カナダ・トロント生まれのグリズデイルさんにとって、初めて訪れた日本は言葉も文化も建物も異なる、まさにワンダーランドだった。
生後半年のころに出た高熱が原因とみられる障がいが手足に残ったグリズデイルさんは、4歳ごろから電動車いすの生活となった。日本に興味を持つようになったのは高校2年生のとき。将来、IT関連の仕事に就きたいと考えていたことから、キャリアアップに活かせるのではないかと日本語を学び始めたのがきっかけだ。
先生は、長く日本のインターナショナルスクールで教えていたカナダ人で、言葉だけではなく、歴史やサブカルチャーまで楽しく教えてくれ、日本への興味がどんどん膨らんでいった。
「もし教えてくれたのが他の先生だったら、そこまで日本に興味を持たなかったかもしれません」
そして2000年の夏、高校卒業のお祝いとして、父親と2人、1カ月にわたる初めての日本滞在が実現したのだ。「見るものすべてが初めての経験で驚きの連続でした。日本に来る前は移動に不安があったのですが、実際に来てみて、バリアフリーが進んでいることにも驚きました」