で、判断は本人にしてもらう。

サイト開設後、アクセス数は徐々に増えていった。それは、いかに多くの人が英語による日本のバリアフリー情報を求めていたかを、改めて実感させるものだった。今では、サイトに毎月4,000人もの訪問者があり、毎日のように問い合わせのメールが届く。

またサイトに届くメールの発信元も、アメリカやイギリスなどの英語圏はもちろん、英語を使う香港やシンガポール、フィリピン、マレーシアなど、アジアからも問い合わせが増えてきており、年々広がりを見せているそうである。

(左上)訪日外国人が急増する中、英語でのバリアフリー情報発信を着想
(左下)英語による障がい者向け日本観光情報サイト「ACCESSIBLE JAPAN」
(右)2017年には「ACCESSIBLE JAPAN」が本に

日本人として責任を持ちたいと日本国籍も取得

日本のバリアフリー情報を世界に発信する中で、うれしい出会いもあった。障がいのある3人の旅行者が来日する際、車いすがレンタルできないかとメールで相談され、手伝ったことがあった。数日後、街で偶然車いすに乗る3人連れを見かけ、もしやと思って声を掛けるとその方たちで、「今でも連絡を取り合う仲です」と笑みがこぼれる。

2016年には、これまでお世話になった日本に恩返しをしたい想いと、日本人として責任を持ちたいという想いから日本国籍を取得した。「それまで3年ごとに就労ビザを更新していましたが、日本人としての責任を持ち、日本の将来の方針を決める選挙にも参加したいと思いました。選挙のハガキが届いたときは本当に感動しました」

サイトの運営を続ける原動力にも、恩返しの気持ちが強いと話すグリズデイルさん。「これまで多くの方から情報をいただき安心して日本を旅行できました。同じように、次に訪れる人にも安心して日本の旅を楽しんでほしいのです」。このため、問い合わせがあればできるだけ情報を収集し、わかることはお答えしていますと話す。

「私がやらなくては」という使命感を持ち、これからも

自ら撮影した画像などを駆使し、わかりやすい情報を提供

サイト開設から3年。バリアフリーの進展する日本だが、さまざまな問題も痛感するという。ホテルにバリアフリーの部屋がまだまだ少ないことや、バリアフリーの部屋はオンラインで予約ができないことが多かったり、さらに短期間の車いすレンタルが難しいことなど、情報を提供する立場になってみると、見えてくる課題はまだまだ少なくない。

もちろん、情報提供以外で手伝えることには限界がある。それでも、「自分のように、海外から日本に来て、英語がわかり、しかも障がいのある人は少ないですから、私がやらないと誰がやるんだという気持ちです」と想いを語る。

そんな熱意に応えるように、情報を寄せてくれる協力者も増えてきた。これからは、首都圏だけでなく、日本全国のバリアフリー情報を増やしていきたいと考えており、「そのためにも人とのつながりをもっと広げていきたい。自分のバリアフリー情報によって、来日できるようになる障がい者の方が一人でも増えればこんなうれしいことはない。世界中の人々に日本の旅を楽しんでいただきたい」と、さらなるサイトの充実と、利用者への貢献に意欲を燃やす。

2020年に向け、もっと広く深く日本の素晴らしいバリアフリー情報を発信したいと話す
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